2019/6/18。【森 清勇。熊本県鹿本郡(現:山鹿市)。1939->80歳。星槎大学非常勤講師。元陸上自衛官】。もう一件は産経新聞特別記者で、国家基本問題研究所主任研究員の湯浅博氏(東京都。1948->71歳)による「中国の戦術的〝後退″にだまされるな」(『正論』2019年5月号所収)である。 習近平国家主席は就任と同時に鄧小平の「韜光養晦」路線を棚上げし、「中華民族の偉大な復興」という中国の夢を実現するために、先端技術まで「核心的利益」とする強国路線を採ってきた。 しかし、戦略的忍耐を掲げていたバラク・オバマ前大統領に代わってトランプ大統領が登場し、中国による国際秩序の破壊を見過ごすことを「終わりにする」と戦う決意を表明(マイク・ペンス副大統領演説)した。 そこで中国は「21文字方針」と言われる標語、すなわち「①不対抗、②不打冷戦、③按歩伐開放、④国家核心利益不退譲」を掲げ、「①アメリカとは対抗せず、②冷戦を戦わず、③歩みに即して開放する」という一時的に「戦術的後退」の方針に代えたという。 しかし4番目の「国家核心利益不退譲」が示すように、核心的利益は譲らないと決意していることが明確だと述べる。いずれも、安易な中国接近は危険だというものである。中国はこの1年余、急速に日本接近を図ってきた。そして、王毅外相から楊潔篪国務委員(外交担当)、李克強首相そして習近平国家主席まで、バカの一つ覚えみたいに「日中関係は正常化した」と繰り返している。そして安倍首相(東京都新宿区。1954->64歳。山口四区。自民党。清和政策研究会)の「完全に正常な軌道に戻った」発言である。 国交回復前の尖閣諸島を中国は自国の領土と言ったことがなく、完全に日本の領土と認めていた。従って、沖縄の漁民は安心して漁労に従事することができた。 また、東シナ海の日中中間線付近のガス田の試掘などについては両国が協議して進めることを約束している。 「正常化」というのは、こうした状況になることを言うのであろう。しかし、首相が「完全に・・・」という状況下で、中国は尖閣諸島の領海侵犯を繰り返しながら接続水域連続進入を従来の43日から60日以上に更新しているのである。 山崎幸二統合幕僚長は6月13日の記者会見で、「これまでにないことであり、深刻に受け止めている」(「産経新聞」同14日付)と述べている。同紙は「中国海警局の公船が尖閣諸島周辺で存在感を増している背景には、軍最高指導機関、中央軍事委員会傘下の武装警察部隊に編入され、軍事組織として本格的に確立したことがあるとみられる」としている。
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