子供の頃、読んだ文章
あの熱情と情動と好奇心と、知そのものへの、純真な、
悪意と善意とが対立する軸とは、はるかかけ離れたところにある
あの、黙ったままで蟻を踏みつぶす少年の心が好きだ。
触れる者を知らず、触れられる物を知らず、焦点の無い、透き通った目線で、宙をつかむ指の動きが好きだ。
何も見えていない、何も知らない、それゆえに、なんにでも触れることができる、その自由の手が好きだ。
あの掻きむしるような心の痛みも
人とぶつかることで挫けてしまうような諦めも、希望もない、
あのひとりだけの世界が好きだ。
誰もいない世界で、なんの躊躇もなく、全てを食べ散らかすその汚さにさえ、
憧れと、羨望のまなざしを隠しきれない。
僕はおとなにはなれない。
けれどまた、こどもにもどることもできない。
かつてないほどに、
未来へと憧れて、激突して泣き叫ぶ、あのくしゃくしゃの顔でさえ、
僕にはもう手に入らない怯えでしかないのだ。
誰も知らない世界で、人を殺してロケットに乗りたかった。
何も知らない世界で、蟲を食って腹痛になりたかった。
僕にはもう、無力さだけが蔓延して何もできない未来しか見えていない。
出来ることと出来ないことの二者択一だけを迫られる、
どうしようもなく大人だらけのゴミ溜めでしか
眠る場所を許されていない
何を失ったんだろう
誰にぶつかったんだろう
そして僕は、どこになら、居ると言えるのだろう。
僕の居場所はない。
この世界にはもう、僕の居場所はない。
僕はもう、この世界には居てはいけない。
それだけが、ずっと僕にのしかかった事実で、
それがある限り、僕の骨の砂はずっとずっと音を立てて流れ落ちてゆく。
その骨の音を聞いて、地獄が泣き叫んで天国を殺す夢ばかり見る。
いいひと気取りの群衆を一掃して、
墓だけを造り続ける夢を見る。
もういやだ。
こんな場所、こんな世界、こんな色、こんな熱…
君たちの光は、まぶしすぎるよ。
突き刺さって痛い痛い光ばかりだろ?
どうせ君たちは生きるために努力しない人を許さないんだろ?
弱肉強食と偽善の天秤ゲームだろ?
いつもいつも選択肢を迫って俺の弱さのせいだろ?
いらねぇよ。
おまえらの意見なんか。
聞きたくもないよ。
自分の意見でもないくせに、
聞けば答えられない真実のない世界のくせに
つまんない現実ばかり語って
俺の死ぬ日を決めんなよ!
死に方くらい、自分で決めるよ。
僕は死なない限り、自分の名前が無いのだから。
あの熱情と情動と好奇心と、知そのものへの、純真な、
悪意と善意とが対立する軸とは、はるかかけ離れたところにある
あの、黙ったままで蟻を踏みつぶす少年の心が好きだ。
触れる者を知らず、触れられる物を知らず、焦点の無い、透き通った目線で、宙をつかむ指の動きが好きだ。
何も見えていない、何も知らない、それゆえに、なんにでも触れることができる、その自由の手が好きだ。
あの掻きむしるような心の痛みも
人とぶつかることで挫けてしまうような諦めも、希望もない、
あのひとりだけの世界が好きだ。
誰もいない世界で、なんの躊躇もなく、全てを食べ散らかすその汚さにさえ、
憧れと、羨望のまなざしを隠しきれない。
僕はおとなにはなれない。
けれどまた、こどもにもどることもできない。
かつてないほどに、
未来へと憧れて、激突して泣き叫ぶ、あのくしゃくしゃの顔でさえ、
僕にはもう手に入らない怯えでしかないのだ。
誰も知らない世界で、人を殺してロケットに乗りたかった。
何も知らない世界で、蟲を食って腹痛になりたかった。
僕にはもう、無力さだけが蔓延して何もできない未来しか見えていない。
出来ることと出来ないことの二者択一だけを迫られる、
どうしようもなく大人だらけのゴミ溜めでしか
眠る場所を許されていない
何を失ったんだろう
誰にぶつかったんだろう
そして僕は、どこになら、居ると言えるのだろう。
僕の居場所はない。
この世界にはもう、僕の居場所はない。
僕はもう、この世界には居てはいけない。
それだけが、ずっと僕にのしかかった事実で、
それがある限り、僕の骨の砂はずっとずっと音を立てて流れ落ちてゆく。
その骨の音を聞いて、地獄が泣き叫んで天国を殺す夢ばかり見る。
いいひと気取りの群衆を一掃して、
墓だけを造り続ける夢を見る。
もういやだ。
こんな場所、こんな世界、こんな色、こんな熱…
君たちの光は、まぶしすぎるよ。
突き刺さって痛い痛い光ばかりだろ?
どうせ君たちは生きるために努力しない人を許さないんだろ?
弱肉強食と偽善の天秤ゲームだろ?
いつもいつも選択肢を迫って俺の弱さのせいだろ?
いらねぇよ。
おまえらの意見なんか。
聞きたくもないよ。
自分の意見でもないくせに、
聞けば答えられない真実のない世界のくせに
つまんない現実ばかり語って
俺の死ぬ日を決めんなよ!
死に方くらい、自分で決めるよ。
僕は死なない限り、自分の名前が無いのだから。