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小泉大臣はパフォーマンスより具体策を 奈良林直(東京工業大学特任教授)

2019-09-24 18:04:01 | 日記

国基研ろんだん

2019.09.24 (火)       

小泉大臣はパフォーマンスより具体策を 奈良林直(東京工業大学特任教授)

東京電力福島第1原発でたまり続けるトリチウム処理水について原田義昭前環境大臣が退任直前、

「思い切って(海に)放出して希釈する他に選択肢はない」と発言したことについて、後任として初入閣したばかりの小泉進次郎大臣は、発言はあくまで原田氏の個人的な見解だとし、お詫びしたいと述べた。

小泉氏は就任後直ちに福島県の内堀雅雄知事や地元漁連関係者を訪ね、「福島の皆さんの気持ちを、これ以上傷つけるようなことがないような議論の進め方をしなければいけない」とひたすら低姿勢だった。

小泉氏はまた、「誰かが言わないと新しい次元、ステージに上がっていかない。正しいと思うべきことを世の中に発信していかなければいけない」と言い訳したようだが、現状認識が甘い。

●口約束では地元の不安消せない  まずは小泉氏の大臣就任後の動静と発言を時系列で振り返りたい。

内閣改造から一夜明けた9月12日、環境省で原田前大臣から引き継ぎを受けた小泉氏は、今月下旬にニューヨークで開かれる国連総会で環境関連のイベントへの出席を早速検討していることを表明。

その日のうちに福島県を訪れている。

 17日にも再び福島を訪問し、大熊町や双葉町など4つの町を回った。いずれも福島第一原発事故の汚染土を保管する「中間貯蔵施設」を抱える地域でもある。

 この汚染土であるが、政府は平成26年10月3日の閣議決定で中間貯蔵施設の安全確保などは国の責任で行うと明記し、使用開始から30年以内に県外での最終処分を完了させるとした。  

ところが、その最終処分地は候補地すら決まっていない。

地元ではが中間貯蔵施設が“事実上の最終処分場”になるのではないかと不安を募らせ、具体的な対応策を求めている。

だが小泉大臣は「約束は守るためにあるもの。しっかり形にするために全力を尽くしたい」と述べるだけだった。

●希釈放出は個人的発言にあらず  26年10月3日の閣議決定では、有害物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)を無害化する国の「日本環境安全事業」を「中間貯蔵・環境安全事業」に改め、中間貯蔵施設の整備や運営管理を担うこととした。

県外での最終処分の法制化は、中間貯蔵施設の受け入れ条件として地元が強く求めていたものだ。

当時の望月義夫環境大臣は、同日の閣議後の記者会見で「(県外処分を)法律で規定することで、しっかりとやっていく」と述べたが、受け入れに応じる自治体は現れていない。

筆者も9月に福島を訪問したが、膨大な汚染土を眺めながら、県外に運び出す困難さを改めて実感した。

さて希釈放出についての原田前大臣の発言であるが、これも小泉氏が言うような個人的発言ではない。

原子力規制委員会の田中俊一前委員長も、更田豊志委員長も、海洋放出について東電の決断を促す発言をしてきている。  

その流れを確認もせずに漁連に陳謝する小泉氏は、テレビで華々しくパフォーマンスを繰り広げているだけにしか見えない。

具体的な解決策を持ったうえで発言しないと、思い付きで「最低でも県外」と表明して沖縄・普天間飛行場の返還問題を大混乱させた、どこかの“宇宙人首相”と同じ轍を踏みかねない。

●省エネ複合発電のススメ  筆者は、事故を免れた福島第1原発の5、6号機と第2原発の4基については、原子炉本体の廃炉とは別に、まだ使える蒸気タービンを活用して、コンバインドサイクル発電所にすべきと考えている。

