面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「もっこす元気な愛」

2006年04月05日 | 映画
たぶん、かなりの人が知らないかもしれない。
でも、かなりの人に観てほしい。

脳性マヒによる障害をもつ哲也には、付き合って4年になる美穂という彼女がいる。
二人は結婚したいのだが、美穂の母親が結婚に猛反対。
母娘二人で生きてきた美穂は、なんとしても母親に結婚を認めてもらい、祝福してほしいのだが、母親は頑として受け付けない。
二人は、周りの人々の協力を得ながら、美穂の母親に結婚を認めてもらおうとするが、母親は哲也に会おうとさえしない。
結局、美穂の母親の同意は得られないまま、自分達の意志で結婚した二人は、入籍の報告に美穂の父親の墓参りに出かけるが、そこで思わぬ光景にであう…。

純愛という言葉が陳腐に思えてくる。
このドキュメンタリーの前では、どんな恋愛ドラマも絵空事。
終盤、美穂が母親への最後の説得に行くも理解を得られず、打ちひしがれて哲也のもとに帰ってきた夜、部屋で二人が寄り添う姿に涙が止まらない。

それにしても、人間とはこれほど前向きになれるものなのか。
哲也は、脳性マヒによる障害などものともせず、前進し続けている。
「障害者労働センター」の代表を務める彼は、障害のある仲間と一緒に「共生ホーム・元気」と名付けた一軒家に暮らし、より仕事の質を高め、自立した生活を送るために、足でハンドル操作のできる特注自動車を購入し、運転免許取得を目指す。
一途に前向きに、正しいと信じる思いを貫けば、周りを変えていくこともできるのだと、哲也が教えてくれる。

心が少し疲れたとき。
心が傷ついて、キモチが折れそうになったとき。
何も考えずにこの作品を観れば、とめどなく涙が溢れたあと、心がリセットされているのに気付くはず。

もっこす元気な愛
※映画の公式ホームページはありませんが参考になります
2005年/日本 監督:寺田靖範 出演:倉田哲也 ナレーション:辛淑玉