東京電力福島第1原発の深刻な事故の原因となった大津波を伴う巨大地震について、
09年の経済産業省の審議会で、約1100年前に起きた地震の解析から再来の可能
性を指摘されていたことが26日、分かった。東電側は「十分な情報がない」と対策
を先送りし、今回の事故も「想定外の津波」と釈明している。専門家の指摘を軽んじ
たことが前例のない事故の引き金になった可能性があるほか、東電の主張を事実上
追認した国の姿勢も問われそうだ。
09年6月、25年ぶりの原発の耐震指針の改定を受け電力会社が実施した耐震性
再評価の中間報告書案を検討する審議会が開催された。取り上げられたのが869年
に宮城県沖で発生したマグニチュード8以上とみられる「貞観地震」だ。
報告書案にはこの地震に触れられておらず、委員の岡村行信・産業技術総合研究所
活断層・地震研究センター長は「非常にでかいもの(地震)が来ているのが分かって
いる」と問いただした。東電側は「被害はそれほど見当たらない」と答えたが、岡村
センター長は、海岸線から数キロ内陸まで浸水したという最新の研究から「納得でき
ない」と指摘した。その後の会合で、東電は、貞観地震で予想される揺れは原発の
耐震構造の想定内との見方を示した。
多くの専門家は、貞観地震は、東日本大震災を「貞観地震の再来」とみている。
また、450~800年程度の間隔で同規模の津波が起きた可能性も浮かび、論文で
も報告されている。
東電によると、現地で測定された地震動は、ほぼ想定内に収まり、地震によるトラ
ブルは少なかった。一方、非常用電源の喪失など津波による被害によって、炉心の
冷却ができなくなり、水素爆発をはじめとする前例のない事故を引き起こした。毎日
新聞の調査でも、東電を除く9電力会社が所有する14原発で、津波による浸水を
想定していなかった。
東電の武藤栄副社長は25日の会見で「連動した地震による津波は想定していなか
った」「(貞観地震の見解が)地震や津波の共通見解を出すには至っていない状況に
あった。学会として定まったものがなかった」と釈明した。東電の対応に対し、岡村
センター長は「原発であればどんなリスクも当然考慮すべき。あれだけ指摘したが、
東電から新たな調査結果は出てこなかった。『想定外』とするのは言い訳に過ぎない」
と話す。
(毎日新聞)
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