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「待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ 今宵は月も出ぬさうな」
竹久夢二の詩にある、夏の宵を飾る宵待草。
本名は待宵草、又は月見草だ。
暑苦しい夏の夜にぼんやり黄色く咲く雑草。
夕方から開花した花びらは朝見るとすでにしぼんできていて、昼間は既に枯れている。
しかし、明日の夜を期待してか次の花の芽は「ぱんっ」と張っている。
夜になるとしっかり開花し誰かを待つ。
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夢二の描く女性はみな美しい。
こんな人が待っていたら走って帰るに違いない。
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食卓を飾るもう一つはテッポウユリだ。
一輪挿しと比べると、ほぼ同じ大きさで存在感抜群だ。
きれいだけど顔が大きすぎてバランスが悪い、ちょっと残念なタイプだ。
夏の食卓を二つの花が彩る。
どちらも花をさわるとひんやりした湿り気があり心地よい。
花は五感でみるものだが、特に触覚だとオレは思う。
嗚呼、ボタニカル!