ガイド日誌 - 北海道美瑛町「ガイドの山小屋」

北海道美瑛町美馬牛から、美瑛の四季、自転車、北国の生活
私自身の長距離自転車旅
冬は山岳ガイドの現場をお伝えします。

山小屋、山を降りる。

2020年07月29日 | 北海道の暮らし・生活

昨日は週1回の買い出しの日。


勇んで軽商用バン「リトル山小屋」を転がして山(美馬牛峠)を降りた。

家族全員の一週間分の食糧を仕入れるために、片道30km、旭川市内のスーパーマーケットに行くのだ。


先週は、野菜はじめ全ての生鮮食品の値が上がっていてあまりたくさん買えなかったので、

今週に賭ける俺たちの意気込みは半端ないぞ。ハアハア。


しかし!

無情にも食料品はさらにさらに値上がりしていた。


北海道産玉ねぎ 一個100円。

え?地元だぞ産地だぞ?1kgの間違いだろ?


肉も高い。

牛肉薄切り100g298円。

半額シールが貼られた見切り品でも150円じゃないか。


バナナまで高い。そんなバナな!


仕方ない。


野菜は家庭菜園のもので賄おう。

キュウリは毎日何本も採れているし、トマトも鈴なりで実の重みで枝がしなっている。

シルバービート(日本名ふだん草、ほうれん草みたいなもの)は繁りすぎて手がつけられない。

種類は少ないがなんとかなる。


肉は通販でキロ単位の塊で買って、あとは薄切りも角切りも自分で加工しよう。

ハムやベーコンは自分で作れる。

魚は川で、イワナやマスを釣ってもいい。

ニジマスの燻製はうまいぞ。


やや意気消沈してガラガラなカートを押してレジに並んだ。

おう、もちろんソーシャルディスタンスは守るぞ。


暮れていく空を見上げ

美馬牛への帰路についたのだ。


もうすぐ7月が終わるが、

業績は昨年比9割落ちた。

6月など、前年比95%減収、たった5%だ。子供の小遣いにも窮しかねない。


テレビでは飲食店がインタビューを受けていて

「昨年の半分です助けてください」などと言っている。


ふざけんなよ。うち95%減だし。笑


しかしまあ、

家族が食うくらいはなんとかなりそうだ。

ヒマだったおかげで畑の開墾が捗ったのだ。


さあ、

きょうも安いスイカを買いに富良野の山部にむけて、軽商用バン「リトル山小屋」を走らせるのだ。


北海道の夏は短い。

短くて美しい。


ああ忙しい忙しい。










電動自転車のブレーキ交換

2020年07月25日 | 電動自転車など
先日、やってしまったんです。
たぶん、開業以来初めてだと思うようなミスを。

電動クロスバイクの返却に戻ってこられたお客さん、
「あの、後のブレーキが…」

見ると、ブレーキパッドが緩んでいるではないですか。

グラグラになったので手締めして戻ってきたと言う伊藤健太郎似のお客さん。

ご、
ごめんなさい!

それは完全に自分の整備ミスでした。

おい俺!
現役の旅チャリダーじゃなかったのかよ!
何やってんだ!

そのブレーキパッドは新品だったので、
たぶん先日の交換作業の際、仮止メ(ボルトを軽く締めただけ。固く固定していない状態)のままだったと思われます。
整備作業の最中に接客や電話などに出たりするとやりがちです。
作業に戻ってきたときに仮止メだったことをすっかり忘れてフィニッシュした可能性大。

しかし、ブレーキだけに重大インシデント。

俺としたことが。
何やってんだよ俺!

