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妻の起訴でもグク氏を法相に任命、なぜそこまで

2019-09-09 18:12:50 | 日記

妻の起訴でもグク氏を法相に任命、なぜそこまで

9/9(月) 13:30配信    

       
【ソウル発】文政権、検察弱体化で与党優位の確立狙う

文政権をGSOMIA破棄に追い込んだ事情のひとつとすらされたチョ・グク法務長官(法相)候補に対する数々の疑惑。韓国検察は先週末、グク氏の妻を私文書偽造で在宅起訴したが、文大統領は9日、グク氏の法相任命を強行した。

なぜ、疑惑紛れの人物の任命にこだわったのか。
 

グク氏は11時間の記者会見に続き、6日には国会での人事聴聞会に出席し、14時間に及ぶ質疑に応じた。
 

重要な証人たちが抜けた状態で開催が決まった人事聴聞会に対する懐疑的な見方は当初から優勢だった。

最大野党の自由韓国党の内部でさえ、「チョ・グクの(法相)任命にレッドカーペットを敷いた」との声があがり、主要証人が抜けた人事聴聞会を受け入れた羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)院内代表に対する非難が殺到した。

洪準杓(ホン・ジュンピョ)元代表は、羅氏の院内代表職(党内ナンバー2のポスト)の「辞任」を要求したほどだった。
 

結局、6日に、14時間と一日中行われた国会人事聴聞会は、チョ氏の法務長官への就任阻止を狙う野党とチョ氏の死守に必死の与党議員らの間での大声と暴言が交じり合う乱闘場となった。

韓流のマクジャンドラマ(ドロドロ劇)的な見所はあったものの、内容面では韓国国民が知りたがっている多くの疑惑の一つもきちんと扱うことができないまま、幕を閉じた。
 

ところが、人事聴聞会を終えたチョ氏へ検察の刃が向けられた。

検察がチョ氏の妻を電撃起訴したのだ。

チョ氏の妻は娘の大学入試のため、自分が勤めている大学の総長賞を偽造した疑いを受けている。

私文書偽造の日付が2012年9月7日で、7年の時効が満了する2019年9月6日10時50分に電撃的に起訴になったのだ。
 

このため、チョ氏の法務長官任命を強行しようとした大統領府は、検察に向けて「検察クーデター」「内乱陰謀」などの暴言を浴びせ、激怒した。
 

チョ・グク氏はこの一ヵ月間、浮上した多くの疑惑によって韓国メディアから袋叩きにされ、それこそ満身創痍となった。

文在寅政権の「皇太子」から、文在寅政権の「崔順実(チェ・スンシル)」へと転落し、

「たまねぎ男」「不正デパート」「建国以来最高の偽善者」などと、嘲弄と揶揄が盛り込まれた数多くの異名を得た。
 

チョ氏の任命を強行する過程で文在寅政権も深い傷を負った。

「平等」「公正」「正義」を政権の価値に掲げた文大統領が、自分の最側近をめぐって起こった「特権」「不公正」「不義」に対しては目をつぶったまま意地を張る姿は、多くの中道層の支持者を離れさせた。

結局、文大統領を「支持しない」と答えた人が、就任以来初めて50%を越える世論調査結果が出るなど、支持率が急落した。
 

なぜ、文在寅政権は国民からこれだけ指弾を受けているチョ氏の任命にこだわったのだろうか。

韓国メディアではいくつかの推測が書かれている。
 

まず、文大統領がチョ氏を自分の後継者とみているという主張だ。

チョ氏は、文在寅大統領の政治地盤である釜山出身だ。

与党の共に民主党は、左派色の強い全羅道と首都圏では支持が高いが、釜山に代表される慶尚南道(PK)と大邱に代表される慶尚北道(TK)地域の支持基盤は脆弱だ。
 

このうち、TKは最も保守的なところで、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の地盤でもあって、攻略が容易ではない。

したがって、PK地域、その中で最も人口の多い釜山出身を大統領候補に立てるのが共に民主党の伝統的な大統領選挙戦略だった。
 

盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領、文在寅大統領、そして、チョ・グク氏がその後を継承するというプランである。

