旧国鉄広尾線は、根室本線の帯広駅と広尾駅とを結んでいた全長84.0kmの全線単線非電化のローカル線でした。
(帯広)-依田ー北愛国ー愛国ー大正ー幸福ー中札内ー更別ー上更別ー忠類ー十勝東和ー大樹ー石坂ー野塚ー新生ー広尾
この広尾線は改正鉄道敷設法第133号の既定により、1927(昭和2)年8月1日から敷設工事が始まり、まず1929(昭和4)年11月2日に帯広~中札内間(28.1km)が開通し、それ以降、順次延伸していき、1932(昭和7)年11月5日に大樹~帯広間(23.4km)が開通したことにより全線が開通しました。
全通後は沿線住民の足となり、またこの地方で産出されるジャガイモや豆類などの輸送にその役割を果たして南十勝発展の原動力となりましたが、やがてモータリゼーション化と沿線の過疎化により次第に旅客・貨物共に輸送量が減少し、営業係数(100円の売上げを得るために必要な費用)は751にまで上がっていました。
その結果、1980(昭和55)年12月27日に施行された国鉄再建法(日本国有鉄道経営再建促進特別措置法)により、広尾線は1984(昭和59)年6月22日に第2次特定地方交通線として廃止承認されてしまいます。
そして国鉄分割民営化直前の1987(昭和62)年2月1日限りで廃止されました。
広尾線といえば、1974(昭和49)年頃から「愛国から幸福ゆき」という切符が一大ブームとなり、その後の4年間で1000万枚も売れたそうです。 この切符は廃線後も販売されています。
<広尾線の年表>
・1929(昭和4)年11月2日:帯広~中札内間(28.1km)が開業
・1930(昭和5)年10月10日:中札内~大樹間(32.5km)が延伸開業
・1932(昭和7)年11月5日:大樹~帯広間(23.4km)が延伸開業し、全線開通する
・1944(昭和19)年4月1日:幸震駅が大正駅に改称される
・1953(昭和28)年11月15日:北愛国駅を新設
・1955(昭和30)年10月10日:帯広~中札内間で気動車の運転開始
・1956(昭和31)年8月26日:幸福仮乗降場を新設
・1956(昭和31)年11月1日:幸福仮乗降場が旅客駅に昇格し、幸福駅となる
・1957(昭和32)年12月25日:依田駅を新設
・1960(昭和35)年4月15日:十勝東和駅、新生駅を新設
・1982(昭和57)年9月10日:全線の貨物営業廃止
・1984(昭和59)年6月22日:第2次特定地方交通線として廃止承認
・1987(昭和62)年2月1日:この日限りで廃止される