「整備は念入りに。特にブレーキ」がモットーだったのに、なんてこった。
自分的には極めて重大な、ショックな出来事でした。
伊藤健太郎さんには申し訳ないことをしてしまいました。

でも、
ボクが動揺してオロオロしている間に、
十分な詫びも言えないまま、爽やかに帰られてしまった。
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

ぬーん。
いまだショックが抜けません。

美瑛の丘サイクリングを支えるガイドの山小屋の電動自転車は、大容量バッテリー搭載はもちろんですが、
「曲がる、止まる、走る」
美瑛で一番安心して利用できる整備を目指しています。
文字通り手を機械油で真っ黒にしながら整備に励んできました。

目には見えないところですが、
これは、すごく大事。

あるんですよ。割とよくあるんです本当に。

「美瑛の丘、下り坂で止まれなかった」件。

「自転車のひとが転んで怪我してるよ、おたくでしょ?」
そんな電話がしばしば掛かってきます。

何はともあれ駆けつけてみたらそれはウチのお客さんではなく、自転車は他店のもので、そのブレーキがスカスカだった。
怖すぎます。

見た目はきれいだけど十分に整備していない自転車は、割とあるかもしれません。

「でも自分は大丈夫」
先日は、そういう過信が完膚なきまで打ちのめされた出来事でしたので、
これからは初心に帰って、今まで以上に慎重を期すことを決心しました。

さて。
これは、ママチャリ型、スタンダードな電動自転車のブレーキです。

工具はこれ一本。
8ミリと10ミリの両口スパナ。

まずは8ミリを使ってワイヤーを緩めます。

それから10ミリを使って
ブレーキパッドを取り外します。

上が外したブレーキパッド、
下は新品のブレーキパッドです。
外見のパッと見、まだまだ使える、という印象でしたが実際にはこんな状態です。
かなり擦り減っていることがわかります。

よく見ると、まもなく金属の下地が剥き出しになるところでした。
金属の下地が出ると急にブレーキが効かなくなります。

新しいブレーキパッドに交換が終了。
これだけで、一気に新車時のクオリティが戻ってきました。


よく走り、よく止まる。

当たり前のことですが、
気持ちいいサイクリングには欠かせません。

整備は日の当たらない地味な作業ではありますが、
現役旅チャリダーのプライドをかけて、
より一層頑張ろうと思っています。




家賃未払いにつき

2020年07月20日 | 北海道の暮らし・生活
電動クロスバイクのブレーキを交換しようと部品倉庫にブレーキ部品取りに行ったら、
何やら見かけないヤツら倉庫のなかでたむろしていた。

カチンときた。

「コラッ!」
叱り付けて追い払ったのだ。

ヤツら無断で

こんなもん作ってた。

家賃未払い。
そもそも未契約。
仕方なく、速やかに退去していただいたが、

ブンブンブン

だいぶ文句言ってたなあ。



冬山ガイド仕事が地味にピンチだぞ

2020年07月15日 | バックカントリーとパウダースノー
タイトルの通りなのだ。
コロナあああああっ!

日々の生活は平穏そのものなんだけど、
そろそろ冬の準備など気にする季節なのだ。

北海道ではお盆を過ぎたらスタッドレスタイヤや暖房機器のテレビCMが一斉に始まるのだから、
何も山小屋の気が早いわけではない。

15年前までボクは通年の山岳ガイドだった。
だから店の名前が
『ガイドの山小屋』なのだ。

しかし、
冬山で大怪我を負い、以来、夏山のガイドを引退した。
今ではレンタサイクル屋だ。生活に追い詰められて止む無く始めたレンタサイクル屋が
よくもまあ今まで続いたものだと思う。

しかし現在も冬山山岳ガイドだけは続けている。
せっかく取得した狭き門、冬山山岳の公認資格がもったいないし、
回復困難な古傷も雪の上ならば安定しているので冬山では縦横無尽に歩き回れる。
現役25年。すっかり老舗になった。

そんなボクだが体力の維持が近年の重要な課題になっていて、
通年の山岳ガイドだった頃は特別なトレーニングはなくとも夏山から冬山に移行できたが、今は違う。

レンタサイクル屋のオヤジが、
何もせずに、
プロの冬山山岳ガイドなど、無理に決まっているではないか。
トレーニングなしでシーズンに突入など無謀すぎる。

というわけで、15年あまりチャリ旅を続けている。
最初はリハビリが目的だったのだが、
一生懸命にやり過ぎて本業になってしまった。
シーズン切り替え時期の10〜12月に2か月の自転車旅をするのが季節行事。

だいたい2000〜3000km走行するので、
リハビリはもちろん、
帰ってきたら脚はムキムキだし体重もざっと10~20kgも簡単に減量するし、いろいろ話のネタは出来るし、英語ペラペラになるし、
言うことないのだ。

レンタサイクル屋としてのスキルも
怖いくらい向上するぞ。笑

しかしまあ今年は海外は無理だなあ。

しゃーない、また日本列島縦断するか。
俺もGo toだな。

で、今度で何度目だ?太平洋側?日本海側?

