面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「戦闘少女 血の鉄仮面伝説」

2010年06月21日 | 映画
最近、原因不明の右腕の痛みに悩まされていた内気な女子高生・渚凛(杉本有美)は、学校でその卑屈な態度が原因でいじめられいた。
16歳の誕生日を迎えたその日も、階段から突き落とされ、気を失ってしまう。

目が覚めると保健室のベッドに横たわっていたが、身体はベッドに縛り付けられていた。
保健教師(川合千春)が、凛には理解不能なことを言いながら、彼女を何処かへ引き渡そうと電話で連絡をとる。
そして凛に何かの薬品を注射しようとしたその瞬間、凛は身体中の血が沸き立つのを感じると突然右腕が変化し、瞬く間に教師の耳を切り落とす。

保健室を逃げ出した凛は、家族の待つ家へと駆け戻った。
誕生日パーティーの準備をして待っていた両親の顔を見たとたん、思わず泣き出してしまう凛。
しかし父親は驚く様子もなく、自分はミュータントであるという、とんでもない事実を打ち明ける!
凛の右腕の変化は、ついにミュータントとして覚醒した証しだったのだ。
こうして、凛の過酷な運命の火蓋が切って落とされる…

「片腕マシンガール」「ロボゲイシャ」など、海外で熱狂的な支持を集める井口昇・西村喜廣のコンビに、自身もアクション俳優として活躍する坂口拓も加わった最強タッグが、超ド級スプラッター・アクション・ムービーを生み出した!
戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズなどで活躍する、杉本有美・高山侑子・森田涼花の美少女3人が、身体の一部をグロテスクに変化させながら、画面狭しと暴れまわる異色のアクションは、まさに3監督の真骨頂。
異形(いぎょう)の美少女は井口、“大雨洪水警報”級に降り注ぐの血の雨は西村、大立ち回りの派手なアクションは坂口と、3人の持ち味が遺憾なく発揮された奇々怪々な世界が繰り広げられ、観客はエンディングまで一気に連れて行かれる。
(上映時間が約90分と短いこともあるけどね)

肉が骨もろとも切り裂かれ、凄まじい勢いで血しぶきが上がる凄惨な場面も、そこはかとなくユーモラスなシーンになってしまうのは、あまりにもバカバカしくてくだらない演出のなせるワザ。
「そんなアホな」が満開の設定やセリフ、「エロ・グロ・ナンセンス」なミュータントの造詣など、一種独特の妙味はクセになる味わいで、コアなファンの熱狂を呼ぶのも頷ける。

また、防衛省幹部を演じる竹中直人が、とても大河ドラマで主役をはったとは思えない生来の“怪優”ぶりを発揮!
細かくギャグを散りばめる演説や、ふんどし一丁でカツ丼を食うなど、往年の「笑いながら怒る人」を思い起こさせる怪演が秀逸!
ビートたけし同様、根っからの芸人であることを忘れない姿に感動した。

製作の段階で既に7ヶ国での公開が決定しているというからビックリ!
常識を打ち破り、既成概念を粉砕して楽しむ娯楽があることを世に知らしめる怪作。



戦闘少女 血の鉄仮面伝説
2010年/日本  監督:井口昇、西村喜廣、坂口拓
出演:杉本有美、森田涼花、高山侑子、坂口拓、竹中直人