旅立つカヌー
時が流れて時代が変わったけれど、
令和のいまにそっと繋がっていく
昭和の終わり前後だったと思う。
当時大学生だったボクは、
富良野で行われていた大規模アウトドアイベントで
会場のアルバイトをしていた。
そのイベントで使われていたカヌーが
ずっと札幌市内の財団の倉庫に眠ったままだったのだけど、
このたび、財団の解散に伴い、処分に困っているという話をきいた。
その友人はGW前にぶらりと現れた。
25年前、生まれたばかりのガイドの山小屋を一緒に駆け抜けた友人ノリスケ(古いあだ名)
語学堪能で穏やかな性格、いつもニコニコしていて皆に愛される親しみやすさ
そして1999年、
美瑛で最初に(もしかしたら北海道初)ガイド付サイクリングをやった男、
ファーストペンギンだ。
彼はその後、知床でアウトドアガイドとして働き、縁あって財団に就職した。
ノリスケは言うのだ。
山小屋さん、もらってもらえないかと。
ボクも20年前にカヌーツアーをやめていたので、頂くわけにはいかない。
〈写真〉美瑛川にて2000年6月頃
でも、あそこならどうか?
当時のイベントの精神を正当に引き継いでいる、あの男なら。
あれよあれよと話は進む。
過ぎ去ってきた青春の日々に、俄かに光が差す。
かつての若者たち、今はいい歳のオジサンたち動く。
さくさく動く。
赤いカヌーが屈斜路湖に浮かぶ姿を想像して
オジサンたちのわくわくは止まらない。
そして、その日。
カヌーが再び日差しを浴びた。
赤いカナディアンカヌーをのせて、
東へと旅立っていく。
縁は繋がる。