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ゆるキャンから始めたNゲージ その3  京都市内の鉄道模型店巡り

2023年06月22日 | ゆるキャン△

 2023年6月3日の土曜日、川本氏が「Nゲージに興味が出てきたんであれば、まずはレールや車輌や関連製品について見ておくべきやな。俺も定期的に通ってる、京都市内の主な鉄道模型の専門店を3ヶ所案内してゆこう」と誘ってくれたので、朝10時に京都駅八条口で待ち合わせて出かけた。

 これまでまったく鉄道模型には縁が無く、Nゲージでさえも未知の世界だったから、どんな出会い、学び、発見があるのだろうとワクワクしながらついて行った。新しい事を始めるというのは、どんなジャンルであれ、何かと新鮮で刺激も多くて本当に楽しいことだな、と改めて思った。

 

 最初に行ったのは、京都駅南のイオンモール内4階にある、上図の「ポポンデッタ イオンモールKYOTO店」であった。通路をはさんで両側に店舗スペースがあり、上図は東側のコーナーにあたってスペースの半分は巨大なジオラマで占められていた。お客らしき方が一人、ジオラマの脇の席で何か車輌を動かしているようであった。

「川さん、あれ何かね。車輌を走らせてるみたいやが?」
「ああ、レンタルレイアウトと言ってな、客が自分の車輌を持ち込んで走らせることが出来る。一時間単位で料金はらって、あのジオラマをレンタルする仕組みやな。大きな鉄道模型店には大抵こういうのがあるんや」
「ふーん、すると僕のゆるキャン車輌も走らせる事が出来るのか?」
「ああ、席が空いてればな。平日は空いてて料金も安いけど、土日は子供が多くて料金も高くなる。もし試してみるんやったら、平日の退勤後にでも寄ってみたらええ」
「ふーん、いっぺん、そうしてみるか・・・」

 

 そして西側の店舗主要部スペースの一角にも上図のレンタルレイアウトがあった。こちらでも数人の客が車輌を走らせて楽しんでいた。川本氏もここでは常連客の一人で、レンタルレイアウトも何度か楽しんだことがあるそうだが、上図中央の転車台は動かしたことが無いそうである。
 私自身はこういったジオラマ模型を見るのは好きなので、走っている車輌よりも線路や駅や建物の作りなどに興味が向かっていき、あちこち細かく観察したのであったが、その様子を見て川本氏が「プラモのジオラマと大して変わらんやろ、見てるだけでも楽しめるんと違うかね」と話した。

 このお店では新品と中古品の両方を扱っていて、それぞれの価格帯、および両者の価格差が見ていて分かってきたので、疑問点を川本氏に教えて貰いながら、これはという品の名前と価格を覚えていった。とにかくレールとコントローラーがあれば、ゆるキャン車輌を走らせる事が出来るのであるから、レールはどんなものがあるか、コントローラーは、と見て行って、一般的にコントローラーが「パワーユニット」と呼ばれていることも知った。

 また、初心者向けの基本的なレールセットというのが幾つかあって、レールとパワーユニットがセットになっている各種の製品が色々あるので見ていった。どうもトミックスとカトーの2社の製品が多くを占めているようだったが、川本氏によれば、この2社の製品はレールの形状や扱い方が異なるので、Nゲージを始めるのであれば、レールは2社のどちらかの製品だけを使うのが良い、ということであった。

 そのことは、実際に店員さんに2社のレールのサンプルを見せて貰ってすぐに理解出来た。なんとトミックスとカトーのレールは、繋ぐ部分の形状が違っていて互換性が全くないのである。これではユーザーの奪い合いになるからダメだろう、2社共通で規格も合わせれば、ファンは分け隔てなく買うに決まってるから、製品展開や売り上げの伸び代ももっと見込めるんじゃないかな、と思った。
 つまりは艦船プラモデルの1/700スケールにおけるウォーターラインシリーズのような、各メーカー共同での製品開発の分担や販売展開の共有、というものが鉄道模型の業界にはあんまり無いようだ、と感じたのである。

 なので、川本氏に「トミックスとカトーのどちらを選ぶかは、ホッさんの好みやからじっくり検討せえよ」とアドバイスされたのにも、なるほどと受け止めて、基本的なレールセットの大体の傾向を見て覚えておくにとどめた。

 

 次に向かったのは、京都駅ビル伊勢丹の9階にある、上図の「KATO京都店」であった。カトーつまりKATOブランドのメーカー関水金属さんの直営店で、東京とここにしか無いそうである。KATO製品の車輌やレール、関連製品は殆ど扱っていて、持ち込み修理の受付も行なっているそうである。

