マイムリンク活動15周年を記念して特別コラムを2回にわたってお届けします。今回は、後編となります。
この2つの奇跡の後、マイムリンクに転機が訪れます。
2012年6月の「パントマイムウィーク6マイムマルシェ」の公演後に、MAKOTOシアターは閉館(2012年7月)となり、使えなくなりました。そして、この近辺からは、マイムリンクに興味を持ってくれていたアーティストの方々も何度か参加したことにより、出演者数も徐々に減っていったと思います。運営側としては、毎回の企画や出演者の声かけに悩みながらも、団体として活動を続けていく感じだったと覚えています。会場問題は、一度は西日暮里の戸野廣浩司記念劇場で2014年6月に「東京マイムフェス2014」を開催し、その後、2015年には、ついに、マイムリンク代表である細川が新大久保にスタジオエヴァを開設し解決することができました。
そして、2017年には、マイムリンクは10周年を迎えて、記念公演を6月に開催しました(会場はスタジオエヴァと武蔵野芸能劇場)。特別プログラムには、ヨネヤマママコさん、佐々木博康さん(日本マイム研究所)、あらい汎さん(汎マイム工房)、清水きよしさん(清水きよしパントマイムワークス)、マイムリンクの細川紘未が出演し、パントマイムの歴史を牽引してきた巨匠による奇跡のような公演でした。巨匠といわれる方々の持つ熱量というか、空間を変える力を改めて感じた舞台でした。スタッフの立場としては、舞台そのものよりも、事前準備も含めて、とにかく大変だったという記憶が非常に残っています(笑)。
10周年で一区切りかな、でもまだ終わりたくない、と個人的には思っていた中で、翌年、4つめの奇跡が起こりました。今度は、海外パフォーマーを集めたマイムフェスティバルです。どういう発想から生まれたかというと、マイムリンクにホームページを通して、海外のアーティストから出演の問い合わせがたまに来ていて、こちらとしては、渡航費がネックとなり、そうした海外出演者を積極的に受け入れることが難しく、お断りしていました。2018年に何のイベントをするかという話の中で、マイムリンクの長年にわたる積立金を使って、海外の出演者を呼んで国際フェスを開催できると良いよねという話が浮上。そこで、韓国やタイ、インドネシアのアーティストに対して、ツテを使って出演者の呼びかけをしました。イタリアのアーティストは、細川が前年に、タイの国際マイムフェスティバルに出演した時に知り合ったアーティストで、日本での公演を積極的に望んでいて、ご招待することになったかと覚えています。
そんな形で2018年6月に「国際シアターパントマイムフェス2018」をスタジオエヴァにて開催。日本、インドネシア、韓国、タイ、イタリアの5カ国のパントマイミストが出演。小さな会場で国際色豊かなパントマイムが繰り広げられ、その時も準備がかなり大変だったのですが、非常にワクワクする公演でした。千秋楽の公演後の打ち上げは盛り上がって、次はどこの国でフェスをやろうという話も出ていたような記憶があります。
このような4つの奇跡があった後、皆さまご存じのように2020年は新型コロナウイルスの感染拡大で表現の世界も激変。2020年と2021年はオンライン配信も活用しながら、活動を続けることができました。そして、2022年。マイムリンクは活動15周年を無事に迎えました。多くの観客に支えられたおかげで、歩みを続けてこられたと改めて思います。これからも1人ひとりのアーティストのそれぞれの表現のすばらしさを伝えていきたいです。
この文章をお読みのあなたも次の奇跡を目撃にエヴァに来ませんか?
佐々木麗明