現代日本語百科   けふも  お元気ですか

gooブログはじめました!日本語百科です。
現代日本語百科 ⓒ2013gooksky

学問と哲学

2020-01-30 | 哲学日本語

日本哲学12
哲学は学問である。学問の目的は真理の探究にある。すなわち哲学は真理探究を旨とする。学問であれば学哲という用語をもって対照できるか、希哲学であったがゆえに、それを哲学とする命名はすでに問いを学ぶ、哲を学ぶとして日本語は融通する。その学問はまた人文科学と称せららえて自然科学と対比した。すぐにも社会科学を人文科学から切り離して、この3分野を大学学問のこととした。そこで、真理の探究とは何か、どうであるか、どうすることか、1960年代に盛んに投げかけられた大学人の議論である。大学の学問がその根底から考えられようとした時代であったか。その議論を見せる文科省の報告。審議委員会があって、半世紀を経て、その当時の問いに答えようとした現在の視点である。


https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/015/siryo/attach/1343331.htm

第1 人文学の現状と課題
(1)輸入学問という性格
要旨
日本の哲学研究の課題として、西洋の偉大な哲学者の著作に対する文献学的な関心のみが肥大化した、いわゆる「哲学者研究」にとどまっており、本来の「哲学研究」になっていない。
ヨーロッパでは、かつて全ての学問を包括する有機的なシステムとしての「哲学」という概念があったが、19世紀にはそれが完全に崩壊した上で再編成され、「個別科学」の時代へと転換した。【再掲】
日本では、「個別科学」の時代になってからヨーロッパの学問を取り込んだため、まさに専門分化した「科の学」としての「個別科学」を取り込んだということになる。これは歴史的な運命としか言いようがない。【再掲】
日本の哲学研究は、百数十年間、西洋思想史の研究に必死に取り組んできた。西洋の偉大な哲学の歴史、そのテキストをまず言語を学ぶことからはじめ、テキストのクリティークをきちんとし、草稿、マニスクリプトまで丁寧に読んで、西洋思想史について正確に理解するという営みを続けてきた。ヘーゲル研究やマルクス研究などは世界水準に達している。しかし、問題は、それは哲学の勉強でいわば「哲学学」ではあっても、「哲学」ではないというところにある。
日本の哲学研究は、ある哲学者の思想の文献学的研究に始まり、それを思想史の文脈の中でどう位置づけていくのか、そして、研究対象とした哲学者の著作の解釈を更新していくことにすべてのエネルギーを注ぎ込んでいる。哲学教育にしても、哲学の思想史研究としての哲学研究の専門家を養成するということに著しく偏っており、社会の中の哲学的思考を育んでいこうという関心が非常に少ない。
哲学が「基礎学」としてあらゆる学問に関わるにせよ、「教養」として専門の学問を超えた一つの思考のより広い能力を発揮するにせよ、少なくとも、今の日本の哲学研究はそのような在り方とはかなり乖離した状況にあると考えられる。即ち、我が国の哲学研究、思想研究の特徴として、ある哲学者の哲学や思想を自分の専門とするとで通用してきたという状況を挙げることができる。これでは、きわめて専門化してしまった個別科学の一つでしかない。「基礎学」とも言いえないし、「教養」とも言いえない。
哲学は、本来、社会的なディスクール、言説が生成するその場所に関わるものである。
 西洋近代の哲学者であれば、「自由」、「法」、「権利」といった概念が形成される社会の現場において発言し続けてきたと言ってよいと思う。また、現代の西洋の哲学者も、社会的なオピニオンの形成の場であるジャーナリズムであるとか、社会の担い手を育成する初等中等教育に対しても、哲学者が深く関わっているといってよいと思う。
 このような観点からみると、日本の哲学研究は、ある哲学者の思想の文献学的研究に始まり、それを思想史の文脈の中でどう位置づけていくのか、そして、研究対象とした哲学者の著作の解釈を更新していくことにすべてのエネルギーを注ぎ込んでおり、哲学教育にしても、哲学の思想史研究としての哲学研究の専門家を養成するということに著しく偏っており、社会の中の哲学的思考を育んでいこうという関心が非常に少ないということが言える。
「科学」をヨーロッパから輸入する際に当たり、近代以前から日本に存在する伝統的な学問の位置づけが不安定なものになってしまったと考えられる。
(2)研究の細分化
要旨
研究の細分化が進みすぎると、「人間」や「歴史」に対する大きな認識枠組みの構築や提供といった一般社会からの期待に応えることができなくなる。
「哲史文」が、一般社会がに求める役割や機能、即ち、「人間」や「歴史」に対する大きな認識の枠組みの構築と提供という役割や機能を果たしていくためには、あまりにも研究の細分化、固定化が進んでしまっているという現状に留意する必要がある。
あまりにも細分化しすぎるのも問題ではあるが、新しい歴史像といった認識の枠組みの創造の前提には個別的な実証研究の積み上げが必要であり、非常に重要なのである。このようなメカニズムは、自然科学において実験や計測を積み重ねることなしに創造が生まれないというのと共通している。
(3)「哲史文」という枠組み
要旨
伝統的な「哲史文」の枠組みが大学教育の場面から急速に失われている。
大学における教養教育の衰退に伴って、「哲学」、「歴史」、「文学」といった、人文学の中核をなしてきた枠組みや名称が、教育の場面から急速に失われている。しかし、一方、研究の場面においては、「哲史文」の枠組みが、研究者の帰属意識として十分に引き継がれている。
(4)人文学への期待
要旨
人文学の知見がなければ応えられないような現代的な課題の解決への期待がある。
人文学の衰退が叫ばれる一方で、知的関心の高い人々を引きつけている斬新な研究があり、これを人文学の覚醒への期待と見ることもできるのではないか。
例えば、哲学や倫理学といった分野では、終末期医療や生殖医療における人間の尊厳といった課題を扱う生命倫理の問題や、現代人を引きつけている新宗教の問題など、哲学者や倫理学者、宗教学者の研究により様々な学説が提起されている。
 また、歴史学の分野では、現代の国際社会を理解する上で不可欠な要素であるイスラーム史に関する研究の興隆や、日本社会の包括的な理解という観点から網野善彦氏の中世社会史の研究に対する期待感といったものを挙げることができる。
 文学研究の分野では、今年、執筆後1,000年を迎えた源氏物語を東アジア世界の文学表現全体の中で考察した研究や、「カラマーゾフの兄弟」の新訳が大ブームになっていることなどを挙げることができる。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/015/siryo/attach/1343334.htm
トップ > 政策・審議会 > 審議会情報 > 科学技術・学術審議会 > 学術分科会 > 学術研究推進部会 人文学及び社会科学の振興に関する委員会 > 学術研究推進部会 人文学及び社会科学の振興に関する委員会(第11回) 配付資料 > 資料2 「人文学及び社会科学の振興に関する委員会」における主な意見(案)-「人文学」関係- > 第3 人文学の学問的特性

