ガイド日誌 - 北海道美瑛町「ガイドの山小屋」

北海道美瑛町美馬牛から、美瑛の四季、自転車、北国の生活
私自身の長距離自転車旅
冬は山岳ガイドの現場をお伝えします。

町はもうすぐクリスマス 自転車で旅するニュージーランド

2016年11月30日 | 自転車の旅 海外

西海岸から北に向かっていたはずなのに、僕はいつの間にか、クイーンズタウンに舞い戻ってきた。
地震の影響や、天候やら、理由はいろいろだけど、まあいいだろう。

この一週間は西海岸、最南端地域を中心に天気が大いに荒れたので仕方がなかったのだけど、クイーンズタウンも例外なく、雨こそ降らないものの昨夜までずっと強風が吹き荒れていた。
その強風もようやく一段落したようだ。
毎日誰かと会い、楽しく過ごしていたが、天気が回復したならばそろそろ旅人に戻らなければならない。
この休みの間に手持ちの工具で可能な限りの整備と修理を行った。欠損したり紛失した部品は町の自転車屋で調達した。チェーンや歯車類は洗浄して砂埃を落とし、新しい機械油を馴染ませた。長旅に疲れた自転車だったけど、もうすっかり調子はいいはずだ。

今回の部屋は古いけれど短期暮らしには十分な広さがあった。
リビングダイニングのほかに簡素ながら十分なベッドルームがふたつある。

ここは25年前には既にあったし、その頃には既に古かったから、いったい築何十年なんだろう。

ここはタイムカプセルだ。僕の好きな古いニュージーランド、古いクイーンズタウンがココには残っていた。

兄弟と2人でシェアして暮らす。

町はもうすぐクリスマス。
飾り付けが始まったようだ。
僕は、旅人に戻ることにした。

今夜はご馳走だ!

ラム肉のローストだ!

男たちのハッピーアワー!

やっぱり、友はいいものだな、兄弟よ。







ニュージーランド地震、その日。 自転車で旅するニュージーランド

2016年11月21日 | 自転車の旅 海外
11月13日、南島カイコウラ付近に大きな被害をもたらした地震が発生した、その時。
私は南島最南端の町インバーカーギルの北110km、ワカティプ湖南端のキングストン集落のキャンプ場にいました。

そこは震源からは約800km離れています。

日本時間20時頃、ニュージーランド時間深夜0時。
私は何も知らずに眠りについていて、家族からの安否確認のメールで地震の発生を知った次第です。

私は無事です。
また、クライストチャーチやクイーンズタウンに住む友人たち全員も無事です。(Facebookで確認)

地震からブログ更新をしていなかったため、ご心配のお声を多数お寄せいただいたと聞いております。何やら戸惑うやら嬉しいやら。
ありがとう。そして、ご心配をおかけしました。

地震から一週間が過ぎました。事態は収束に向かっております。
ただ、
北島ウェリントン(首都)から南島カイコウラ付近にかけての被害は甚大で、国道1号線は各所で崩落や欠損があるため当分の間不通。
鉄道も不通。
北島と南島を結ぶフェリーも不通。

つまり
自転車南島一周は不可能、
さらに自転車を乗せてフェリーで北島に向かう変更案も不可という状況です。
まあ、何とかやっていこうと思っています。

また、直接の影響はないものの、南島の東海岸北半分がゴッソリと被害を受けているため、観光客たちは西海岸や南半分に集中しており、宿泊予約が取りにくいなどの間接的な影響があります。
これが地味にキツイです。(苦)

カイコウラはじめ被災地にはもちろん在留日本人も多数いらっしゃいます。私が毎回お世話になっていた方もいらっしゃいます。
その方々の不便な生活を思えば、呑気に楽しくブログ更新などは控えたい気持ちも依然としてございますが、
地震から一週間を区切りとして、ブログを再開したいと思います。
これからも『ガイド日誌』宜しくお願い致します。

ガイドの山小屋
三浦 剛


キングストン付近 11月13日昼頃


モーテル(motel)って、何? 自転車で旅するニュージーランド

2016年11月12日 | 自転車の旅 海外

モー、
ねえねえ、
ニュージーランドのモーテルって、
どんなところ?

アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド。
ハイウェイ沿いに、モーテル。

いかにもモータリゼーションな響きではある。

日本でも昭和の頃にそういう名のものがあった。
日本国民の品格に関わるというので「死語化」されたが、アレとはもちろん違う。

日本の感覚ならば、
ビジネスホテル
が、いちばん近い。

利用者も、旅行者よりはむしろ、地元の人。
工事のおじさん達なんかがよく利用している。

オーストラリアのモーテルも、ニュージーランドのモーテルも、ほぼ同じだが、
ひとつ決定的な違いがある。
それは、
ニュージーランドのモーテルには、
「キッチンがある」
ということだと思う。

オーストラリアのモーテルには、
キッチンはなかった。

たぶん「ニュージーランドならでは!」だと思う。

では、
代表的なモーテルをみてみよう。

ピンキリなのだが、
宿泊費はだいたい、一泊6000円〜15000円。
部屋代なので一人で泊まっても二人で泊まっても同じ。一人だと高く感じるが、二人ならかなり割安感がある。

ワンルームから、寝室が別にある1LDK、2LDK、3LDKといろいろ種類がある。
ワンルームはSTUDIOスチゥーディオと呼び、
以下、1ベッドルーム、2ベッドルームと続く。

なんといっても、その特徴は、

暮らすように泊まれる

ということにあるだろう。

平均的なモーテルのユニット前にて

GOREの町外れのモーテル。
ここは8000円だった。
ひとりでも8000円、二人でも8000円だ。

リビング。

平均的で平凡なkiwiリビングだ。

ベッドルーム。

大抵は、クイーンサイズが一台どーん!と、あるだけ。

平均的なバス・トイレ・洗面。


シャワーだけ。
まず、バスタブはないと思って間違いない。

台所。

小さなテーブルつき。平均的なキッチンだ。

冷蔵庫にはミルク。

チェックインのときに貰える。
電子レンジは必ずある。

食器棚。

必要最小限の食器類、それから充分なコーヒー紅茶が備わる。

引き出しには、



必要なあれこれ小物が揃う。

流し台の下には、

鍋など。

そして、コンロはオーブンつき。

これで完璧な自炊ができるだろ?

僕は自炊派なので、モーテルをよく使う。

若い頃はカネがなかったし、
カネがないので世の中に拗ねていた。
貧乏旅行=カッコよくて、
こういうところに泊まるのは堕落だと思っていたから、随分と大人になったもんだと思う。

モーテルに泊まれば、

完璧な自炊ができ、
その日の着衣を洗面所で手洗いして干しておけば翌日着られる。
WIFI使い放題。sky見放題。
疲労は回復するし、荷物はミニマム化できるし、
部屋は完全なプライベートだから、格好は自由だし、暖かいし、イビキOKだし、だいいち治安がいい。

経験上、
結局は高くつかない
ということを知ってしまった。
これも経験値かなと思ってる。

モーテルにチャリで乗り付けても問題はない。

インバーカーギルにて。

よくドイツ人自転車野郎に遭う。

手前、山小屋マシン。奥はドイツ車。
ラムズデンにて

ところで、
オーストラリア・ニュージーランドでは、
HOTELとは、酒場を指すこともあるので注意しよう。
部屋は、あったり、なかったりする。

いわゆるPUBのことだ。

ただし、パブには酔っ払いのために宿泊が併設されていることも多い。
それらは個室だが台所はなく、バストイレは共同。酒場のフロア直結で、かなり賑やかではある。
女性の一人旅にはとても勧められない。

まあ、話のネタにはなるだろう。
映画みたいで、悪くないものだ。

宿は、バックパッカーやYHAばかりではない。
キャンプ場のキャビンも楽しいし、
モーテルもなかなかいい。
たまには、リゾートホテルもいいだろう。

だから旅は楽しい。






天気が悪い日。 自転車で旅するニュージーランド。

2016年11月11日 | 自転車の旅 海外
朝、北へ向けて出発した途端に雨に降られ、
泡食って宿に舞い戻ってきた。

本日の走行距離3.7km。(笑)

暇なので、
部屋の台所にこもって食糧袋の在庫処分大会を開催中。

お米炊いて、

いなり寿司

作ってみた。

世界最南端いなり寿司だ。

明日こそはインバーカーギルから北へ向けて出発だ。戻らないぞ。

いい風よ、吹け!