しかし、今や国民の嘲弄の的になってしまったチョ氏を2年後の次期大統領選挙で民主党の候補に立てられるかは未知数だ。
 

二つ目は、特に文在寅政権が強調する理由で、チョ氏こそが、文政権の宿願である「司法改革」を成し遂げる適任者だという主張だ。

文政権の司法改革の核心は「検察・警察の捜査権調整」と「公職者不正捜査処の新設」だ。
 

検警捜査権調整とは、検察が独占している捜査/起訴/令状請求権を警察と分け持つことを内容にしている。

警察は事件を検察に送致する前まで検事の捜査指揮を受けないなど、すべての事件に対して1次的な捜査権だけでなく、終結権を持つようになる。
 

公職者不正捜査処(公捜処)の新設とは、これまで検察の固有権限だった高級公職者の不正に対する捜査を、別途の機関を設置して譲渡する案だ。

文在寅政権の公捜処法によると、公捜処は検察から捜査/起訴/公訴維持権を譲り受けて高位公職者とその家族、検察の不正を捜査することになっている。
 

このような文政権の司法改革は検察権力を大幅に縮小する。検察の政治権力化を防ぐというのが文政権の主張だ。
 

しかし、保守層を中心に、政権に向けた検察捜査を防ぐための策略だという指摘も多い。

大統領が任命する公捜処長が現政権の不正を捜査するようになれば、独立的な捜査ができるわけがないという疑問だ。
 

結局、大統領は検察と公捜処という二つの捜査機関を競い合わせて、政権に捜査が及ばないようにしようとしているとの指摘だ。
 

ところで、この公捜処法の設計者がチョ氏であり、チョ氏を法務長官に任命することで、検警捜査権の調整と公捜処の設置を実現させようという計算だ。
 

チョ氏が法務長官辞退に追い込まれると、文政権の核心的な支持層が離反してしまいかねなかったとの見方もある。

チョ氏の任命で核心的支持層を結集させ、離れた中道層と若年層は文政権に友好的な正義党で吸収すればいいという戦略だ。
 

しかも、現在進行中の選挙法改正案で比例代表が大幅に拡大されれば、来年4月の総選挙では、正義党などの左派政党が飛躍的に党勢を増やし、左派連合軍が国会を掌握することができる。

もし、左派連合軍が国会議席の3分の2を占め、チョ氏が作った「大統領改憲案」が国会を通過すれば、一般国民が参加する「専門裁判所」を設置し、国会議員を召喚し、議員から引きずり下ろすことも可能だ。

左派政党の独裁のための布石とみることもできる。
 

共に民主党の長期政権プランのためにはチョ氏の任命が必要なのだ。

無策な野党のおかげで、文在寅大統領によるチョ・グク氏の法務長官任命はひとまず成功した。

しかし、その後も文政権のプラン通りに事が動くかどうかはわからない。
 

無力化を狙われている検察がグク氏への捜査で新事実を出すかもしれない。
 

さらに、韓国の若者たちが文在寅政権を向けて抵抗を開始した。

チョ氏の任命に抗議する大学周辺でのろうそく集会は続きそうで、そこに保守野党と一般国民が合流し、次第に大きな流れになるかもしれない。

    

朴英南 (ジャーナリスト 在ソウル)


韓国民は官製「反日種族主義」と集団催眠から目を覚ませ

2019-09-09 16:17:08 | 日記
2019年08月1日 00:00  
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韓国民は官製「反日種族主義」と集団催眠から目を覚ませ

 

