少数派シリーズ/政治情勢
松尾貴史氏コラム◇総務省接待問題「意見交換」「顔つなぎ」は通用しない
毎日新聞の日曜版、「松尾貴史のちょっと違和感」というコラムからの記事をご紹介します。
松尾貴史氏はコラムの中で、痛烈な批判をしています。ぜひお読み下さい。
*タイトル付け、文章の省略化、補足は投稿者によるものです。
↓ ↓ ▽松尾貴史氏のコラム
■山田真貴子内閣広報官、菅親子を守るために入院・辞任あっという間の早業発揮
歴代の総務相や総務省の官僚たちへの「接待づけ」が表沙汰になってきたが、国会での武田良太総務相の答弁拒否はあまりにもひどい。自らがどういう疑念を抱かれているのか認識していないはずがないが、「事前通告がない」という呪文を唱えればすべてかわせるとでも思っているのだろうか。「国民の疑念を招くようなことはしていない」とも言うが、疑念を抱くのは国民の側であって、大臣自身が決めることではない。野田聖子元総務相も、「プライベートな会合」「仕事の話はほとんど(!)していない」などと言っている。しかし、自分がなぜ接待を受けているのか、その時点で認識できないような無能だとでも言いたいのだろうか。「会費はあとで返金した」と言うが、どんな不正でも「返金」すれば帳消しになると思う尊大さはどこからくるのか。
官僚については、1人1万円を超える利害関係者との会食は、たとえ割り勘でも事前に届け出が必要、という規定がある。最近の5年間で、農林水産省では400件以上、経済産業省では350件あったが、話題の総務省はたったの8件だ。2017年度は1件のみ、18年度と19年度は「ゼロ」となっている。この状況下で信じろというのは無理がある。今回処分を受けた官僚は、菅義偉首相の知遇を得て出世した者ばかりだという。有能さを買われて出世した山田真貴子前内閣広報官(当時は総務審議官)が、たった5人の会食であの独特の風貌の菅氏の息子がいたことに気づかなかったと強弁した末に、まるで追及から逃れるがごとく即座に入院し、翌日には辞職という絵に描いたような展開だったが、菅氏親子を守るためならあっという間に動きを見せる早業を発揮するものだ。
■この国は学術や経済のみならず政治の分野でも「後退国」になってしまっている
国会に参考人として呼ばれたNTTの澤田純社長は「将来の社会や国際情勢全般について意見交換させていただく場を設けている。業務上の要請であるとか、逆に便宜を受けるとか、そういうようなお話はいたしておりません」と主張する。もちろん、総務省側との口裏、話のすり合わせができていないはずはないだろう。しかし、もしこの言い訳が通るなら、どの省庁のどんな接待も癒着も、金輪際追及することができなくなる。放送事業会社「東北新社」の中島信也社長は、会食の目的について「顔つなぎだった」と言っている。その「顔つなぎ」が、延べ39回にも及んでいることをただされると「顔つなぎの目的は顔つなぎ」と、全く説明にならない答弁をしている。
「もり」「かけ」「桜餅」「親子丼」と、「特例」の仲良し優遇政治が安倍晋三政権から続いているが、こんなことをしているうちに日本はどんどん衰退していく。「後進国」という言葉が侮蔑的だということで「発展途上国」という呼び名に変えられて久しいが、この国は学術や経済のみならず、政治の分野でも「後退国」になってしまっている。これほどの大問題であるにもかかわらず、調査はしない、説明もしない、無かったことにする。他のスキャンダルも万事この形でやり過ごした成功体験があるから、今回もそのパターンにはめ込もうとしているのだろう。この醜聞について、テレビのニュースや情報番組での扱いが控えめ、遠慮がちな気がするのは私だけだろうか。電波事業の許認可権を持つ総務省への手心を加えているような、これまた国民の「疑念」を招かぬように、メディアもしっかりと伝えてほしい。
■官僚を斬り捨てれば解決する問題ではなく官僚に忖度させる菅政権の体質こそが元凶!