強風に抗い辿り着いた町。 自転車で旅するニュージーランド

2016年11月10日 | 自転車の旅 海外

ニュージーランド南端の地方は、天気が変わりやすく、また強風地帯でもある。

南極海からやってくる南風が混じれば、飛びっきり寒くなるし、オーストラリア南岸からタスマン海を渡ってくる西風は、ときに爆風のようになる。

南緯40度〜50度付近の風は地球が自転している限り、とどまることはないから仕方ないのだ。

風雨に叩きのめされながら、ようやくニュージーランド南端の町、インバーカーギルに着いた。

途中の写真はあまりない。
カメラを構える余裕がなかった。

爆風を真正面に捉えた日などは、何度も心が折れそうになった。
くるりと方向転換して宿泊していた町まで戻ろうと何度も考えたものだ。

そのたびにチューブのコンデンスミルクを少し吸っては気持ちを整えた。
再び、ゆっくりとペダルを漕ぎ出す。
風に押し戻される。

時速8km程度。登り坂と同じだ。

こうして、一歩一歩を積み重ねて、ようやく町に辿り着いた。

コンデンスミルクは、

残り僅かになっていた。

この日、宿に入ってからは疲労が過ぎて満足に動けなくなった。ちゃんと活動し始めたのは翌日からであった。

さて、翌朝はよく晴れた。

インバーカーギルは、広くて美しい町だ。

滞在しているyarrow stからは、スコットランド建築の水道塔がよく見える。

町の中心はコンパクトにまとまっている。

モールのようだ。

この町は、北海道に例えるならば、
稚内にあたるだろう。
最北の地ならぬ、最南端の町。

風が強い町。

また、北海道の礼文島、利尻島にあたる、
島一周トレッキングが盛んな離島、
スチュアート島がある点も似ている。

スチュアート島には、
インバーカーギル南部ブラフという港から毎日定期便が出ている。

さて。
ここ、最南端の町インバーカーギルには、
いくつかの「世界一」がある。

世界最南端のマクドナルド
世界最南端のスターバックス
世界最南端のケンタッキーフライドチキン
世界最南端のバーガーキング
世界最南端のサブウェイ
世界最南端の…

もういいだろう。

そこで、
このうち、マクドナルドとスタバに行ってみることにした。

10年ほど前までは、
南米最南端の町、プンタアレーナス
にあるマクドナルドが最南端だったが、
閉店してしまったという。
そして、しばらくはインバーカーギル・国道1号線沿いの下記店舗が世界最南端だった。

しかし!
今は違うので注意なのだ。

「サウスシティ」という、インバーカーギル郊外の新興住宅地に向かうエレス・ロードは、
俺が名付けた最南端ロード

まず、バーガーキング。


次は、ケンタッキーフライドチキン。


そして、マクドナルド。


さらにサブウェイもあるのだが、もういいだろう。
「ぜんぶ世界最南端!」

ちなみに、マクドナルドだけではなくサブウェイもケンタッキーフライドチキンも、インバーカーギル市街地に複数の店舗がある。

現時点では、インバーカーギル郊外、
「サウスシティ」にある店舗こそが、世界最南端である。

さあ、世界最南端マクドナルドへようこそ!

しかし店内は至って普通。
来店時はランチ時で、店で働いているのは近所の小綺麗なパート主婦の皆さま。
このへんも、日本と同じだな。

店の中はティーンエイジャーで賑やか。
このへんも、日本と同じだな。

注文したのは、The Boss.

ニュージーランド産ビーフのミート二枚重ね。

レタスたっぷり。

どうよ!このボリューム!

お値段は、セットで980円ほど。
まあ、妥当なところだと思う。

もちろん、普通のチーズバーガーなどもある。

さてさて。
お次は、世界最南端のスターバックスである。

町の中心の商店街にある。

店内は普通だけど、

さりげなく最南端を主張する。

ごく簡単に、

さりげなく主張する。

さりげなく、

最南端証明タンブラーなんかも売ってる。

しかし、
ドリップコーヒーを頼んだのに、

出てきたのは、アメリカン(アメリカーノ)であった。

違うー!

何度も言ったが、店員は理解しない。

俺の英語のマズさなのか、はたまた、ニュージーランドにコーヒー文化は無理なのか。

ちなみに、ニュージーランドでドリップコーヒーに近いものは、「ロングブラック」というが、
そんなもの、オサレなスタバにあるわけない。

ニュージーランドで、コーヒーといえば、ラテ(フラットホワイト)やカプチーノなのだ。

もしかして、この店員、
コーヒー=カプチーノ
と表現してる?

わからないが、そんなニュアンスを感じる。

カプチーノは、エスプレッソにスチームミルクだろ?
ドリップコーヒーじゃないだろ?

違うのか?

実際、会話中も何度も「カプチーノ」と言われるので、山小屋も店員も言ってることが噛み合わないのだ。
Brewed Coffee!
(ドリップコーヒーのこと。)

ああ無駄だ。(沈)

まぁまぁ、いいだろう。

心の広い山小屋は薄っすい「アメリカン」を受け取り、さわやかに、その最南端スターバックスをあとにしたのであった。

それにしても天気がいい。
風も穏やかだ。

きょう、走れば良かった。

いちいち噛み合わない、山小屋であった。