ガイド日誌 - 北海道美瑛町「ガイドの山小屋」

北海道美瑛町美馬牛から、美瑛の四季、自転車、北国の生活
私自身の長距離自転車旅
冬は山岳ガイドの現場をお伝えします。

キャンセルの山を越えていこう!

2018年09月08日 | 北海道
9月6日早朝の北海道地震、
停電
通信ダウン
交通はマヒして物流はストップ

まあジタバタしても仕方ないので家でのんびりしていた。

ポータブルの小型ガソリン発電機が役に立った。灯油ボイラーを起動できたし、小型冷蔵庫や、LED照明を1つだけ灯すことが出来た。
東日本大震災はじめ電源を喪失した被災地へのボランティア活動に持参、使用していたのだけど、まさか自分達のために使う日が来るとは思わなかったけど。

そろそろ野菜か足りなくなり始めた頃にご近所からお野菜もらったり、野菜のお礼にお風呂に入ってもらったり。

灯りのある部屋に家族みんなが集まるし、星空は綺麗だし、土鍋で炊いたご飯はうまいし。
昭和みたいで、悪くなかった。

このように、しばらく静かに生活して、
昨夜ようやく電力復旧。

昨夜は久しぶりの明かりに家族は喜びに沸いた。
「明日から普通の生活だね」と安堵しつつ眠りについた。

今朝、雨が降っているしJRも不通なので営業再開にはならなかったけど、それでも仕事をしようとパソコンを起動して久しぶりにメールを開いて絶句した。

そこで目にしたのは、キャンセルの山だった。

「アースクァイク(地震)だからキャンセルしたい」

海外のお客さんの多くが北海道旅行のキャンセルに殺到しているのは明らかだった。

今月末から10月第1週は「国慶節」という中国、台湾、香港などの大型連休だけど、
こんな感じだから今年の北海道はどうやら
閑散期となりそうだ。

地震、大停電はなんとか凌いだ。

しかし、トドメで
「キャンセルの山」キターーー!!!
北海道地震、
最大のダメージはこれだった。

真っ青。

たぶん北海道中がそうだろう。
観光関係は今頃、真っ青になっているはずだ。

新聞にはデカデカと「計画停電」の文字。
こんな記事を見たら、
日本人だって、
北海道旅行の計画は吹っ飛ぶだろう。

まあ、こればかりは仕方ない。
天災なのだから。

※ ※ ※

昨日、
「ひとり18リットルまで」という配給のガソリンを買いに美瑛の町までオートバイで買い出しに行った。
途中、行きも帰りも、観光客にひとりも出会わなかった。レンタカーも1台も走っていない。

農家さんだけは、忙しそうに農作業に精を出している。

昔の美瑛みたいじゃないか。

僕が初めて美瑛を訪れたのは今から30年以上前。
その頃の僕はまだ「美瑛」を知らず、「富良野」だと思って今の「美瑛町美馬牛」にやってきた。
つまり、今住んでいるココだ。

観光客はほとんどいなかったし、レンタカーなど皆無だった。

オートバイでやってきた。
僕は19歳で、ひとり旅だった。
富良野から国道237を走り、
峠道で国道を離れて美馬牛小学校などがある方面へ。

まだ四季彩の丘はなく(ずっと後になってからだ)、どこまでも、ウネウネと、ひたすら畑だった。

その後ろでは十勝岳が、ぷわわわん、という感じで、
のんびり噴煙をくねらせていた。

寝転んでタバコの煙をくねらせている好好爺みたいだった。

美馬牛の景色に圧倒された。
ここだ!と思った。

あれも確か、9月の初め頃だった。
なんだか、あの頃、昔に戻ったみたいだ。

観光客のいない静かな美瑛。
静かな秋が始まる。

まあそれはそれで、悪くない気がする。

この山を乗り越えていこう。
また頑張ればいいさ。

そう思っている。


クレーマー・・・

2018年07月26日 | 北海道
朝から、
intimidation
とか、
complain
なんて言葉を調べている俺って・・・。(泣)