投稿者の文章/安倍前首相時から続く、仲良し・お友達を優遇する政治に辟易する。世論は菅首相を庶民派・たたき上げと囃(はや)し立てたが、投稿者は当初から「安倍体質」「冷徹」と見ていた。就任後半年を過ぎ、申し訳ないが私の見解のほうが正しかったようだ。それはともかく、官僚の忖度が目に余る。これらの官僚を斬り捨て(批判)すれば、それで済む話ではない。簡単に官僚を斬り捨てれば、菅政権の思う壺だ。元凶は菅首相にあるのだから、こちらを追及しなければ意味がない。一方、松尾貴史氏の主張から投稿者としてピックアップしたいことは、メディア攻撃を続ける安倍・菅政権の体質。安倍首相・菅官房長官時、両者の後ろ盾によって高市早苗総務大臣(当時)の横暴的な振る舞いが酷かった。同氏がNHKや民放TV局への電波許認可権をちらつかせて、脅しに近いやり方でメディアの政府批判を封じ込めたこと。各局はビビり始め、民放局は政治の扱いを弱め、NHKに至っては"御用放送局化"してしまった。メディアが事実を報道しなければ国民が不利益を被り、そして最後は皮肉にも政権自体が腐っていくのだ。ぜひメディアに頑張ってもらいたい。
松尾貴史氏コラム◇総務省接待問題「意見交換」「顔つなぎ」は通用しない
毎日新聞の日曜版、「松尾貴史のちょっと違和感」というコラムからの記事をご紹介します。
松尾貴史氏はコラムの中で、痛烈な批判をしています。ぜひお読み下さい。
*タイトル付け、文章の省略化、補足は投稿者によるものです。
↓ ↓ ▽松尾貴史氏のコラム
■山田真貴子内閣広報官、菅親子を守るために入院・辞任あっという間の早業発揮
歴代の総務相や総務省の官僚たちへの「接待づけ」が表沙汰になってきたが、国会での武田良太総務相の答弁拒否はあまりにもひどい。自らがどういう疑念を抱かれているのか認識していないはずがないが、「事前通告がない」という呪文を唱えればすべてかわせるとでも思っているのだろうか。「国民の疑念を招くようなことはしていない」とも言うが、疑念を抱くのは国民の側であって、大臣自身が決めることではない。野田聖子元総務相も、「プライベートな会合」「仕事の話はほとんど(!)していない」などと言っている。しかし、自分がなぜ接待を受けているのか、その時点で認識できないような無能だとでも言いたいのだろうか。「会費はあとで返金した」と言うが、どんな不正でも「返金」すれば帳消しになると思う尊大さはどこからくるのか。
官僚については、1人1万円を超える利害関係者との会食は、たとえ割り勘でも事前に届け出が必要、という規定がある。最近の5年間で、農林水産省では400件以上、経済産業省では350件あったが、話題の総務省はたったの8件だ。2017年度は1件のみ、18年度と19年度は「ゼロ」となっている。この状況下で信じろというのは無理がある。今回処分を受けた官僚は、菅義偉首相の知遇を得て出世した者ばかりだという。有能さを買われて出世した山田真貴子前内閣広報官(当時は総務審議官)が、たった5人の会食であの独特の風貌の菅氏の息子がいたことに気づかなかったと強弁した末に、まるで追及から逃れるがごとく即座に入院し、翌日には辞職という絵に描いたような展開だったが、菅氏親子を守るためならあっという間に動きを見せる早業を発揮するものだ。
■この国は学術や経済のみならず政治の分野でも「後退国」になってしまっている
国会に参考人として呼ばれたNTTの澤田純社長は「将来の社会や国際情勢全般について意見交換させていただく場を設けている。業務上の要請であるとか、逆に便宜を受けるとか、そういうようなお話はいたしておりません」と主張する。もちろん、総務省側との口裏、話のすり合わせができていないはずはないだろう。しかし、もしこの言い訳が通るなら、どの省庁のどんな接待も癒着も、金輪際追及することができなくなる。放送事業会社「東北新社」の中島信也社長は、会食の目的について「顔つなぎだった」と言っている。その「顔つなぎ」が、延べ39回にも及んでいることをただされると「顔つなぎの目的は顔つなぎ」と、全く説明にならない答弁をしている。
「もり」「かけ」「桜餅」「親子丼」と、「特例」の仲良し優遇政治が安倍晋三政権から続いているが、こんなことをしているうちに日本はどんどん衰退していく。「後進国」という言葉が侮蔑的だということで「発展途上国」という呼び名に変えられて久しいが、この国は学術や経済のみならず、政治の分野でも「後退国」になってしまっている。これほどの大問題であるにもかかわらず、調査はしない、説明もしない、無かったことにする。他のスキャンダルも万事この形でやり過ごした成功体験があるから、今回もそのパターンにはめ込もうとしているのだろう。この醜聞について、テレビのニュースや情報番組での扱いが控えめ、遠慮がちな気がするのは私だけだろうか。電波事業の許認可権を持つ総務省への手心を加えているような、これまた国民の「疑念」を招かぬように、メディアもしっかりと伝えてほしい。
■官僚を斬り捨てれば解決する問題ではなく官僚に忖度させる菅政権の体質こそが元凶!
投稿者の文章/安倍前首相時から続く、仲良し・お友達を優遇する政治に辟易する。世論は菅首相を庶民派・たたき上げと囃(はや)し立てたが、投稿者は当初から「安倍体質」「冷徹」と見ていた。就任後半年を過ぎ、申し訳ないが私の見解のほうが正しかったようだ。それはともかく、官僚の忖度が目に余る。これらの官僚を斬り捨て(批判)すれば、それで済む話ではない。簡単に官僚を斬り捨てれば、菅政権の思う壺だ。元凶は菅首相にあるのだから、こちらを追及しなければ意味がない。一方、松尾貴史氏の主張から投稿者としてピックアップしたいことは、メディア攻撃を続ける安倍・菅政権の体質。安倍首相・菅官房長官時、両者の後ろ盾によって高市早苗総務大臣(当時)の横暴的な振る舞いが酷かった。同氏がNHKや民放TV局への電波許認可権をちらつかせて、脅しに近いやり方でメディアの政府批判を封じ込めたこと。各局はビビり始め、民放局は政治の扱いを弱め、NHKに至っては"御用放送局化"してしまった。メディアが事実を報道しなければ国民が不利益を被り、そして最後は皮肉にも政権自体が腐っていくのだ。ぜひメディアに頑張ってもらいたい。