食品のカラクリシリーズ 特保コーラ/飲料
脂っこい食事には誰でもトクホのコーラを飲めば脂肪吸収を抑えてくれるの?
BMIが高い中年の肥満者を対象にした実験結果による極めて限定的な効果
公園に捨てられた缶・旧ラベル/フリー素材
■若い一般的な方が飲んでも全くトクホコーラの効果なし
「トクホ(特定保健用食品)」の許可を得た初めてのコーラ、キリンメッツコーラが大ヒット中です。K社によると、難消化性デキストリンが配合されており、食事の際に体内への脂肪吸収を抑える効果があるとしています。しかし専門家によると、3つの問題点を指摘しています。
実験が、平均年齢40歳以上の中年の肥満者を対象にしている点です。難消化性デキストリン5gを含んだものと含まないものを分け、それぞれのコーラを飲みながらハンバーグ・フライドポテトなど総脂質量が非常に高い食品を食べた時、血中の中性脂肪の変化を調査したものです。
対象者がBMIの高い肥満者さらに高中性脂肪血症の人であることと、日本人の1日の脂質平均摂取量が53.7gに対し、その8割弱を1食分にした実験です。言わばBMI25を越える肥満者が、高脂肪食を摂った場合の極めて特殊な条件のデータです。従って、肥満でない方が脂肪食を食べた時にも同様な効果が出るのか、甚だ疑問だと指摘しています。
2つめが、糖類ゼロにするため甘味料のアスパルテームを使用している点です。食品添加物の危険度ランク5段階のうち上位から2つ目のレベル4を示す高いもので、神経系の突然変異性、脳腫瘍の恐れがあります。
■ダイエットに効くと誤った連想をさせる誇大宣伝
3つめが、誇大広告の指摘です。一般の人の感想は、このコーラを飲めばハンバーグやフライドチキンなどを食べても体重が増えない、脂っこい食事をしてもコーラさえ飲めばきれいにクリアできると思っている点です。普通の方が飲んでもダイエットができるとの連想をさせる誇大宣伝から、間違った飲み方をされる恐れがあります。トクホコーラは、効果が出る人が極めて限定的、かつ肥満ではない方が健康を期待しコーラを飲むなどの恐れが絶えません。
1991年にトクホ制度がスタートして20年以上が経過し、数々の製品が出ています。そもそもトクホは、お腹の調子を整える・コレステロールの吸収を抑えるなどの目的で、健康の維持や増進に役立つことが期待される食品のことです。ヨーグルト・お茶・シリアル食品などが、代表的なものでしょう。トクホマークを確認してから、買う方もいるほどです。
トクホには病気を治す効果はなく、認められる効果も至って限定的です。よく勘違いされることは、医薬品の代わりになるものではありません。ましてこんなコーラがトクホになるなら、一体トクホとは何なのか疑問に感じます。このままでは、却って所管する消費者庁(従来は厚労省)やトクホの信用を落とすことになるでしょう。
フライドポテトを食べ過ぎると将来心臓病を引き起こす恐れ