ベランダのハーブどもは元気だ。
丸い鉢に4つのハーブを寄せ植えしたのはこの4月の終わり。
イメージしたのはイングリッシュガーデンのミニチュア版だ。
シックな赤や青、黄色な草花が乱れ咲きすればさぞかしきれいだろう。
食べるためではなく、見るために植えたのだ。
どうみても雑草にしかみえないこたちに毎朝せっせと水やりをした。
さすがに雑草だけあってやつらはみるみる成長し、領地争いを始めたのを楽しく観察していたのだ。
4ヶ月たち、やつらは成長した。
だが、美しくはない。
ただの雑草の乱れ咲きだ。
ここに色とりどりの花でもついてくれたらいいがその気配はない。
「美は乱調にあり」とはいえ、そうも思えない有様である。
4つのハーブ野郎たちが「オレがオレが」の自己主張と領土のぶんどり合戦を日々演じている。
やりたい放題だ。
ただの雑草どもに水やりをするのも何だか空しいがしょうがない。
これも縁だと思い、オレのベランダの一員としてお世話をしているがほとんど「施し」だ。
でも元気で勢いのあるやつは見ていてなかなか楽しいものだ。
別の鉢ではレモンバームがとても地味な花をつけていた。
こいつは触るととレモンのいい匂いがする。
死んでしまったローズマリーもいい匂いがした。
一番丈夫そうだったのに一番最初に死んだ。
なかなかうまくいかない。
さてバトルロイヤルの結末がどうなるか。
一人が他を追い出して領土を独り占めし「天下布武」を実現するのか。
軍師、官兵衛のつもりで今日も成り行きを見物している。
嗚呼、ボタニカル!