どちらも、クレーマーを指す英語で、
前者のほうが、より犯罪色が強く、後者はやや緩和されます。

人を指す場合は、complainer、のように、語尾にerを付けます。

お金を支払う段階になって逆切れして大騒ぎする方は
数は少ないものの、ある一定数いらっしゃいます。

とくに大幅な延長料金や、モノを破損したとき。
雨が降った日、暑い日。それは訪れます。

経験上、だいたい、1000人にひとりくらいの割合です。

99%以上の方が、適正な支払いに応じてくださいますし、
支払いの意思が明確な場合は出来るだけ大きな負担にならないよう、べらぼうな金額にならないよう、
また、破損の場合は、部品代のみに留め、さらに私が修理可能な範囲であれば、
「気にしなくていいですよ」と応じることがほとんどです。
しかし、
最初から対決姿勢で「絶対に支払いたくない!ガオー!」な方に対しては
妥協や譲歩のきっかけがなく、かえって完全な「全額請求」になってしまうのでコトはむしろ重大になってしまいます。

つまり、まともなお客さんに対しては、私たちは優しく(笑)
当店ではクレーマーは間違いなく「損」をします。(きっぱり)

それでも、何かと大ごとになりますから色々と大変です。
たかだか数百円のことが多いのですが、嘘の上塗りをしたり、激高したりで既に引っ込みがつかない方がいらっしゃいます。

私たちが「泣き寝入り」して差し上げることがもっとも安上がり、かつ、もっとも有効ですが、
ここで泣き寝入りしてしまっては、快く支払いに応じてくださった正直者の999人の皆さまに申し訳なく、
「結局、ズルいやつが勝つ世間」というのは決して許せない私なので、
ゴネ得な「ズルいひと」を得させるのが何よりも嫌悪する私たちは絶対に折れません。
だから余計に、解決は容易ではないのです。

ただ、20年間やってきて、阿鼻叫喚、辛酸舐め舐め、数々の痛い目に遭ってきたので最近は無理に自分たちだけで対応せずに
すぐに警察に相談しています。

「何を大げさな!」みたいな感じですが、無理に対応すれば高確率で暴力を誘発しますし、そうなれば双方にとって不幸しかありませんから、むしろ収束に向けた最善の方策だと気づきました。

また、お金の支払いが絡むクレームは、「強要罪」が成立しやすいので、
警察の介入がしやすい、ということでもあります。

クレーマーには国境の差はなく
日本人でも相当数いらっしゃいます。

相手の国籍には関係ないようです。


お金の支払いを拒む場合は、警察の介入が最善の解決策だと思います。

北海道は今が観光最盛期ですね。
モンスターカスタマーで苦しんでいる皆さまの参考になれば幸いです。


昨夜の月は綺麗でした。

吠えちゃうな俺!
「ワオーーーーーン!」




美馬牛での撮影は無事終了。『こんな夜更けにバナナかよ』

2018年07月02日 | 北海道
松竹映画2018年年末公開予定『こんな夜更けにバナナかよ』
二日間に渡った美馬牛での撮影が無事に終了しました。

撮影隊はいったん完全に撤収したので、集まっていたファンの皆様も続々と去っていき、完全に静けさが戻ったと思ったら!
2日目の深夜12時過ぎに突然、地響きとともに続々と車両や俳優さんたちが再結集して、慌しく撮影を再開したのです。

深夜の撮影は主に、屋外のシーンのようでした。

まさに、
『こんな夜更けに!』

ガイドの山小屋の第二駐車場は撮影隊の機材基地になりました。
写真中央には、俳優さんたちの移動に使われるバスが見えます。

早朝、新聞屋さんが朝刊を配り始めるころには撮影は終了し、潮が引くように今度こそ完全に撤収したそうです。
あとにはチリひとつ残しませんでした。

午前5時。いつもの美馬牛。小鳥さえずり、リス走る、いつもの朝。

慌しくも非日常的な二日間でした。

『こんな夜更けにバナナかよ』公式HP
http://bananakayo.jp/


新聞記事に!?