統一日報

建国71年の大韓民国が存亡の岐路に立たされている。外部からの攻撃よりも、内部の敵によって自滅している。

荒唐無稽な話だ。 国が滅びるということは政府が消えるという意味だ。韓国は今、国家と国民を護る政府がない。

文在寅・主思派政権は国民を代表せず、国民を護ろうともしない。

自ら認めているように、主思派は韓国の憲法を否定し、韓国を建設してきた国民を「積弊」として敵対、粛清している。

つまり、韓国は事実上、無政府状態に陥っている。

文在寅をはじめ、経歴は職業革命家のみだった彼らは、自らの権力維持のほかには何の関心もない。

彼らは、韓国を略奪の対象としているだけだ。

文在寅は先週、自由民主体制の否定と転覆を追求してきた曺國を法務長官に指名した。

 従北・主思派集団は、目の前の全体主義独裁や悪は放置し、歴史の中から恨みを復活させて戦う。

「積弊清算」のように、他人に恥を与えることにばかり熱心だ。

彼らは共産全体主義体制は攻撃しない。 米中戦争が国際秩序を根本から変えている。

米・ロ間のINF廃棄(8月2日)で見られるように、世界は途方もない速度で変わっている。

東アジアは軍備競争が始まった。

米国はロシアとのINF条約に拘束されている間に、新しく登場したミサイル強国である中国、北韓などにも核軍縮を要求する考えだ。

しかし、中国は核戦力の削減を拒否、米国に挑戦している。米国は東アジアに戦術核の配備を検討している。

 韓半島でも、金正恩は北の非核化どころか「新しい道」を宣言した。

文在寅からの食糧支援も拒否、韓国に対する核攻撃態勢の整備に拍車をかけている。

習近平は、北韓に大規模な中国人観光客を送るなど、金正恩を助けている。

だが、文在寅・主思派集団は、民族至上主義で金正恩邪教体制の善意だけを信じ、韓国の国防態勢を破壊している。

主思派政権は、対応能力がないというより、彼らが当初から望んだ状況なのかも知れない。

文在寅集団は、反文明の方向へ韓国を引っ張っている。

文在寅は任期中に戦時作戦統制権の還収を推進している。

文政権は、彼らのあらゆる失政を日本のせいにするため、日本との経済戦争を宣言した。

GSOMIAの破棄まで目論んでいる。

文在寅は、甚だしくは、北韓と連合する「平和経済」をもって日本に対抗したいと言い放った。

文政権は、自分が生き残るため、日本への憎悪を扇動している。

にもかかわらず、平壌の宣伝媒体は文在寅を嘲弄した。

金正恩は韓国に対する核攻撃の態勢を整えた。韓国は北側の核ミサイルを迎撃する方法がない。

それでも文政権は、官製反日に火をつけた。

これに対応して、日本は韓日関係を安全保障の次元で再定義している。

文政権が中国側に立ち、日本とのGSOMIAを廃棄すればそれは韓米同盟の破棄だ。

金正恩が弾道ミサイルを発射し続けて、「9・19南北軍事合意」は無効となった。

これは、韓国も北核に対抗する兵器体系の配備が必要であることを意味する。

 現実的な話に戻ろう。6・25韓国戦争で韓国を侵略し韓国軍を殺傷、統一を妨害したのは中共だ。

中共と金日成王朝は、植民地時代の日本とは比較できないほど多くの韓国人を殺した。

そして今も韓国の自由と生存を脅かしている。韓国はなぜ、中共と金日成に復讐しないのか。

 韓国社会のこのすべての混乱と危機は、偽りと扇動、洗脳から始まった。

自由と独裁の戦いも、実は真実と嘘の戦いだ。今の混乱と危機は真実に立脚して克服せねばならない。

韓国国民は反日種族主義と集団催眠、洗脳から目覚めねばならない。

幸いなことに韓国社会には、真実と自由を追求する覚醒された国民が急速に増えている。

 米国の核戦略が変わった。西太平洋地域に中距離ミサイルを配備する。

韓国にも中距離ミサイルの配備を要求する。韓国はこれを受け入れるべきだ。

米国で提起される韓米日の核共有協定も、韓国が積極締結を要求すべきだ。

韓国の敵は金正恩体制と、それを支える共産全体主義体制であるからだ。

 

韓国の元外交官「今の韓国は正常な国ではない」

2019-09-09 16:05:06 | 日記

韓国の元外交官「今の韓国は正常な国ではない」

  
古森 義久        
 
2019/07/31 06:00
 
      
日本が韓国向け半導体材料の輸出規制を強化したことに抗議して韓国・ソウルで行われたデモ(2019年7月25日、写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