蒸気タービン1基だけで2000億円くらいのコスト削減になる。

液化天然ガス(LNG)の燃焼で回すガスタービンと排熱回収ボイラーを設置し、既存の蒸気タービンを組み合わせた複合発電方式である。

熱効率が高く、燃料の使用量が大幅に抑えられるほか、CO₂排出量も大幅に低減できる。

蒸気タービンには多量の海水を復水器に流す必要があるが、この海水にトリチウム水を微量混ぜて極限まで希釈する

のだ。トリチウムは自然界に存在し、我々は日々食物とともに摂取している。

極限まで希釈した濃度なら人体には影響がない。雇用も創出され、首都圏の電力不足も解消する。

電力料金を低く設定できる復興特区にすれば、企業誘致も容易になる。  小泉大臣には、このくらいの対策は打ち出してほしい。さもないと「嘘つき」呼ばわりされるのは自分自身であり、首相の椅子など夢のまた夢になってしまう。

 

            

 


韓国“タマネギ夫婦”逮捕秒読み!? 捜査ついに“本丸”へ…検察がチョ氏の自宅捜索 識者「チョ氏が自ら辞任しなければ…」

2019-09-24 17:03:57 | 日記

韓国“タマネギ夫婦”逮捕秒読み!? 捜査ついに“本丸”へ…検察がチョ氏の自宅捜索 識者「チョ氏が自ら辞任しなければ…」

 

2019.9.24

  

チョ氏の自宅を捜索した検察関係者=23日、ソウル(聯合=共同)

 

 チョ氏の自宅を捜索した検察関係者=23日、ソウル(聯合=共同)

 

疑惑捜査はついに“本丸”へ。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の最側近で、そのスキャンダルの多さから“タマネギ男”と称されるチョ国(チョ・グク)法相の自宅をソウル中央地検が23日、家宅捜索した。

現職法相の自宅に強制捜査が入ったのは韓国で初めてだという。

公職者の直接投資を禁じる公職者倫理法違反や、妻で大学教授のチョン・ギョンシム被告=私文書偽造罪で在宅起訴=による証拠隠滅を幇助(ほうじょ)した疑いなど、

チョ氏本人の立件を視野に入れた捜査だとの見方を韓国メディアは伝える。

夫妻の逮捕もあるのか。

法相夫妻をめぐっては、検察が捜査に着手後、

チョン被告がパソコンのハードディスクの交換を依頼し、チョ氏も交換作業をした証券会社社員に「妻を助けてくれてありがたい」との趣旨の言葉を掛けたとの証言が浮上している。

チョン被告はすでに在宅起訴され、親族も逮捕される事態に陥っているが、チョ氏本人に関する新たな疑惑も浮上した。

すでに任意提出されたハードディスクからは、チョ氏の娘や息子らがソウル大の傘下機関でインターンシップをしたとの証明書が虚偽で、その発行にチョ氏が関わったとの疑惑も報じられた。

娘はソウル大主催のセミナーにも1日しか出席していないという。

龍谷大学教授の李相哲氏は

これまで裁判所がチョ氏の自宅への捜索許可を出さなかったため、強制捜査の時期が遅れたが、検察がチョ氏を“本丸”と捉えているのは明らかだ。

検察は彼の疑惑のうち、証明しやすいものから捜査の手をつけ、逮捕へと向かうだろう」と話し、逮捕しない選択肢はないとみる。

韓国の検察は、チョ氏の法相就任前から大統領府への報告なしにソウル大など数十カ所を家宅捜索しており、「検察改革」を掲げる文政権との対決の構図は泥沼化している。

文政権の支持率も就任以来最低を記録するなど、政権への影響も大きくなっている。

前出の李氏は「与党内にも来年4月の総選挙に影響が出かねないという危機感がある。

検察がここまできて逮捕しなければ、政権から返り討ちに遭いかねない。

韓国では被疑者になった段階で閣僚辞任というのが通例だが、

チョ氏が自ら辞任しなければ、

文大統領がこれ以上政権の首を絞めないためにも何らかの措置をとらざるを得ないだろう」との見方を示した。

疑惑捜査はついに“本丸”へ。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の最側近で、そのスキャンダルの多さから“タマネギ男”と称されるチョ国(チョ・グク)法相の自宅をソウル中央地検が23日、家宅捜索した。

