黄色の花がたくさん揺れていた。
改札を通り抜けたとき、きみたちの平和を願う作品が一面に飾られていた。
そのうちのひとつが目を惹いた。
暗い夕暮れに汽車が星をまとって空を駆けている。それを学年がちがうみんなが見上げているのだ。
ある日、父を書く課題がでた。私は大きな虹と山頂に立つ父を描いた。
「めっちゃちっちゃいな。アリみたいや。」
嬉しそうにつっこむ父はその後もこっそりと持っていてくれた。
美しい景色を父に見せたかった。
それが一番の贈り物だとおもった。
そんな記憶が甦って、心がうずくまった。
どんな記号よりも心が動くものだ。
その気持ちは今もここにあるのだと気づかされた。
【おわり】