ガイド日誌 - 北海道美瑛町「ガイドの山小屋」

北海道美瑛町美馬牛から、美瑛の四季、自転車、北国の生活
私自身の長距離自転車旅
冬は山岳ガイドの現場をお伝えします。

メロンがイイネ!

2024年07月25日 | おいしい!うれしい!

実家で暮らす母に、今年もメロンを贈った。

 
このメロンは、
富良野でメロン農家を営む友人夫婦が育てたもので、
とにかく丁寧に丁寧に栽培していることを
身近で見てきたオレは、よく知っている。
 


話がそれるが、
オレは性格がひねくれているので、
例えばワインなどは特に、
うんちくを有り難がるのはアホらしい。
 
オレのワイン哲学は、
そのワインが作られている葡萄畑に、
この足で実際に立つことが、とても大事だ。
 
「ああ、ここのワインが飲みたい!」
 
ブドウ畑の強い日差しを浴びながら、身悶える。
それが、
オレのワイン哲学。
 
だから、オレのワイン知識は、
いくつになっても“しょぼい”ままだけれど、
誰よりも南オーストラリアと、ニュージーランド(特に南島)のワインには詳しい。
いや、詳しいというか、
実際にその場所に立って、
思いきり風に吹かれてきたから、確信に近い。
 
専門家のうんちく、
ナンボのもんぞ。
 
オレは行くぞ。
ブドウ畑で、愛をさけぶ。
 
「ワインを飲ませてくれー!」
 
こうして、やっとうまいワインに出会えるのだ。
 
だから、
行ったことがないフランスのワインのことを
オレはまだ知らない。
 
知ったかぶりをするのは嫌なので
値段と相談しながら見当を付けたシャブリなど買う。
ん。うまい。
悔しいけど、うまいね。
そのうち行こう。
 
待ってろフランス
それからドイツとライン河流域。
チリだって、そのうち行くからな
自転車で。
 
前置きが、くどい。
くどいけれど、うまいものには人の愛が注がれているのは間違いない。
オレはこの目で見てきた。
 
この目でみて、肌で感じる。
まだまだ見知らぬ「うまいもの」が
世界にはたくさんあるはずだ。
 
だからオレは
旅を続けるぞ。
 
さて。
くだんのメロンだ。
富良野の「上田オーチャード」という。
九州男児の上田さんと、かわいいモモちゃんの夫婦。
ちゃらちゃらしたことが大嫌いで寡黙で頑固な上田さんは、
メロンに関してはびっくりするくらい饒舌になる。
モモちゃんは小さな身体で重たいメロンを運び続ける。
 
この2人の仕事は、心がこもっている。
 
今年も、
神戸で暮らす母のもとに、
富良野の上田さんからメロンが届いた。
 
それを聞きつけて、
神戸の大学に通う娘2人が、おばあちゃんちに押しかける。
 
ふだんはなかなか遊びにこない2人が
メロンに惹き寄せられてくる。
一緒に来ればよいのに、
2人は入れ替わりやってくる。
 
うまい晩飯をたらふくご馳走になり、
デザートに、富良野のメロンがどんと出る。
 
おいしい、おいしいと、
メロンにカブりつく。
 
北海道で生まれ
北海道で育ち
いまは遠く、神戸の大学に通う2人の娘にとって
富良野から届く上田さんのメロンは、
北海道の夏そのもの。
 
神戸から北海道は遠い
簡単には帰省できない。
大学が長い休みに入ると
生活している女子寮はガランとして寂しくなり
ひとりぼっちになってしまうこともあるという。
 
富良野のメロン
北海道のお日さまが詰まっている
 
きっと遠い故郷に
思いをはせているに違いない。
 
ふるさとの味。
 
うまいに決まっているじゃないか。
 


一度に4分の1も食うなんて!!
 
母の機嫌も悪いはずがない。
10歳くらい若返ってイキイキしている。
 
メロンを中心に
みんなの笑顔があふれる。
 
 
こんな幸せなことはない。
 
 

インゲン豆よ!お前もか!

2024年07月23日 | 北海道の暮らし・生活
約100坪の山小屋農園。
 
自分で木を伐採して、
熊笹の薮を刈り拓き、
びっしり張り巡らさられた野生の樹木や熊笹の根を引き剥がして少しづつ開墾した。
 
最初の頃は、力一杯振り下ろした鍬がバーンと跳ね返されたりした。
 
だから、
ちゃんと作物が実るようになったのは感慨深い。
 
そんな山小屋農園だけど、
今年はちょっと調子がいまひとつ。
 
まずインゲン豆、
たくさん花は咲くのに、
実がつかない。


心当たりがある。
インゲン豆は、昨年収穫して冬の間に食べきれなかった越冬食糧の残りを、
とうもろこしの根元に蒔いた。
 
2mに成長したとうもろこしの茎を支柱がわりに、
すくすく成長したけれど、

実がつかない。
ひとつも、つかない。
 
ああ、たぶんF1品種だったのだ。
やられたなあ。
 
昨年も、
前年に収穫して保存食糧にしていた残りのトウモロコシを蒔いてみたところ 、
大きく立派に成長したものの、たった一粒のトウモロコシも実ることがなかった。
最近ではトウモロコシも豆も、
市販のタネは
「収穫は一回限り」
そういう「改造された種」が多いそうだ。