現職法相の自宅に強制捜査が入ったのは韓国で初めてだという。

公職者の直接投資を禁じる公職者倫理法違反や、妻で大学教授のチョン・ギョンシム被告=私文書偽造罪で在宅起訴=による証拠隠滅を幇助(ほうじょ)した疑いなど、

チョ氏本人の立件を視野に入れた捜査だとの見方を韓国メディアは伝える。夫妻の逮捕もあるのか。

法相夫妻をめぐっては、検察が捜査に着手後、チョン被告がパソコンのハードディスクの交換を依頼し、

チョ氏も交換作業をした証券会社社員に「妻を助けてくれてありがたい」との趣旨の言葉を掛けたとの証言が浮上している。

チョン被告はすでに在宅起訴され、親族も逮捕される事態に陥っているが、チョ氏本人に関する新たな疑惑も浮上した。

すでに任意提出されたハードディスクからは、チョ氏の娘や息子らがソウル大の傘下機関でインターンシップをしたとの証明書が虚偽で、その発行にチョ氏が関わったとの疑惑も報じられた。

娘はソウル大主催のセミナーにも1日しか出席していないという。

 

 


日本の少子高齢化は深刻と思っていたら「韓国の方がよほど深刻だった」=中国メディア

2019-09-24 16:51:02 | 日記

日本の少子高齢化は深刻と思っていたら「韓国の方がよほど深刻だった」=中国メディア

 モーニングスター株式会社        

 
2019/04/11 12:12
 
韓国の統計によると、2018年に韓国で生まれた子どもの数(出生数)は前年より3万人あまり少ない約32万7000人で、過去最少となったという。(イメージ写真提供:123RF)
 
© Searchina 提供

 日本では少子高齢化が進んでいるが、この傾向は日本だけではなく、中国や台湾、韓国など日本周辺の国や地域でも見られ社会問題となっている。

日本の合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む子どもの数)は、2017年の時点で1.43まで下がった。

 ところが、お隣の韓国はもっと深刻で、合計特殊出生率は2018年についに0.98になってしまったという。

これは、韓国女性の生涯で産む子どもの数が1人にも満たないことを意味している。

中国メディアの捜狐は9日、日本よりも深刻な韓国では、「人口が危機的状況」になっていると指摘する記事を掲載した。

 韓国の統計によると、2018年に韓国で生まれた子どもの数(出生数)は、前年より3万人あまり少ない約32万7000人で、過去最少となったという。

記事は、日本は2018年に結婚した男女が59万組と戦後最低を記録するなど、危機的状況だが、「その日本を上回る」厳しさだと伝えた。 

 もちろん、韓国政府もただ手をこまねいているわけではない。

記事は、海外の朝鮮族を帰国させるという打開策を紹介。

旧ソ連地区や中国に多くの朝鮮族が住んでいるが、

旧ソ連地区の朝鮮族はすっかり別の文化を持つようになってしまっており、

中国の朝鮮族は、韓国より低い0.7という出生率で期待はできないそうだ。

 ほかにこれといった有力な打開策もなく、このままでは2056年には4000万人、2100年には2000万人にまで減少していきそうだと記事は伝えた。

現時点でもすでに「経済の悪化」、「辺鄙な地域では生活が成り立たない」、「若者の社会保険の負担増」といった問題が出ており、そもそも日本や中国よりも悪化しているのは大問題だと指摘。

中国でも、一人っ子政策を緩和しても出生率は下がり続けているが、韓国はその上をいっているということになる。

 記事は、この問題は「若者が結婚できないと感じる」社会にあると分析。

就職難、住宅難を前に、若者は結婚など考えられず、ましてや教育費も高いので子どもを産むなどもってのほかだと考えていると伝えた。

日本と中国よりも深刻化している韓国の少子化問題。

日本の少子化対策はなかなか成果が上がらないといわれているが、韓国と比べるとまだ状況は良いのかもしれない。

(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


韓国の告げ口外交が米国に突き放される必然的理由

2019-09-24 16:30:14 | 日記

韓国の告げ口外交が米国に突き放される必然的理由

古森 義久          

2019/07/17 06:0

 

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が日本の輸出管理の新措置に抗議して、米国への訴えを強め始めた。

