ガイド日誌 - 北海道美瑛町「ガイドの山小屋」

北海道美瑛町美馬牛から、美瑛の四季、自転車、北国の生活
私自身の長距離自転車旅
冬は山岳ガイドの現場をお伝えします。

虫回し

2024年07月22日 | 自転車の旅 海外

自転車の空気入れ(バルブ)には、

①米式
②英式
③仏式
 
3種類あり、日本では一般的には、
②英式が多く使われています。
 

①米式のバルブ クルマやオートバイと同じ
 

②英式のバルブ 日本の自転車で、もっとも普及しているタイプ
 

③仏式バルブ ヨーロッパからの輸入車を中心に普及している
 
 
市販のママチャリは、ほぼ100%が②英式です。
みなさんの自転車も、空気入れのバルブは、
おそらく英式だと思われます。
 

家庭用自転車ではおなじみの英式バルブ
 
 
一方で、クルマやオートバイのバルブの世界標準は、
①米式です。


みなさんのクルマやオートバイもコレですよね。
 
 
また、理由はよく分かりませんが、
ロードバイク(自転車ガチの人が乗ってる、かっちょ良くて、めちゃ高そうな自転車)は、
③仏式のバルブが多く使われています。
 
ガイドの山小屋では、全車が
②英式を採用。
バルブを統一することで日常の整備効率は格段に上がります。
何しろ100台以上の電動自転車があるので、効率は安全に直結するんです。
 
 
しかし、ワタシの個人的な旅用の自転車は、
クルマやオートバイと同じ
①米式のバルブです。
 
なぜ?
 
って感じですが、
ワタシの自転車旅は「辺境」と呼ばれる地域に吸い寄せられてしまうことが多いので、
①の米式が都合が良いのです。
 
まず第一に、
クルマと同じ規格なので頑丈なことがあげられます。
 
第二に、
辺境であってもメンテナンスが可能。自転車店が見つからなくてもいいんです。
 
米式バルブならば、クルマの修理を行う施設でメンテナンスが可能です。
同じ理由で、自転車の素材も鉄で統一しています。(鉄=クロモリといいます)
 
自転車本体も鉄。
キャリア(荷台)も鉄。
 
世界の果てのような辺境地のガソリンスタンドでも、
ガレージの片隅に置いてある旧式の溶接機があれば応急処置が出来るんです。
 
たくさん荷物を積むので荷台は度々ダメージを受けます。
壊れそうになったら、溶接してもらうんです。
 
奥地に暮らすヒゲおやじが嬉しそうに
バチバチバチッ!って火花散らせながら溶接してくれますよ。
 
 
たとえば、オーストラリア大陸の場合、
内陸部の旅ならば、次の自転車店まで800kmとか1000kmなんてことはザラ。
しかしガソリンスタンドならば100km毎にほぼ必ずあるので、
(註:300km以上補給なし区間もありました。グレートビクトリア砂漠など)
クルマと同じ米式バルブのタイヤ、鉄で構成された自転車ならば、
それら併設のガレージで何とかなるんです。
 
半年前、前回の旅では、
タイヤのトラブルに悩まされました。
パンクの頻発、修理また修理、予備のチューブも使って、
今度は新品のチューブの空気バルブから空気漏れが。
 
バルブの修理をすべくクルマ修理屋さん、ガソリンスタンドを探してまわり、なんとかなったんですが、
実は、バルブの空気漏れは簡単な工具1個で解決するんです。
 
バルブコアまわし、って言います。
 
これ、日本では
「虫回し」って言います。
 
バッタをぐるぐる回すわけじゃないですよ。
猿も、まわしません。
お皿も回しません。
 
バルブの中心にある空気弁の役割をするゴム部品を
「虫ゴム」と呼ぶので、
虫ゴムをまわす、そういう由来だと思われます。
バルブの中心(コア)を絞めたり緩めたりして空気弁の強弱を調整するものです。
 