昨年も、同じようなことがあったのだ。
 
インゲン豆よ、お前もか。
 
今年は、
新鮮なサヤインゲンのバター炒めは、おあずけなのだ。
インゲンの天ぷらも、食べられないな。
 
悲しいな。
 
そのかわりに、
今年のトウモロコシはちゃんと大きな実が育っている。
「一回限り」の種子を蒔いたのだ。

草丈も高く、青々として力強い。
お盆明けには収穫が始まるだろう。
楽しみだ。



スナップえんどう、
こいつは今年も豊作だ。
毎日、どんぶり一杯分のスナップえんどうがテーブルに並ぶ。
おやつがわりだ。


よく太ったスナップえんどうは、
軽く塩茹が、いちばんうまい。
 
毎年、豊作だったスイカは、
今年はどうしたわけか、イマイチだ。
玉が小振りで、ハンドボールからボーリングの玉くらいの大きさなのだ。
いつもの大玉品種だから、育て方に問題があると思われた。
 
これまでは、当たり前のように
横綱級がゴロゴロと、いくつも獲れたのに。
 
メロンも、ふるわない。
せいぜい、ソフトボールほどの大きさのものがゴロゴロしている。
味はまだ、わからない。
もう少し大きくなってほしいので、収穫はもうちょっと待ってみるけど、
あまり変わらないだろう、と本当はわかっている。
 
コロナが開けて、今年は忙しくなった。
そのぶんだけ、畑仕事の時間が減ってしまった。
 
降り注ぐ愛が減った結果、
こうなったのだと思う。
 
反省だ。
 
スイカもメロンも
正直なんだな。
 
ごめんよ。

虫回し

2024年07月22日 | 自転車の旅 海外

自転車の空気入れ(バルブ)には、

①米式
②英式
③仏式
 
3種類あり、日本では一般的には、
②英式が多く使われています。
 

①米式のバルブ クルマやオートバイと同じ
 

②英式のバルブ 日本の自転車で、もっとも普及しているタイプ
 

③仏式バルブ ヨーロッパからの輸入車を中心に普及している
 
 
市販のママチャリは、ほぼ100%が②英式です。
みなさんの自転車も、空気入れのバルブは、
おそらく英式だと思われます。
 

家庭用自転車ではおなじみの英式バルブ
 
 
一方で、クルマやオートバイのバルブの世界標準は、
①米式です。


みなさんのクルマやオートバイもコレですよね。
 
 
また、理由はよく分かりませんが、
ロードバイク(自転車ガチの人が乗ってる、かっちょ良くて、めちゃ高そうな自転車)は、
③仏式のバルブが多く使われています。
 
ガイドの山小屋では、全車が
②英式を採用。
バルブを統一することで日常の整備効率は格段に上がります。
何しろ100台以上の電動自転車があるので、効率は安全に直結するんです。
 
 
しかし、ワタシの個人的な旅用の自転車は、
クルマやオートバイと同じ
①米式のバルブです。
 
なぜ?
 
って感じですが、
ワタシの自転車旅は「辺境」と呼ばれる地域に吸い寄せられてしまうことが多いので、
①の米式が都合が良いのです。
 
まず第一に、
クルマと同じ規格なので頑丈なことがあげられます。
 
第二に、
辺境であってもメンテナンスが可能。自転車店が見つからなくてもいいんです。
 
米式バルブならば、クルマの修理を行う施設でメンテナンスが可能です。
同じ理由で、自転車の素材も鉄で統一しています。(鉄=クロモリといいます)
 
自転車本体も鉄。
キャリア(荷台)も鉄。
 
世界の果てのような辺境地のガソリンスタンドでも、
ガレージの片隅に置いてある旧式の溶接機があれば応急処置が出来るんです。
 
たくさん荷物を積むので荷台は度々ダメージを受けます。
壊れそうになったら、溶接してもらうんです。
 
奥地に暮らすヒゲおやじが嬉しそうに
バチバチバチッ!って火花散らせながら溶接してくれますよ。
 
 
たとえば、オーストラリア大陸の場合、
内陸部の旅ならば、次の自転車店まで800kmとか1000kmなんてことはザラ。
しかしガソリンスタンドならば100km毎にほぼ必ずあるので、
(註:300km以上補給なし区間もありました。グレートビクトリア砂漠など)
クルマと同じ米式バルブのタイヤ、鉄で構成された自転車ならば、
それら併設のガレージで何とかなるんです。
 
