<共助>。<脳梗塞の考え方と漢方処方>。
2019/5/15 。【幸井俊高(「薬石花房 幸福薬局」代表)。「帝国ホテル」内完全予約制の漢方薬局。】。脳梗塞は、脳の血管に血栓(血液の固まり)が生じて詰まったり細くなったりした結果、血液が流れにくくなる疾患です。十分な酸素や栄養が供給されなくなり、脳の組織が壊死していきます。 脳梗塞には、(1)脳の細い血管が詰まるラクナ梗塞、(2)脳の太い血管や頸動脈に血栓ができて詰まるアテローム血栓性脳梗塞、(3)心臓にできた血栓が血液に乗って脳に運ばれ脳の太い血管を詰まらせる心原性脳塞栓症の3つの型があります。Q.構音障害は発症当初より改善されていますが、まだ元のようには話せません。話していることが相手に伝わらないときなどは、いらいらしてしまいます。驚きやすいところもあります。眠りが浅く、朝早く目が覚めます。痰がたくさん出ます。舌を出すと、細かく震えます。舌にはべっとりとした黄色い舌苔が付着しています。A1. この人の証は、「痰迷心竅(たんめいしんきょう)」です。心は五臓の1つで、血脈をつかさどること(心臓を含めた血液循環系の維持)と、神志をつかさどること(人間らしい高次の精神活動の遂行)が、その主な機能です。このうちの、神志をつかさどる機能が痰によって阻害されてこの証となり、脳梗塞になったと考えられます。いらいらしやすい、驚きやすい、眠りが浅い、朝早く目が覚める、痰が多い、舌が震える、べっとりとした黄色い舌苔などは、この証の特徴です。独り言、情緒不安定、知覚麻痺、動悸、口の中が粘る、などの症状がみられることもあります。この証の場合は、漢方薬で痰飲を除去し、開竅することにより、脳梗塞の後遺症の緩和や再発防止、予防に当たります。A2.この患者さんには、温胆湯(うんたんとう)などを服用してもらいました。2カ月後には、口や舌が動かしやすくなり、話しやすくなってきたように思うとのことでした。10カ月後くらいになると、まだ以前ほどスムーズには話せないものの、ずいぶん話しやすくなり、いらいらすることもなくなりました。https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/koui/201905/560844.html