「文在寅(ムン・ジェイン)政権下の今の韓国は事実上の内戦状態にあり、民主主義も三権分立も存在しない。

だから日本は正常な国を相手にしているつもりになってはならない」――こうした辛辣な文政権批判が、韓国の保守派知識人から表明された。

韓国内の反文在寅勢力からの手厳しい政権糾弾である。

だが、こうした意見が述べられるほど、現在の韓国内部の分裂や混乱は深刻だと言えそうである。

話し合いでの合意は望めないと覚悟せよ

7月29日、民間安全保障・外交研究機関「日本戦略研究フォーラム」(屋山太郎会長)主催による討論会が東京都内で開かれた。

この討論会で、かつて韓国政府の外交官として在日韓国大使館の公使や参事官を務め現在は学者や評論家として活動する洪熒(ホン・ヒョン)氏が講演し、質疑応答に応じた。

洪氏は韓国陸軍士官学校を卒業して軍務に就き、ベトナム戦争にも韓国軍将校として参加した。

日本在住も長く、早稲田大学客員研究員を経て、現在は桜美林大学客員教授、在日韓国人向けの新聞「統一日報」主幹も務める。

政治的には韓国の保守派として、文在寅政権の政策に激しい批判をぶつけている。

洪氏は「日韓関係──策はあるのか」と題された講演で、まず現在の日韓両国の対立について以下の諸点を述べた。

・文政権は韓国民に対して反日の感情やイデオロギーを洗脳や扇動で広め、自分たちの共産主義的・全体主義体制の推進に利用している。

この「官製反日」の真の目的は、決して元徴用工や慰安婦の問題の解決ではなく、韓国を日米側から引き離し、北朝鮮・中国側に接近させることである。

・日本は、文政権に過去および現在の国際的な公約、合意を守ることを期待すべきではない。

文政権にとって約束とは、政治目的の達成のために利用し簡単に破ることができる便利な道具なのだ。

日本の対韓輸出優遇措置の撤廃をめぐって日韓は対立しているが、日本は話し合いでの合意は望めないと覚悟すべきだ。

・韓国には、文大統領の反日姿勢に反対する国民も多数存在する。

だから日本も、米国のトランプ政権の対韓政策と同様に、文在寅政権を韓国の国家全体や国民からは切り離して考える態度が望ましいのではないか。

韓国は「事実上の内戦状態」

また、文在寅大統領や文政権のあり方そのものについては以下のように語った。

・文在寅大統領は北朝鮮の金正恩委員長と双子の兄弟のように思想や信条が似ており、究極的には、北朝鮮や中国と連帯して共産主義、社会主義の独裁政治体制を築くことを目指している。

文大統領は、北朝鮮の長年の戦略目標である韓国の国家保安法の廃止、国家情報院の解体、在韓米軍の撤退に、本音では同調している。

・韓国内では文政権への反発が激しく、事実上の内戦状態と言えるほどに国内が分裂している。

文政権は、三権分立や憲法の規定よりも、北朝鮮との合意を上位に置いている。

だから現在の韓国では三権分立も代議制民主主義も正常には機能していない。

文大統領の支持率はそれでも40%台から下がらないが、それは、文政権全面支持の「言論労組」が各主要メディアの個別労組を動かして、報道や世論調査を操作しているためだ。

実際には文政権を支持する人は韓国民全体の3分の1以下だろう。

 以上のように洪氏は、韓国内部の保守派の立場から文在寅大統領に強烈な非難を浴びせるのだった。

 今や日本としては、韓国に対して、単に2国間だけでなく世界貿易機関(WTO)のような多国間の場でも論争を展開することが必要となってきた。

その展開の際に、韓国内にも文政権をこれだけ非難する政治勢力が確実に存在することを知っておくのは大いに有益なはずである。


文在寅で進む韓国の「ベネズエラ化」、反米派と親米派の対立で遂に始まる“最終戦争”