「常備しなければ。」
って思いました。また荷物がひとつ増えますが、致し方ありません。
 
旅の途中にワタシ、これを探しました。
荒々しいタスマン海に面してグレイマウスという小さな港町があるのですが、
町の隅から隅まで彷徨い、
工具店、自転車店、カー用品店などなど1軒1軒訪ねてまわり。
 
しかし!問題が。
 
ワタシの英語では
「タイヤの空気バルブのコアを回すドライバー」
をうまく説明できないんですよ。
 
いやいや、久しぶりに英語大苦戦。
 
スコットランド訛りの若い店員さん、インド訛りのおじさん、いろんな人が親切に相談に乗ってくれたけど、
伝わらなかったり、モノが無かったり。
 
結局入手できず、半年後のきょう、
Amazonで買いました。
ああ、やれやれ。
といったところです。
 
遠い道のりでした。
 

サニーネルソンは雨ぜよ。 ネルソン悪天候 ニュージーランド南島自転車の旅

2019年12月11日 | 自転車の旅 海外


ネルソンは雨だよ。
なんでだー!


「サニーネルソン」と呼ばれ、晴れの日が多くて温暖で明るいイメージなのだが。

ずっと、自転車漕ぎながら、

「ジーク ジオン!」
「ジーク ジオン!」
みたいな感じで、

「サニー ネルソン!」
「サニー ネルソン!」
て呟きながらやって来たというのに。


とばじーに、「飲み物」貰っちゃった。


早速、一杯やる。
「うめー!!」

うどんがないけど。
まあいいや。
カレーは飲み物って言うし。

昼前には雷が鳴り出して、
ドカーン、ズドドドッとヒョウが降り、
そのあと土砂降りになった。

その翌日も、
朝から午後遅くまで雨が降り続いた。

結局、ネルソンに3泊。
悪天候で停滞。


やることがないので、


食うしかないだろ。

冬眠前の
熊になった気分。

さて。
明日からどうするかなぁ。
西か、東か。




ネルソン三山を越えて行こう! ネルソンThree Hills越 ブレナムからネルソンまで ニュージーランド南島自転車の旅

2019年12月11日 | 自転車の旅 海外


ブレナムから再出発だ。
その先の予定は未定。
帰国まで2週間を切ったけど、
まあね。
なんとかなるよ。

急に夏らしくなってきた。
毎日、旅チャリダーに出会う。


途中、ハブロックという漁村で一泊してブレーキの修理など行う。
ハブロックはリアス式海岸の奥にあるので、山の中だけど遠浅の入り江がある。


古い橋を渡る。
一方通行の標識。


車道は狭すぎなので、
後付けの歩道を走る。


日本の川みたいだ。


九州の山道みたいだ。


ネルソン三山(Three Hills)最初の山は、
標高251m。


下り坂。
植林が美しい。
ほんとに九州みたいだ。


最初の山と2番目の山の中間にある駐車公園。
立ち寄る人達は皆もれなくココで小便をする(トイレはないから立ちション)から、
俺は勝手に「小便公園」と呼んでいる。
呼ばれてないので通過。