 ここで川本氏に素朴な質問をした。もしレールをトミックスの製品で選ぶと、車輌もトミックスの製品しか走らせられないのか、と。川本氏の答えは「いや、車輌はどちらでもOKなんや、Nゲージの車輌を作ってるメーカーは他にもマイクロエースとか、グリーンマックスとか、ワールド工芸とか、色々あるんやけど、レールにのせたら、それがトミックスでもカトーでも同じように走るのよ。要はレールに電気が通っていれば、どんな車輌でも走る。レールだけは選ばないとアカンけど、トミックスのレールでもカトーの車輌は問題無く走らせられるよ、カトーのレールにトミックスの車輌でも全然オッケーなわけ」とのことであった。

 なるほど、車輌のほうは各メーカー共通なのか、と感心してしまった。川本氏自身は車輌はほとんどカトーの製品を買っているそうなので、こちらのお店にも何度か相談や持ち込み修理依頼をやっているとの事である。

 

 ラストは上図の「ボークス本社・ホビースクエア京都」であった。ここはプラモデルの購入でも何度か利用したことがあるので知っていたが、鉄道模型コーナーへ入るのは今回が初めてであった。

 最近に店内レイアウトの改変が行われたらしく、以前はプラモデルやドールの売場であった2階部分が閉鎖されて売場は1階のエントランスルームにそっくり移されていた。戦車などのスケール物は、以前の鉄道模型コーナーの一角に移されていて、規模もかなり縮小されているようであった。聞けば、ボークス創業50周年記念プロジェクト特別企画の一環として2022年に売場全体をリニューアルしたとの事であった。

 

 したがって、鉄道模型コーナーも以前よりは規模を減じていることになるわけであるが、川本氏によれば、扱っている製品群や種類はそんなに変わっていないそうである。むしろ、空間的にせせこましくなった、との事である。

 上図の巨大なジオラマが圧巻であり、しばらく見入っていたが、そのうちに以前はエントランスルームにも別の大きなジオラマがあったことを思い出した。それは今どうなったのか、と訊くと、2022年のリニューアルに際して寄贈先の募集があり、多数の応募者の選考の結果、京丹波町のほうに寄贈された、との事であった。

 

 ここでは川本氏の説明を受けながら、トミックスやカトーのレール製品のラインナップを見学した。上図のようにトミックスだけでも多数のレールパーツが出ており、レイアウトを自由に作れるように多様多種のレールが開発されているとの事である。それはカトーでも同様であったが、川本氏自身はレールはトミックスを利用しているとの事であった。

「トミックスを選んだ理由は?」
「うーん、使い勝手かなあ、子供向けのプラレールも作ってるタカラトミーのブランドなんで、子供の時にプラレールで遊んでいた自分としてはあんまり違和感が無かったというのが、ひとつあるな」
「ふーん、プラレールの会社と同系列やったのか、初めて聞いた。カトーのほうは?」
「これは鉄道模型の老舗でトミックスよりも古い。もともと昔は関水金属さんが鉄道模型の代名詞やったんね。歴史は長いんやけど、模型的にみたらかなりデフォルメや壊れやすいギミックが多くてな、造形的にはイマイチの感があったんよ。蒸気機関車なんか全然スケールも違ってたりしたもんな・・・」
「ふーん、ということは造形的にはトミックスのほうが忠実で正確やったのか」
「せやな。ただし、トミックスはギミックも無いからそっちの楽しみというものは無い」
「ふーん」
「あとは発売されてる製品の品揃えかなあ、トミックスは、シリーズもののブランディングもとにかく上手いのよ。あと価格も割と安いし、昔はカトーが優勢やったストラクチャー(ジオラマ用の駅や建物などのキットの総称)でも今はトミックスのほうが種類が豊富になってて選択肢が広いしね・・・」
「なるほど・・・」
「ホッさんは、ゆるキャン車輌がトミックスやろ、これからNゲージを初めてみるんなら、レールもトミックスのほうがおすすめかもしれんな・・・」
「そう思うかね・・・、まあ、やっぱり、僕も何となくそういう気持になってきているんで、トミックスかなあ、とは思うが、カトーにも魅力を感じるんやなあ、うーん・・・」
「そんなら、参考までに去年のカタログがあるんで持ってきてる。ホラ、トミックスもカトーも両方やるから、三日ほどじっくりみて検討したらええと思う。それから決めても遅くは無いやろ」
「そうやな、そうしよう」

 かくして二冊の分厚いカタログを貰い、ボークスの店先で握手したのち、南北に分かれて、それぞれの家路についたのであった。  (続く)

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