2019-09-09 11:05:10 | 日記

文在寅で進む韓国の「ベネズエラ化」、反米派と親米派の対立で遂に始まる“最終戦争”

韓国・北朝鮮2019年2月12日掲載

 

 

文在寅

文在寅大統領(他の写真を見る

 

文/鈴置高史

 米韓同盟が音もなく崩れ始めた。韓国人の過半が「米国に支払う経費負担を増すぐらいなら、在韓米軍に出て行ってもらったほうがいい」と言い出したのだ。

 在韓米軍の駐留経費――韓国版「思いやり予算」を巡る米韓の交渉が暗礁に乗り上げた1月25日。

世論調査会社のリアルメーターが「韓国側の分担経費の増額に応じない限り、在韓米軍を削減・撤収する」と米国が言ってきた場合、増額すべきか――と韓国人に聞いた。

 すると52.0%が「在韓米軍が削減・撤収しようとも増額には反対」と答えた。「賛成」が30.7%、「分からない・無応答」が17.3%だった。

 この世論調査の1か月ほど前の2018年12月28日。ハリー・ハリス駐韓米国大使が青瓦台(大統領官邸)を訪れ、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安全保障室長に対し「米韓相互防衛条約を他の方式で履行する案も検討可能だ」と語った。

 要は「要求を飲まないのなら今後、在韓米軍は頼りにするな」と脅していたのだ。世論調査の結果は「売り言葉」に対する「買い言葉」の形で思わず漏れた、韓国人の本音だった。

 5割以上の韓国人が「米軍が出て行ってもいい」と言うようになったのは、北朝鮮との緊張緩和が原因だ。

2018年6月にトランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長がシンガポールで会談した。

 それ以降、韓国には「戦争の可能性が大いに減った」との安堵感が広がり、左派からは「戦争が遠のいた以上、在韓米軍は不要だ」「北朝鮮を刺激する米軍がいないほうが平和になる」との声が高まった。

米帝が諸悪の根源だ

 保守の中にも「傲慢な米国」への反発を隠さない人が増えた。

駐留経費問題に限らず、米国は韓国に言うことを聞かせたい時には、「米軍を引くぞ」と脅してきた。

「平和ムード」は韓国人の心の奥底にあった反米感情も呼び覚ましたのだ。

 リアルメーターの調査では、自らを保守と考える人の3分の1に当たる34.1%が「米軍が引こうとも増額には反対」と答えた。「賛成」は50.2%だった。

 結局、2月10日に米韓は「駐留経費は前年比8.2%増の年間1兆380億ウォン台(約9億2200万ドル)、1年ごとに再交渉」で妥結、仮署名した。しかしこの交渉は米韓同盟の亀裂を露呈させたのである。

 2月27、28日にはベトナム・ハノイで2回目の米朝首脳会談が開かれる。この場で「さらなる平和」が謳いあげられることになろう。

 その後に金正恩委員長が韓国を訪問し、「民族の和解」を肉声で呼びかける可能性もある。そうなれば、「米軍を追い出し同じ民族で団結しよう」との声が韓国でますます高まるのは間違いない。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権は、「韓米同盟こそが諸悪の根源」と考える親北派が中枢部を占めている。

大統領自身も「米帝国主義は世界の諸民族の内紛に付けこんで兵を送り、覇権を維持している」と主張した左派の学者の書いた本が愛読書だ。

国民にも読むべき本として勧めてもいる(拙著『米韓同盟消滅』第1章第1節「米韓同盟を壊した米朝首脳会談」参照)。

 親北政権と北朝鮮にすれば、今の韓国の流れは「願ったりかなったり」――シナリオ通りであろう。

 

北朝鮮に国を売った文在寅

 急速に盛り上がる米韓の「離婚話」に、韓国の親米派は死に物狂いで警鐘を鳴らす。

保守サイトの趙甲濟(チョ・カプチェ)ドットコムを主宰する趙甲濟氏は「文在寅と金正恩、チャベスとカストロ(1)」(1月20日、韓国語)を書いた。

 副題は「キューバがベネズエラを食いものにしたように、北朝鮮も韓国を食いものにするのか?」。以下が書き出しだ。

《文在寅大統領の頭の中には金正恩しかなく、「国まで(北朝鮮に)寄付する太っ腹な指導者」と、冷笑の対象になっている》(筆者訳)