朴槿恵(パク・クネ)政権時代に日本を標的に試みた対米「告げ口外交」の再演だといえる。

 だが今回も米国は韓国支持にも日韓調停にも動く気配を見せない。文政権の「米国の威を借る」対日作戦は失敗に終わりつつあるようだ。

日本への圧力を米国に要望

 韓国政府は日本政府による半導体材料の輸出管理厳格化への抗議を強め、自国の主張を米国に訴える動きを活発にし始めた。

 7月10日には康京和(カン・ギョンファ)外相がポンペオ米国務長官と電話会談し、日本政府の今回の措置に対する批判や不満をたっぷりと伝えた。

康外相は、日本の輸出管理厳格化措置が韓米日の安保上での連帯を弱めるだけでなく、米国が最優先事項とする北朝鮮の核兵器完全破棄の政策にも支障を及ぼすという趣旨を訴え続けたという。

 康外相のポンペオ長官への電話での要請以外にも、韓国の大統領府や外務省、産業通商資源省の高官たちが次々にワシントンを訪れ、日本の今回の措置が不当であると訴えている。

もちろん、日本への抗議を表明するだけではない。

米国政府に調停役として日韓両国間に介入してもらい、さらには日本に圧力をかけてもらうことを要望しているのだ。

朴氏の告げ口外交で韓国が不利な状況に

 このように日本との争いにおいて、自国側に有利な主張を米国に伝え、米国を自国の味方につけようとする文在寅政権の手法は、2014年から2015年にかけて見られた朴槿恵前政権の対米「告げ口外交」に酷似している。

 朴大統領は2013年2月の就任以来、日本に対して非友好的な態度をとり続け、「日本側が慰安婦問題で誠意ある態度をとらない限り」日本の首相とは会談しないという姿勢を明確にした。

同時に朴政権の要人たちは、米国だけでなく欧州各国、国連などの国際機関に対しても慰安婦問題などでの日本非難を続けた。

 その一方的な日本糾弾の姿勢は、客観的な立場を保っていた諸国の間でも逆効果を招き、「告げ口外交」という批判的なレッテルを貼られることになった。

 米国の当時のオバマ政権は、日本と韓国との歴史関連問題では当初は韓国の側に同情的な態度をみせていた。

しかし朴大統領が日本に対してあまりにも険悪な姿勢をとり続けたため、北朝鮮の核問題の解決などに必要な安全保障面での日韓協力や、米日韓の3国協調に悪影響を及ぼすことを懸念するようになった。

2015年には、オバマ政権で韓国にとくに理解を示していたウェンディー・シャーマン国務次官(当時)までもが、日韓の歴史問題は韓国側の過剰な日本糾弾に非があることを公式の演説で示唆した。

 こうした事態を経て、朴大統領は2015年秋の訪米で、日本への態度を是正することを米国から求められた。

その結果、3年半ぶりに安倍晋三首相と会談するという新方針を打ち出さざるを得なくなった。

朴氏の対米「告げ口外交」は成功せず、かえって韓国側に不利な結果をもたらしたというわけだ。

 今回の文政権の態度も、日本との間の懸案事項を日本相手の協議で解決しようとはせず、

米国への訴えを優先させ、しかもその内容が自国に有利な主張ばかりだという点で、第2の「告げ口外交」と呼ぶのがふさわしいといえよう。

トランプ政権が告げ口外交に乗る気配は薄い

 だがトランプ政権は、この韓国の訴えを正面から受け止めて前向きに対応する姿勢を見せていない。

また日韓両国の間に入って調停役を果たすことにも否定的な反応を示している。

 トランプ政権の新任のデービッド・スティルウェル国務次官補(東アジア太平洋担当)は7月中旬の日本訪問の際、日本メディアから「米国は日韓の摩擦を調停するか」と問われ、「日韓両国が直接に会談して、解決策を見出すべきだ」と答えた。

“米国による調停”案の否定である。

 国務省報道官も、同様の質問に対して「米国は日本と韓国の双方といずれも緊密な関係にあり、その関係を強化していきたい」とだけ答え、やはり調停や仲裁の意向がないことを明らかにした。