2017年10月06日 | 北海道
「ガイドの山小屋」が全国紙に紹介されました!
のかと錯覚しましたよ。

カゴは基本的にゴミ箱(笑)
まあ、美瑛の丘に撒き散らすよりはいいです。どこかの売店で買ったソフトクリームやコロッケの包装紙やら、食べかけのトウモロコシやメロンゼリー、大量のティッシュ。ちゃんとボクが処分しますよ。


産経新聞9月13日
関西の議論】中国人観光客、レンタサイクルで古都を隊列で暴走 パンクにも「整備が悪い」と逆ギレ


ただ、記事には少しばかり説明が足りない部分があります。
中国人=マナーが悪い

それは違います。

私たち「ガイドの山小屋」で問題だと感じる割合は全体の2割程度(日本人と比較して30倍程度)です。
それは、中国人だから、ではなく、一部の個人の問題です。

あるいは、

「富裕層」 紳士的
「中間層」 概ねマナーがよい
「中間やや下」 ストレス高め?マナーが低下、攻撃的
  以下、低下する傾向

こういう傾向も見られます。年齢はあまり関係ないようです。
もちろん、当てはまらない方も多数。
また外国人のなかでも韓国の方のマナーは非常によい印象で、次いで台湾、タイと続きます。

追記になりますが、当店のケース
7月のある日のこと、香港からきた女性客は、転んで自転車を壊しておいて「最初から壊れていた」と騒ぎ、逆に金払えと脅してきました。金銭の奪取に失敗した腹いせに、その日の夕方から観光協会にクレーム申し立てて大騒ぎ。
それでも収まらず「政府機関に訴える」んだそうです。むしろぜひそうしてほしいと思います。

物を壊したり、車や人にたいして接触事故を起こしたり、誰かに損害を与えたら弁償や罰則が待っていることを認識すべきです。

私たち日本人もまた、外国人だから仕方ないと泣き寝入りすることが多々ありますが、

「いいなり」になることは、
「おもてなし」ではありません。

「あまやかし」「おもてなし」は違います。

特にトラブル時は基本的に「自分は悪くない」+「自分はかわいそう」という発想なので対応が非常に難しいです。

それでも諸々のマナー問題は、少しずつですが、年々、改善されてきているように感じますから、
こういう「やばい人」の割合は減ってくると思ってます。
いずれ10年後くらいにはマナーも先進国の仲間入りをしていたらいいですね。

案外、この分野でも日本があっと言う間に抜き去られたりして。
ヨーロッパで大暴れしていた30年前の日本人を思えば、十分にあり得る話かもしれません。

10月。いつの間にか喧噪の夏が終わり、
ほんのり雪化粧した十勝岳からは白い噴煙がゆらゆら、今年も美瑛に静かな季節が訪れました。

繁忙期の出来事(残念編)

2017年07月17日 | 北海道
7月です。夏休み!

北海道美瑛では、
お天気が良かったり、悪かったり、
暑かったり、寒かったり、

日々いろいろなことがありますが、ほとんどの方は気持ちよくサイクリングを楽しんで美瑛を満喫していただいていると思います。

99.99%のお客さんとの間にトラブルは発生しませんが、
なかには、本当に、たまに、
1万人に一人くらいの割合で、大きなトラブルになることがあります。

THE DAY...
きょうが、その日でした。



それは、中国から来られたお洒落な女性2名様。
事前の予約だったので、今年購入したばかりの新車を提供しました。
パナソニックの新車の電動自転車を前に、うれしそう。
電動自転車の取り扱いの説明を済ませて気持ち良く出発されました。

しかし夕方、帰ってこられて第一声が激しいクレーム。
だいたい、こういう内容でした。

「この自転車は壊れている」
「私は大変な苦労をした」
「お金を返してほしい」

驚いて自転車をチェックしたところ、電源スイッチが完全に沈黙しています。

他に目立ったダメージはありませんが、カゴやハンドルに傷があります。
新車だったので、目立ちます。
私は勘で「転んだのではないか?」と思いました。

その女性たちは怒りが激しいのでなかなか詳細を訊くことは困難でしたが、
次第に事情がわかってきました。

砂利道で転んだこと
その後、電源がダウンしたこと

私の勘が当たっており、車体を詳細に調べると、
コントロールユニットをつなぐ配線が半分切断されていました。

コントロールユニットごと交換しなければならず、部品代は高額。しかも納品に1週間、その間この電動自転車は使用不可。ずっと予約が入っているのに、どうしたらいいのか・・・。