みたいなかんじで脳内でプランが練られていく。
日本列島縦断ならば自宅から走り始められるからまあ気楽ではある。

そんな折、
先日、外出中に昼飯にマクドに立ち寄った。

マクドには先客、旅チャリダーがいた。

旅チャリダーにとってマクドは非常にありがたい存在だ。

きれいなトイレ
無料wifi
安価な食事と温かいコーヒー

もう最高だ。
特に、
雨の日や寒い日など、
マクドはまことにありがたい。

マクドLOVE❤️

しかし、だ。
この日の俺は少し違っていた。

そのチャリダーに少し、違和感を持ってしまった自分を感じたのだ。

「え?マジか?おまえ」
そんな感じだ。

現役のチャリダーで、かつ
コロナに大してあまり神経質ではない俺がコレなのだから、
他の人たちがどんな印象を持つかは想像に難くない。

「国内チャリ旅も無理かも」
そう、ぼんやり考えた。

人に迷惑をかけたくない。
人に迷惑をかけてまで旅をするなどあり得ない。
旅は俺が俺自身の目的のためにやっているのであり、決して訪問先の人たちに課題や不快感を残してはいけないのだ。

旅の途中に出るゴミ問題。
トイレ問題。
どこかで当たり前だと思っていたコンビニのトイレやゴミ箱も使用中止しているところも多いと聞く。

都道府県をまたいで自転車で、
ひたすら南を目指す。

自己完結は完璧だと思っているが、
関わる人はゼロではない。
トイレ、ゴミ、
宿泊、
飲食…

うーむ。
うーむ。

それって、
どうなんだよ?

今年はチャリ旅中止?

となると、冬山ガイドはどうなる?
オレは、
ただのデブな貸し自転車屋のオッサン。
冴えない中年オヤジじゃないか。

無理無理無理無理。
冬山ガイド無理。
死んじゃうよ。

さて、どうしたものか。

こうして、
突然降って湧いた、
引退の危機なのだ。

嫁さんは
「じゃ台湾でも走ってくれば?」とサラッと言う。

台湾?
それ!

余計に太るじゃないか!
それに「観光」やん!

いろいろ微妙ではあるけれど、
しかしまあ、
魅力的な提案ではある。















今年どうする?

2020年07月15日 | 北海道の暮らし・生活
Go toキャンペーンなる旅行業界活性化政策が始まるそうなのだが…。

喜ぶべきか悩ましい山小屋なのだ。

個人的には、1年くらいごっそり休業していいんじゃないか、くらいに思っているが、従業員をかかえている、借金があるなど個々に事情も異なるだろうし、なんとかして稼がなきゃいけない人たちはたくさんいるだろう。

「私はこう思う」的なことを声高に叫んでもやかましいだけだし、ツバが飛んでもいけないし。笑

美瑛に来て25年。
いろんなことがあったし、今よりもずっと困窮した時期もあった。
全部乗り越えてきたので今回も軽く乗り越えられる気でいる。

七月だというのに美瑛は人が少なくて20年以上前みたいだ。観光で有名になる前みたいに。

こんな年もあっていいかな。

Go toキャンペーンでは人がワワッと来るかもしれないが、

今年の春節の時と同じように、

夏が過ぎたころにまた北海道では感染者がドッと出るだろう。

今度はたぶん、
北海道だけではなく、
全国の観光地で一斉に。

また同じことを繰り返す気でいるのかな。
そんなふうに思っている。

世間はいろいろ騒がしいけれど、
そんなこととは関係なく、
太陽を浴びて野菜はスクスク育ち、
カラスはカーと鳴く。

仕事はヒマなので、
せっせと畑仕事に精を出そうと思っている。

これでいいのだ。