 こうした米国政府の態度は、日韓のどちらかの主張を明確に支持することでもう一国との関係を決定的に悪化させてははらないという年来の配慮に基づいているといえる。

さらには、トランプ大統領、ポンペオ国務長官をはじめトランプ政権が韓国の文在寅大統領の対外政策全般、とくに対北朝鮮政策に強く反対してきたという経緯も大きく影響しているだろう。

トランプ大統領は自身のツイッターで「文大統領の北朝鮮への宥和には強い懸念を覚える」とまで書いていた。

 一方、トランプ大統領と安倍首相の個人レベルでの親密さや、政策面での共鳴、協力関係は誰もが認めるところである。

もちろんトランプ政権のこれまでの日本への傾斜、および韓国との距離感だけで、今後の米国の対応を予断することはできない。

だが、いずれにしても、今回の文政権の日本を糾弾する「告げ口外交」にトランプ政権が乗る気配はきわめて薄いといえる。

文政権の対米「告げ口外交」は失敗に終わりつつあるというのがワシントンの現状なのである。

 

2019-2-27世界が注目する水素エネルギー

2019-09-24 15:45:56 | 日記

 

2019-2-27世界が注目する水素エネルギー

      
      

加速する水素社会実現に向けた
取り組み

2018年10月23日、水素の活用をテーマとした世界初の国際会議、水素閣僚会議が東京で開催された。閣僚のほか、自動車・エネルギー関連企業など、300人以上の水素に関係する企業・政府関係者及び研究者が参加。水素発電の実用化に取り組むMHPSからは六山(むやま)副社長兼CTOが出席。「水素利活用の推進に向けた水素製造とサプライチェーン」について講演した。

欧州でも水素活用の動きが広がっている。2017年1月、水素を利用した新エネルギー移行に向けたグローバルなイニシアチブである水素協議会が発足。エネルギー・運輸・製造業の世界的なリーディングカンパニー13社で発足したが、年々加盟社が増加し、2018年9月現在で53社がメンバーとなっている。三菱重工もサポーティングメンバーとして加盟、MHPSが三菱重工グループとして参画している。

                

水素エネルギーが注目される理由

水素エネルギーが注目される理由は何だろうか。一つは、水素は利用時にCO2を発生させないため、温暖化対策に大きく貢献できることがあげられる。

もう一つのポイントは、エネルギーセキュリティだ。

従来の化石燃料は、日本にとっては、そのほとんどが海外からの輸入であり、

とくに石油や天然ガスは産出国が偏在するため、2回の石油ショックを思い出すまでもなく、

中東の政情不安など、地政学リスクや安定供給の問題が付きまとっていた。

一方、水素は多様なエネルギー源からの製造・貯蔵・運搬が可能なため、供給・調達先の多様化による調達・供給リスクの低減が期待できる。

では、水素はどのようにして作られるのだろうか。水素製造の方法については、大きく以下の3種類に分類することができる。

一つ目は、現在既に実用化されている化学工場などで副産物として生成される副生水素や、石油や天然ガス、石炭を改質やガス化して生成する化石燃料由来の水素だ。

二つ目は、化石燃料由来の水素とCO2回収・利用・貯蔵(CCUS:Carbon Capture, Utilization and Storage)の組み合わせる方法だ。

MHPSがガスタービン技術領域での実現可能性調査(FS)に参画するオランダの天然ガス焚き火力発電所の水素への燃料転換プロジェクトでも、この方法での水素の供給が検討されている。

三つ目は、水の電気分解により水素を生成する方法だ。電気分解に再生可能エネルギーによる電力を用いれば、製造段階でもCO2を排出しないことになる。

MHPSの六山は、「将来の水素関連動向を見通した場合、中期的には CCUSを活用した化石燃料由来の水素が普及するだろう。

長期的には、コスト削減と技術革新により再生可能エネルギー由来の水素が主流になる」と予想する。

                

発電エネルギーの水素への転換

パリ協定の発効以来、世界的に脱炭素・低炭素化の流れが加速しており、発電分野におけるCO2の削減が求められている。

では日本の発電におけるエネルギーの現状はどうだろうか。

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの普及が急速に進んでいるが、2016年時点では全体の83.8%を、化石燃料(LNG、石油、石炭等)を使用した火力発電が占めているのが実情だ。