2番目の山の山頂付近は工事中。
工事のオッサンたちがそれぞれ声をかけてくるのが嬉しい。
やっぱKIWIだな。

ハァハァ、やっと山頂。

標高388m。


下り坂、始まる。


古いバスが喘ぎながら登ってきた。


3番目の山は、
うーむ、山なのか?
普通やん。
一応、気持ちばかりの登り坂。


ネルソン三山を下ったら、しばらく海辺を走ってネルソンに至る。
あれ?
カントリーサイン(看板)が新しくなったかも。


きょう1日は全部でこれだけ登ったらしい。


旅が長くなると、いろいろ傷む。
右膝も痛むし、
手袋も傷むし、


こりゃ駄目だな。


というわけでネルソンの自転車屋で買っちゃった。


似たようなの買っちゃった。

3500円かあ。
高いのか、安いのか。

この日の夕方、
ちょうど研修プログラムを終えてネルソンに戻ってくるという、北海道のガイド仲間「とばじー」と会った。

「とばじー」とは、生まれも育ちも違うが、奇妙な共通点があって面白い。

とばじーは、クライストチャーチに従姉妹が住んでいて、その従姉妹には娘がいる。

俺は、クライストチャーチに兄弟がいて、その娘は、とばじーの姪と友達だった。

今回も、エア・ニュージーランドの帰国便が同じ。

前回も、エア・ニュージーランドの帰国便が同じ。

わはは。
地球、いろいろ狭いな。

あらかじめ、山から降りてきた「とばじー」の宿泊先を聞いて、俺もそれに合わせてネルソン入りしたのだ。

北海道のガイド、ネルソンで飲む。

俺たちは遅くまで飲み、かつ話した。

友は、
なんだかいいものだな。


ニュージーランドの火山噴火に関連して  ニュージーランド南島自転車の旅

2019年12月10日 | 自転車の旅 海外


昨日、ニュージーランド北島の、はるか東方にある無人島ホワイトアイランドが噴火しました。
(北海道における択捉島よりも遠い、本土からは遥か遠方です。ちなみにニュージーランド人は住んでいません)

本日午後の現地ニュースを、
私のつたない英語力で読み解きますと、
以下のとおり。

島には最低でも8人取り残されている模様。
爆発的噴火はやや収まる。
今朝、救助隊が島に到着。上空からの捜索だけでなく、上陸して物理的な捜索を行った。
しかし島のどこにも「生命の兆候は見つけられなかった」。

今も、救助隊、警察部隊、ニュージーランド国防軍が島や周辺の偵察活動を継続している。
上陸して噴火に巻き込まれたのはクルーズ船の観光客グループfrom、オーストラリア、カナダ、アメリカ、中国、マレーシア。

現在のところ、このような状況。

ガイドの山小屋には、

山小屋さん(私)はいまニュージーランドにいる=火山!
これは大変だ!

ということで、
心配の声が寄せられているようです。
お電話なども頂いているようですが、

慌ててはいけません皆さま。

そこのあなた!
歓喜するのも早すぎます。
私、死んでないです。

ここで、
位置関係を『日本列島に例えて』説明いたします。
ニュージーランドに日本列島を重ねたイメージで。

私の現在位置は、青森県の
「八戸」あたり。
南に向けて自転車で毎日ひたすら走ってます。

昨日、噴火したのは、
「千島諸島」のどこか。

それくらい離れた位置です。

以上、『日本列島に例えて位置関係』をお伝えいたしました。

全く影響ありません。
ご心配おかけいたしました。

実際には、こんなところを走っています。


まさに噴火中は、
ここにいました。

山小屋、
心配ご無用でございます。

それでは皆さん、
お風邪などお召しにならぬようお過ごし下さいませ。

ありがとうございました。

ガイドの山小屋



キングスウッド(kingswood)スキー製作所に行ってきたぞ! ニュージーランド南島自転車の旅

2019年12月08日 | 自転車の旅 海外


日本は早くもスキーシーズン入りだという。
Facebookを開くと、

週末に早速滑りに行っただの、
軽いパウダーだっただの、

羨ましい話でもちきりだ。
俺はまだ冬山トレーニングが済んでいないというのに。

そんな俺にも、スキーシーズン入りみたいな出来事が
「夏のニュージーランド」であったのだ。


南島の南の端まで行ってきて、
またクライストチャーチ(CHC)に戻ってきた。

折角、町の中心部に来たので、
家に戻る前に、
ちょいと自転車を駐輪して、うまいコーヒーを飲みに行く。

写真後方に見えているコンクリートの柱のようなものは、
観光名所のひとつ、
「追憶の橋」

追憶の橋と旅チャリ。
なんか違和感あるな。

モールの中にある、うまいコーヒーを出すスタンド。
オーナーは日本人だ。
日本語OKだぞ。

リンクだよ!↓
外観
時々、俺たちのブラザーしょうへいちゃんがココで歌っているぞ。

追憶の橋や、旧大聖堂などのあるエリアだからCHC観光のついでに立ち寄れる。

うまいフラットホワイト。
うまいなー!

