熊本県球磨郡湯前町の湯前駅は、肥薩線の人吉駅と湯前駅とを結んでいた全線単線非電化の旧国鉄湯前線(24.8km)の一般駅として、1924(大正13)年3月30日に開業しました。 しかし、湯前線はその後、第3セクターのくま川鉄道に転換されました。
現在は相対式ホーム2面1線を有する有人駅です。
開業時の大正13年3月に建てられた木造駅舎はくま川鉄道に転換後の今も健在で、2014(平成26)年12月19日に国の登録有形文化財に登録されています。
湯前駅が属していた旧国鉄湯前線は、球磨盆地で産出された木材を運ぶことを主目的にして1924(大正13)年3月30日に開通しました。さらに改正鉄道敷設法により九州南部を横断する鉄道として妻線(1984年11月30日に廃止)の杉安駅までの延長が計画されていましたが、結局実現には至りませんでした。
湯前線の最盛期の1960年前後には、木材や坑木や石炭などを積載した貨車をつないだ貨物列車を蒸気機関車が牽引して毎日運転されていましたが、その後の木材需要の減少などにより1980(昭和55)年6月1日に貨物列車の運行も廃止されてしまいます。
また、旅客営業も年々減少したことから、湯前線は1980年12月に施行された国鉄再建法(日本国有鉄道経営再建促進特別措置法)により、1987(昭和62)年2月3日に第3次特定地方交通線として廃止承認されます。
そして湯前線は同年4月1日の国鉄分割民営化により九州旅客鉄道(JR九州)に承継された後、1989(平成元)年2月27日に開かれた第5回湯前線特定地方交通線対策協議会において協議した結果、正式に第3セクター鉄道として存続することを決定し、同年10月1日に第3セクターくま川鉄道に転換されました。
<湯前駅の年表>
・1924(大正13)年3月30日:旧国鉄湯前線の一般駅として開業
・1974(昭和49)年10月1日:貨物取扱い廃止
・1987(昭和62)年4月1日:国鉄分割民営化により九州旅客鉄道(JR九州)の駅となる
・1989(平成元)年10月1日:第3セクターくま川鉄道の駅となる
・2010(平成22)年10月1日:駅の無人化
・2011(平成23)年4月1日:駅の有人化
(駅 名 標)
(硬券入場券)
撮影年月日:1988(昭和63)年10月10日