第3 人文学の学問的特性

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/meibo/1213864.htm

資料2 「人文学及び社会科学の振興に関する委員会」における主な意見(案)-「人文学」関係-
序 「学問」について
(1)「学問」の意義
(2)「科学」と「技術」-歴史的背景-
・「科学」と「技術」
・「技術」の淵源
・「科学」の淵源
・「科学」の成立
・「科学」の専門分化と日本における「科学」の受容
・「科学」の変容-「好奇心駆動型の科学」と「使命達成型の科学」-
第1 人文学の現状と課題
(1)輸入学問という性格
(2)研究の細分化
(3)「哲史文」という枠組み
(4)人文学への期待
第2 人文学の機能
(1)総論
・定義
・教養教育、社会的貢献、理論的統合
・「価値合理性」の判断
・「人間」の学
(2)理論的統合(諸学の基礎)
・「メタ知識」の学
・諸学の基礎としての哲学
・「価値合理性」の判断
・「人間」の学としての文学
・自然科学と人文学
(3)教養教育
・「教養」の意義
・共通規範としての教養:古典
・「価値」間の評価
・教養の文化的多様性
(4)社会的貢献
・教育を通じた貢献
・文明社会における人間の位置づけの確認
・グローバリゼーションの時代における文化の多様性の確認
・政策形成支援
・専門家と市民との架橋
・社会との関係が希薄な原因
第3 人文学の学問的特性
(1)学問的特性
・「科学」と「技術」
・「外部の目的の達成のための手段」としての「技術」
・「自己充足性」としての「科学」
・「文化」としての「科学」
・「科学」の変容-「好奇心駆動型の科学」と「使命達成型の科学」-
(2)対象
・価値、歴史、言語
・メタ知識
(3)方法
・歴史内在性
・価値相対性
・研究者個人の見識の重要性
・個人研究と共同研究
・使用言語
(4)成果及び評価
・真理の理解と社会の変革
・評価基準
第4 人文学の振興方策
(1)研究者養成
(2)学協会の役割
(3)教養層(「読者」)の育成
(4)大学等における人文学教育の充実
(5)日本由来の文化資源に関する研究

平成20年12月02日
学術研究推進部会 人文学及び社会科学の振興に関する委員会 配付資料

学術研究推進部会 人文学及び社会科学の振興に関する委員会 委員名簿
人文学及び社会科学の振興に関する委員会 委員名簿
平成20年4月1日現在

(委員 6名)
飯野 正子 津田塾大学長
井上 孝美 財団法人放送大学教育振興会理事長
上野 ひろ美 奈良教育大学教育学部教授
白井 克彦 早稲田大学総長
中西 友子 東京大学大学院農学生命科学研究科教授
西山 徹 味の素株式会社技術特別顧問
(臨時委員 4名)
主査 伊井 春樹 人間文化研究機構国文学研究資料館長
飯吉 厚夫 中部大学総長
家 泰弘 東京大学物性研究所所長
井上 明久 東北大学総長
(専門委員 10名)
石澤 良昭 上智大学学長
伊丹 敬之 東京理科大学総合科学技術経営研究科教授
猪口 孝  中央大学法学部教授
今田 高俊 東京工業大学大学院社会理工学研究科教授
岩崎 庸男 目白大学副学長
小林 素文 愛知淑徳学園理事長・愛知淑徳大学学長
主査代理 立本 成文 総合地球環境学研究所所長
谷岡 一郎 大阪商業大学理事長・学長
深川 由起子 早稲田大学政治経済学部教授
藤崎 宏子 お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/015/gijiroku/1289946.htm

学術研究推進部会 人文学及び社会科学の振興に関する委員会(第15回) 議事録
1.日時
平成21年1月16日(金曜日)15時~17時

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/gijiroku/attach/1238043.htm

人文学及び社会科学の振興について(報告)案 目次
平成21年1月16日
科学技術・学術審議会
学術分科会
学術研究推進部会
人文学及び社会科学の振興に関する委員会


https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu6/toushin/attach/1331261.htm

平成12年11月28日
人文・社会科学研究及び統合的研究の推進方策について(審議のまとめ)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。