「国まで寄付」とは文在寅政権が金剛山観光事業と開城工業団地を再開しようとしていることを指す。

前者は2008年、立ち入り禁止区域に入った韓国人観光客が無警告で射殺されたために中断した。後者は2016年、北朝鮮の核・ミサイル実験に対抗して閉鎖した。

 いずれも北朝鮮に外貨を送る事業であり、再開すれば国連の対北朝鮮制裁を破ることになる。

北朝鮮の核武装を堂々と助けようとする文在寅政権こそは、国を売り渡す売国奴だと韓国の保守は断じたのだ。

 見出しの「チャベス」とは、1999年にベネズエラの大統領に就任したウゴ・チャベス氏のことだ。

キューバのフィデロ・カストロ議長(当時)を師と仰いで大量の原油を貢ぐ一方、キューバの情報機関員に助けられて統治した。

 カストロ議長の言いなりになっていたチャベス氏と、金正恩委員長の言いなりの文在寅大統領は同じだ、とこの記事は訴えたのだ。

米国への反発で生まれた左派政権

 趙甲濟氏はチャベス政権下のベネズエラが、いかに悲惨な道をたどったかも強調した。

「フォーリン・アフェアーズ」の「Venezuela’s Suicide―Lesson From a Failed State(ベネズエラの自殺――失敗国家からの教訓)」を記事に引用した。その部分を要約する。

●ベネズエラは中南米で最も伝統がある強力な民主主義体制を誇っていた。

域内のどの国家よりも社会安全網が整備され、すべての国民に無料の医療と高等教育への支援が約束されかけていた。

メディアは言論の自由を謳歌し、政治体制も透明で平和的な政権交代も行われていた。

●そのベネズエラが、戦争をしたわけでもないのに、中南米で最も貧しく、最も新顔の独裁政権が君臨する国になった。

医療体制は崩壊した。

ごく少数のエリートだけが飯を食べ、今世紀に入ると中南米で最も多くの難民を生む国になった。

政府の直接的な統制を受けない少数のメディアさえも弾圧を恐れ、政府の立場を代弁する。

物価は25日ごとに2倍となり、2018年の上昇率は1000万%と予測されている。

 確かに、チャベス前大統領から現在のニコラス・マドゥロ大統領に続くベネズエラの左派政権と、金大中(キム・デジュン)―盧武鉉(ノ・ムヒョン)―文在寅の韓国の左派政権には共通点が多い。

 チャベス政権は、米国が主導する新自由主義的な経済政策に対する不満の中から生まれた。

韓国初の左派政権である金大中政権も、IMF(国際通貨基金)と米国が新自由主義的な政策を韓国に押しつける中、それへの反発をテコに誕生した。

財閥への経営介入が始まった

 だから、いずれの国の左派政権も、国民の「反米民族主義」を煽って人気を得ようとする。

2006年9月の国連総会演説で、チャベス大統領がジョージ・W・ブッシュ米大統領を「悪魔」と呼んだことは有名だ。

 2002年秋の大統領選挙の最中、盧武鉉氏も「反米のどこが悪いのか」と韓国人に呼び掛けた。

2017年11月にトランプ米大統領が訪韓した際、米大統領の通る道にデモ隊が待ち構えるのを分かっていて、文在寅政権は規制しなかった。

反米運動家は一斉にトランプ米大統領の車にモノを投げつけ、大統領専用車は反対車線を逆走して避ける羽目に陥った。

 チャベス政権は社会主義的な路線を採用し、米国資本の石油会社を含め大企業を国有化した。

文在寅政権も財閥の大株主である国民年金基金を通じ、経営への介入を始めた。

 2月1日、同基金は大韓航空を傘下に持つ韓進KALに対し、「背任・横領罪で禁固刑を受けた人の役員就任禁止」を求めた。

 文在寅大統領は1月10日の新年の記者会見で、具体的なデータを一切示さずに「いつのまにか我が国は、負の二極化と経済的な不平等が世界で最も激しい国になりました」と演説。

