角岸's blog (Kadogishi s' blog)

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香納諒一の警察シリーズ「KSP孤独なき地」「KSP毒のある街」

2012-03-03 13:02:33 | ミステリー
さて、3月だというのに今日もしんしんと雪が降っています。


と、いうわけで最近読んだ本2冊を紹介します。


小生の敬愛する香納諒一先生の壮大な警察もの「KSP孤独なき地」「KSP毒のある街」の2冊。

先生の新宿を舞台とした小説はノスタルジックな傑作「あの夏、風の街に消えた」があるんですが、今回はバリバリの刑事(デカ)もの。

なんでも、香納先生はこの警察ものをシリーズで10作発表する予定(まさに大河ドラマ!)とのことで、この2作はその序盤にあたるというわけ。

まずは第1作目「KSP孤独なき地」


(ストーリー)
新署長赴任の朝。署の正面玄関前で、容疑者を連行中の刑事が雑居ビルから狙撃された。目の前で事件に遭遇した歌舞伎町特別分署の沖幹次郎刑事は射殺犯を追う。銃撃戦の末、犯人のひとりを仕留めるが、残るひとりは逃亡した。金を生む街、新宿歌舞伎町で暴力組織が抗争を開始したのだ。息も吐かせぬ展開と哀切のラストシーン。最高の長篇警察小説。


この、歌舞伎町特別分署(K・S・P)というのは作者の創造した架空の警察署なんですが、この主役の沖幹次郎という刑事(デカ)が実に魅力的。厳ついボディにスキンヘッドで、新宿歌舞伎町界隈では恐れられる存在なんですが、実はだいの落語好きという設定。沖が率いる特捜刑事(バリバリ現場のデカ)たちと、キャリア刑事たちとの対立、新宿のヤクザとチャイニーズマフィアとの抗争に複雑に財界、政界が絡むという、ただただ面白い警察小説なわけ。正直、哀愁漂う緻密な筆致で知られる香納センセが、ヤクザ抗争みたいな泥臭いお話を描くとは以外でした。しかし、ラストの悲しきスナイパーの顛末はさすがというべき。

さて、その続編。 「KSP毒のある街」


(ストーリー)
K・S・P特捜部の沖幹次郎は突然の人事でチーフをはずされた。新チーフはキャリア警部の村井貴里子。怒りを抑えきれない沖だが、その矢先、射殺事件が起きた。標的は神竜会のヤクザ二人。新宿進出を目論む関西系暴力団・共和会傘下の鳴海興業による犯行だった。さらには首領を失い凶暴化するチャイニーズマフィア・五虎界も、新宿再開発を巡って暗躍を始め…。警察の縦割り組織と序列に苦しめられ、愛する者を危険にさらしながらもなお、敢然と凶悪犯罪組織に立ち向かう刑事たちの姿を描く、これぞ警察小説の最前線。


前作ではチャイニーズマフィアのボディーガードに過ぎなかった、朱栄志(チュー・ロンジー)が頭角を現し、本作の最大の敵になるんですが、手下に美しい爆弾魔を抱え狂気の計画を次々と実行していくんですが、本作もスピード感あふれ一気に読ませます。主人公の沖刑事と父との確執、同僚の家族を巻き込んだ家の爆破、ヤクザに落ちた元刑事、インテリヤクザと大手銀行頭取とその家族の話が複雑に絡み、クライマックスはまるでハリウッドの大作映画のようなスケールです。

なんかフィクションとはいえ、本当に今の新宿ってこんな感じなんでしょうか?
あれですよね、あのM・チミノのバイオレンス映画「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」の世界ですよね。

第3作目「噛む犬KSP」も読むの楽しみです。



しかし、真冬の川代で、真夏の新宿歌舞伎町の刑事もの読んでると、なんか幸せです。


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