「フラットホワイト」とは、「カプチーノ」みたいなヤツだ。
ニュージーランドのカフェで注文に迷ったら、フラットホワイトにしたらいい。
まず、失敗しないから。


さて。
夏の間、いつも大抵クイーンズタウンで仕事をしている兄弟がCHC拠点の仕事のためにふらりと家に戻ってきた。

「お前たち、ありがとなー」
「うまい野菜に、なれよー」
などと
庭の野菜たちに話しかけたり、
草むしりしたり、
仕事の合間に帰ってきても、兄弟は何かと忙しい。

翌日、
野暮用を済ませに、一緒にリトルトンに行く。

リトルトンとは、CHC郊外の港湾だ。
なんでも、リトルトンにでかい荷物を預かりに行くということで、男2人、ハイエースで行く。
日に焼けた、どっから見ても工事関係者っぽい俺たち兄弟がハイエースを走らせる。

日本からの輸入中古車がやってきたり、ニュージーランドからは石炭やウール製品などがココから船積みされていく。

相手側の案内に従って、
リトルトンの港湾倉庫街の一角にやってきた。

中小企業が集まる、いわゆる「町工場」だ。

オフィスに入っていく兄弟。

ち、ちょ!
『Kingswood』

エーーーーーーッ!!!
あの有名なスキーメーカー、
キングスウッドだぁぁぁぁ!!!


そこは、キングスウッド・スキー製作所だったのだ。



なんともコンパクトな工房。
ココで、あの名機が作られていたとは!


材料だ。
乾燥中。


「こうやって作るんだよ」と、実演してくれた。

一人でやっているらしい。

プレス機から出てきた。

これをトリミングして仕上げるのだという。


職人の顔だ。

片隅には、

仕上がりを待つ板があった。
ほ、欲しい…。


兄弟は、なぜかウインドサーフィンの話などしている。
ま、南半球は夏だからね。


荷物を受け取った帰り道、
何か食おうぜ!ということで、
俺たち共通のブラザー
「しょうへいちゃん」がシェフを務める店に寄っていくことに。

クライストチャーチの郊外にある
The Tannery(ザ・タナリー)というショッピングパーク内にあるのだけど、
なんだかオシャレなエリアだぞ。

リンクだぞ。↓
俺たちは、しょうへいちゃんの焼くピッツアが食べたかったのだが、

まだ時間が早かったから、
サラダを食うことにする。

ショーケースに入っている大皿のサラダがたまらなく旨そうだったのだ。


いやあ!うまっ!
ブロッコリーも、カボチャもホクホクだ。
芋は香ばしく、
チーズとビネガー。日本にはない味。

久しぶりに美味いサラダを食ったあー!
俺は生き返った。

ところで。

ニュージーランドのスーパーマーケットのサラダは、↑↑↑

もれなくマズい。
例外なくマズい。
マズさ裏切らない。

そんなサラダを食ってきた。
わかってはいるのだが、旅人の身体が野菜を欲するのだから仕方がなかったのだ。

上の写真みたいなやつだ。
ひどいよ。

まったく。

「カウントダウン」(スーパーの名前)が特に酷い。


この日の午後、
俺は兄弟にバス停まで送ってもらい、
分解した自転車を輪行バッグに詰めて、
長距離バスに乗り込んだ。

南島の北の端に近い、ブレナムまで行く。
ブレナムから再び走り出す。

旅は終盤に入ったのだ。
うまいサラダで元気が出たので、
きっとうまくいく。

長距離バスに6時間揺られる。
俺の自転車の1週間分が、
たったの6時間かあ。

ま、そのぶん、
面白いことがいっぱいあるけどね!