 続いて「『1対99』社会や強者1人勝ちの経済と呼ばれる経済的不平等を解決しなければ、持続可能な成長は望めません」と語って「経営への介入」を正当化していた。

これに対し保守系紙の朝鮮日報は、

社説「国民の老後の資金で政権のための手段を作った文大統領」(2月2日、韓国語版)で、「政府の息のかかった年金基金による民間企業の経営への介入が起こるとの恐れが現実のものとなった」と批判した。

「米国による痛み」を癒す

もっとも、左派をはじめとするかなりの国民からは歓迎されるだろう。

韓国財閥の多くは、保守政権と癒着し、特恵を得て肥大化してきた。

経営権はろくに相続税も払わない子供や孫へと受け継がれてもいる、と韓国では見なされている。

その子供や孫は、従業員への専横で、しばしば社会の非難を浴びる。

韓進KALが「国営化第1号」となったのは、オーナー一族による不祥事が相次いだからだ。

「財閥1人勝ち」となったのは、1997年のIMF危機(アジア通貨危機)がきっかけだ。

通貨危機に陥った韓国は、外貨を融通してもらう見返りにIMFと米国の要求を受け入れ、新自由主義的な経済体制を導入した。

従業員を簡単に解雇できるよう法律が整備され、街には失業者が溢れた。

景気が回復した後も企業は正規社員を増やさず、非正規労働者を採用するようになった。

文在寅政権が「失業者を救う」と称し、政府関連機関での雇用を増やしているのは「米国とIMFによる痛み」を癒す作業なのだ。

そもそもIMFに救済されるまで通貨危機が激化したのは、米国に見放されたからである(デイリー新潮寄稿「韓国、輸出急減で通貨危機の足音 日米に見放されたらジ・エンド?」参照)。

 

韓国ベネズエラ表

韓国歴代大統領の末路(他の写真を見る

 

不服従を呼びかける退役将軍たち

1月30日、韓国の退役将軍が集まって現役の軍人に、「文在寅政権に服従するな」と呼び掛けた。

2018年に結んだ「南北軍事分野合意書」は韓国軍の防衛能力を一気に落とす国家の自殺行為であるとして、軍人は拒否せよと訴えた。

駐留経費の交渉で米国と葛藤を引き起こしたことも厳しく批判した。

呼び掛けたのは、3人の元国防長官を含む予備役の将軍450人。

「大韓民国守護予備役将軍団」の名称で「大韓民国国軍に告ぐ」を発表したのだ。

麗澤大学の西岡力客員教授が、「国基研ろんだん」で日本語に翻訳している。

2月7日には保守派の最大野党「自由韓国党」の有力議員、金鎮台(キム・ジンテ)氏が文在寅大統領の当選無効を主張した。

2017年の大統領選挙当時のネットによる世論ねつ造事件で、文在寅氏の側近の慶尚南道知事が有罪判決を受けたため、「大統領も連座すべきだ」と主張したのだ。

ベネズエラには今、2人の大統領がいる。

左派のニコラス・マドゥロ大統領と、自分が大統領だと主張し、米国や欧州主要国が支持する野党指導者のフアン・グアイド暫定大統領(国民議会議長)だ。

反米派の左派と親米派の保守の対立が激しくなり、国が真二つに裂けたのだ。

ベネズエラと同様、韓国の左右対立も劇化する一方だ。

今、韓国の牢獄には、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)という2人の保守派の大統領経験者が入っている。最近、そこに朴槿恵時代の最高裁長官も加わろうとしている。

この2人には留まらない。

退任後に平穏な生活を送った韓国の大統領はいない(掲載「韓国の歴代大統領の末路」表参照)。

韓国は「第2の日本」ではない。

親米派と反米派が内戦を繰り広げ、常に政情が不安定なラテンアメリカの国々に、もともと近いのである。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ) 韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。