部品代だけを請求しましたが、怒りは拡大。
とうとう収拾がつかなくなりました。

本人の言い分は大体こうでした。

「私たちはかわいそう」
「大変な苦労をした」
「これはアクシデント。弁償はおかしい」
「あなたが私にお金を払え」

何がなんだか、わかりません・・・。

さらに困ったことは、
転んだ本人ではなく、同行の「お友達」が全て代弁をさせられていることです。

そういえば、壊れた自転車に乗って汗を流しながら帰ってきたのは、本人ではなく「お友達」。
ご本人は余裕で、壊れていない新車に乗って帰ってきました。
困難な交渉を行うのは、「お友達」。
最初に予約をしてきたのも、「お友達」。
申し込み用紙に記入したのも、「お友達」。
パスポートのコピーも「お友達」のもの。

本人は時々、奇声をあげるだけです。キー!

最終的に弁償のお金を払ったのも、その「お友達」。
「お友達」かわいそうすぎる・・・。

さらに困ったことに、その「お友達」は事情を理解したようで、
最後に、ちゃんと謝ってくれました。

ほんとうにかわいそう。

もしも。
もし、最初から謝ってくれたら。
もしも、
その「お友達」が当事者であれば。

「いいよいいよ。大変でしたね。」
「お金はいいから、良い旅行を続けてくださいね。」

私も、そう言えたのですが。

実際に、

パンクや、転んだ傷、ダメージ。
ベルが紛失していることなど、日々日常のこと。

しかーし!

黙って帰ってしまう人、数多し!(苦)
むしろ、日本人!(苦)

でも、ちゃんと自己申告してくれたら、

「いいですよ。気にしないで」
弁償しなくていいよ。これから気をつけてね。

ほとんどの場合は、そう言って差し上げるのですが、
今回はほんとうに残念でした。



外国のお客様と私たち、
国が違えば生活環境も違います。価値観も考え方もかなり違います。
そこにトラブルが生じるのですが、今回も対処の困難な事例でした。

彼女には、
「修理には費用が生じること」
が理解できず、
逆に、
「私、かわいそう」
が最優先だったこと。

個人の問題だと考えておりますが、
もしかしたらお国柄かもしれません。

解決方法はただひとつ。

黙って泣き寝入り!

ああ、それはやっぱり無理ですね。

さて、こういうことがあると直後から無断キャンセルが続発して予約が激減することがあります。

原因は、SNSかな?

それでいいと思います。
これ以上は、悪意のある人に来てほしくない。
時に悪意は連鎖します。

むしろ、

あそこはちょろい。
あそこは泣き寝入りする。

そういう評判のほうが怖いです。

美瑛町のJR美馬牛駅にある私たちのお店は、
アクセスが劣るため
もともとJR美瑛駅周辺よりも外国人の割合が低め。
日本人の割合が高めです。(JR美瑛や富良野と比較して)

明日からは客層が
5年前に逆戻りするかもしれません。
仕方ないですね。

それでもやっぱり、私は泣き寝入りはできません。

最後に。
このブログを読んだ方たちにお願いです。

勘違いしないでくださいね。
インターネットはしばしば、特定の国を中傷したがりますが、
そうではありません。

これはあくまでも、
心の醜い「お友達」と旅行してしまったら、あなたに不幸を引き寄せる
という例を紹介しております。

国籍はあまり関係ありません。

たまに現れる日本人クレーマーにも共通した、
悪意のある個人の話。
そして、巻き込まれている不運な「お友達」のお話にすぎません。

というのも、似た例が、7年前に実際にあったんです!
それは日本人の大学生女子3人組でした。

そのときも、悪そうな2人が命じて、「おとなしそうな子」に実行させていました。
私は途中から詐欺だと気づいたのですが、「おとなしい子」に危害があってはいけないと考えて、あえて騙され続けました。それくらい「おとなしそうな子」は本当に気の毒だった。

やはり友達は、選ばなきゃですね。

夏休み!お友達との女子旅!

ここにいると、日々彼女たちのいろんなことを目撃しますが、
せめて、美瑛の思い出だけは楽しいものであってほしいと願っています。