火力発電については、燃料から電力へのエネルギー変換効率を継続的に高める努力が続けられており、

最新の発電方式であるガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電については、発電効率が約64%、

排出されるCO2の量は、従来型の石炭焚き火力発電所の半分となる高効率なシステムも開発されている。

今後も、火力発電の効率向上のためのさらなる技術開発、再生可能エネルギーの利用拡大が進められる計画であるが、

加えて劇的にCO2排出量を低減する技術として期待が高まっているのが、水素の発電燃料としての活用だ。

MHPSの六山は、「日本の火力発電所における二酸化炭素削減に向けた動きの中では、まず天然ガスと水素を混合して燃料とする混焼が実現し、将来的に100%水素を燃料とする水素専焼発電にシフトするであろう。」と述べる。

最先端の火力発電の技術を生かし、燃料を水素に転換することにより、安定供給を実現し、同時にCO2を排出しない発電が可能となるのだ。

多方面で活用が期待される水素であるが、克服すべき課題の一つがコストである。

日本政府が発表した「水素基本戦略」のロードマップの中では、現状の水素コスト(ステーション価格:100円/N㎥)から、

2030年には国際水素サプライチェーンが構築され、現在の約1/3となる30円/N㎥という目標値が掲げられている。

MHPSの六山は、「40万キロワットクラスのガスタービン・コンバインドサイクル発電所を1年間運転すると 水素の消費量はFCV200万台分に相当する。

発電は水素の大量消費に直結し、そのコストダウンに貢献する。」と述べる。

発電への水素の活用が、水素のコストを下げ、発電分野以外での利用も促進する可能性がある。


                

エネルギーキャリアとしての水素

さらに、水素は、発電のための二次エネルギーの役割にとどまることなく、貯蔵が可能で輸送も出来る「エネルギーキャリア」となることも可能だ。

電力は発電と消費が同時同量であることが求められるために、ある自然条件下では再生可能エネルギーは、余剰電力を産み出してしまう。

その余剰電力(Power)を水素(Gas)へ変えて貯蔵することで、製造コストの安い水素が製造可能となる。

P2G(Power to Gas:電力から水素ガスへ)と呼ばれるプロセスだ。

この考え方によると、日照量や風などの自然条件が整った場所(たとえば送電網がない離島や、電力の地産地消ができない消費電力が少ない過疎地域など)で再生可能エネルギーによる発電を行い、

その電力で水素を製造することで、エネルギーを「運ぶ」ことも可能になる。

海外の安価な再生可能エネルギーで発電された電力や、その他の未利用エネルギー(褐炭、副生水素等)を水素に変えることができ、日本へ輸入する際にも強みを発揮する可能性がある。

また、水素のキャリアとしては、液体水素の他、MCH(メチルシクロヘキサン)、アンモニアなど、様々な選択肢があり、多方面にわたる研究開発が進められている。

                

今後の展望

2019年6月、日本が議長国となるG20では、「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する閣僚会合」が予定されており、水素の役割と重要性についてもテーマになる予定だ。

また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでも水素エネルギーの活用が予定されている。

東京都が立ち上げた「水素社会の実現に向けた東京戦略会議」では、FCV 、FCバス 、水素ステーション、家庭用燃料電池などの導入についての目標も掲げられている。

世界に目を向けると、2025年には、MHPSが実現可能性調査(FS)に参画するオランダの44万kWの大型天然ガス焚きガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電所において、100%水素燃料による発電への転換が予定されている。

これにより、現在排出されているCO2(年間約130万トン)を、ほぼすべて削減する計画だ。

世界のエネルギー政策を歴史的に俯瞰すると、時代の価値観を反映したエネルギーソースが選択され、数十年周期で変化していることがわかる。

エネルギーは時代によって変わり、時代もそれに合わせて進化する。

 今後、世界中で、多くの国、企業、研究者が叡智を出し合うことで、水素社会実現へ向けたロードマップはさらに加速するだろう。

                
                   
      
    

  

        

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