半年前、前回の旅では、
タイヤのトラブルに悩まされました。
パンクの頻発、修理また修理、予備のチューブも使って、
今度は新品のチューブの空気バルブから空気漏れが。
 
バルブの修理をすべくクルマ修理屋さん、ガソリンスタンドを探してまわり、なんとかなったんですが、
実は、バルブの空気漏れは簡単な工具1個で解決するんです。
 
バルブコアまわし、って言います。
 
これ、日本では
「虫回し」って言います。
 
バッタをぐるぐる回すわけじゃないですよ。
猿も、まわしません。
お皿も回しません。
 
バルブの中心にある空気弁の役割をするゴム部品を
「虫ゴム」と呼ぶので、
虫ゴムをまわす、そういう由来だと思われます。
バルブの中心(コア)を絞めたり緩めたりして空気弁の強弱を調整するものです。
 
「常備しなければ。」
って思いました。また荷物がひとつ増えますが、致し方ありません。
 
旅の途中にワタシ、これを探しました。
荒々しいタスマン海に面してグレイマウスという小さな港町があるのですが、
町の隅から隅まで彷徨い、
工具店、自転車店、カー用品店などなど1軒1軒訪ねてまわり。
 
しかし!問題が。
 
ワタシの英語では
「タイヤの空気バルブのコアを回すドライバー」
をうまく説明できないんですよ。
 
いやいや、久しぶりに英語大苦戦。
 
スコットランド訛りの若い店員さん、インド訛りのおじさん、いろんな人が親切に相談に乗ってくれたけど、
伝わらなかったり、モノが無かったり。
 
結局入手できず、半年後のきょう、
Amazonで買いました。
ああ、やれやれ。
といったところです。
 
遠い道のりでした。
 

熊は、出ますか?

2024年07月08日 | サイクリング

よくある質問におこたえするコーナーです。

心配性のあなた!

そう、そことそこ!☞

 

「熊はでますか?」

 

はい。美瑛町の山間部や山麓の森林に熊が生息しています。

おおお~。やっぱりいるんだ。

 

じゃ、どこにいけば、クマに遭えるか?

 

「熊に遭うのは、なかなか難しいです。」

 

ちょっとガッカリしましたか?

ごめんなさい。

 

ただし、美瑛の丘でも

夜間、早朝、日没後。

山林に近い付近や川沿い、山間部ではヒグマに遭遇する可能性があります。

ヒグマには、夜行性の傾向があるのです。

 

観光に関連する地域で

クマ出没の可能性が、いちばん高い場所は

 

「青い池」

 

その周辺には夜間、早朝、日没後は行かないほうがいいでしょう。

目立たないよう、青い池の奥の端に「ヒグマ出没中」の看板が立てられていることからも

「ああ、クマがいるんだな」と、

敏感な方ならば、お気づきになった方は多いと思います。

 

ただし、

青い池に、朝7時~午後5時までに行くと遭遇の可能性は、

「限りなくゼロ」

と、断言できます。

 

そのほかの地域、

美瑛の丘でクマに遭遇する可能性は、非常に低いです。

例えるなら、

 

「交通事故に遭われる可能性よりも低い」

さらに言えば、

「渋谷の交差点で通り魔に襲われる可能性と同じくらい」

と言えます。

 

だから、心配しなくてもいいですよ。

と、ガイドの山小屋は断言いたします。

 

ワタシ、美瑛に30年近く住んでおりますが

いまだ、美瑛でヒグマに出会ったことはありません。

もちろん、通り魔に遭遇したこともありません。

 

安心してお越しください。

 

良い旅を!

 

※写真は日本海側、苫前町三毛別地区(美瑛町から北へ150km)

 

 


雨は喜び、雨は戸惑い

2024年07月01日 | サイクリング
昨夜から本格的な雨になりまして。

1週間ぶりの雨だったから、
植物たちは喜び爆発って感じて
目に見えてワサワサしてます。

ちょっとまた、太ったんじゃない?


きょうは開店直後から
予約がたくさんあり、
でも、
昨夜からの雨が降り続いていて
みなさん戸惑うばかり。

それでもサイクリング旅行の団体さんは
レインウェア完全フル装備、
お揃いのレインカバー、
全員ヘルメット装着で颯爽と出発していかれました。

上級者だなあ。

お昼前になって、
ようやく青空が広がり始めてます。
お客さんも、チラホラ戻ってきました。

雨あがり、
シャキッと涼しい風。

北海道の風だなあ。
これがまた、いいんだよ。