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2019.2.9 Sat 2:00
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※この記事は2018/02/16にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。 《編集部》
2019.2.9 Sat 2:00
韓国在住者が感じる韓国を経済危機に追い込む8つの要因
韓国経済の崩壊や、深刻な経済危機に関するニュースが取り上げられることの多くなった最近。
韓国在住の筆者から見てもその波は日々深刻になっているように感じます。
今回は、韓国に実際に暮らしているからこそ感じる、韓国の経済危機の現状を8つの要因にまとめてご紹介します。
1. 政府、企業、家計の借金が多すぎる
韓国では家計や企業の借金が増え続け、個人破産や企業の倒産が頻繁に起きています。
借金がさらなる借金を生み、さらなる信用不安に結びついているという悪循環も指摘されています。
韓国の政府、企業、家計の債務は、国内総生産や平均世帯収入を上回る早いスピードで増加しているため、これが金融破綻の引き金になるのではないかと懸念されています。
2. 大卒でも4割が就職できない
ここ数年の韓国では、世界で最も熾烈と言われる受験競争を勝ち抜き、
SKY(スカイ:ソウル大学、高麗大学、延世大学)と呼ばれるトップ大学を卒業しても、就職できない学生数が増え続けています。
統計によると、2015年2月時点における15歳~29歳までの青年失業率は11%を超え、1999年以降最悪の失業率を記録していますが、
実際に肌で感じる体感失業率は更に高く、4年制大学を卒業した学生の4割が就職できていないという報告もあります。
この背景には第一に、深刻な不況で採用数を大幅に減らす企業の苦しい現実があり、
その他にも、一流の財閥系大企業にこだわる学生側の意識の問題、
60歳定年制度の導入による弊害…など、様々な要素が絡み合っています。
3. 不動産価格の下落
「不動産神話」という言葉があるほど、アパート所有と転売による不動産投資が一般的な韓国でしたが、
グローバル経済危機を境に不動産価格が暴落し、数十年間続いてきた不動産による資産運用神話が崩れてしまいました。
政府は必死になって不動産政策を次々と発表し、
金利引き下げや売買制度の変更などを通じて不動産市場の活性化を試みていますが、国民の心理は冷え切ったまま。
今後、昔のように不動産価格が上がる可能性や、価格が現状維持される見込みはないと考える人がほとんどです。
不動産市場の冷え込みにより、不動産一辺倒の資産運用をしている多くの人々は更なる負債を抱え、消費も控えられ、経済は悪化の一途を辿るのではないかと懸念されています。
4. 長引くウォン高と貿易不振
輸出依存度が国民総所得の50%を超える韓国経済ですが、長引くウォン高が輸出企業の状況を更に苦しめています。
韓国の産業構造は日本に類似している部分がありますが、円安ウォン高により、日本の製品に比べ韓国製品の価格競争力は悪化し続けています。
完全競争市場の輸出市場においては、容易に製品価格を上げられない現実があるため、多くの企業が利益のない輸出、あるいは赤字を伴う輸出を続けざると得ない状況に置かれています。
このような長引くウォン高と貿易不振が、韓国経済の更なる沈滞を引き起こす大きな要因の一つと指摘されています。
5. 多国籍企業や外資銀行の撤退
韓国に進出している外国企業の視点から見た韓国は
「規制共和国」であり、企業活動をする上で政府による過度の規制が非常に多く、新規参入しにくい構造だと言われています。
制度の変更も頻繁に起き、政府への提出を義務付けられた報告書の数も多く、例えばオーストラリアに比べると30倍もの報告書を提出しなければならない現状です。
規制の量だけでなく、その内容も複雑極まりないため、規制に従うための法務費用などの経費が多くかかることも問題です。
政府規制に次いで不満が高いのが、労働問題です。
強い労働組合の存在と、既得権益集団の要求、賃金上昇レベルの高さは、多くの外国企業が他の東南アジア国家へ移転する要因となっています。
外国企業の撤退は韓国の就職難を深刻化させ、経済の沈滞を一層加速しています。
6. 大企業一辺倒の経済構造
韓国経済の大きな特徴として、いくつかの財閥グループに経済力が過度に集中している現象があげられます。
例えば、現代(ヒュンダイ)グループなら、自動車から建設、百貨店、エネルギー、保険、金融等、産業全体にグループ会社を展開しています。
このような財閥への経済力集中が、韓国の経済構造問題の源泉であり、その集中の度合が今や危険レベルに達していると指摘されています。
なぜなら財閥グループは莫大な資本の蓄積と経済全体に対する支配力を土台に、国民と政府をコントロールする存在となり、時には脅迫に近い形で金権政治を繰り広げることができるからです。
行き過ぎた財閥独裁により、韓国経済の基盤はますます脆くなり、小さなきっかけがドミノ式の崩壊を引起こすのではないかと憂慮されています。
7. 金融知識に対する国民の無知
韓国の個人負債はアジア最悪という統計がありますが、その背景には金融知識に対する国民の無知があります。
ある調査によると、韓国の金融無知レベルはアジア太平洋国家16カ国のうち13位(ちなみに日本は最下位)で、
会社員のうち30万人が「信用不良者」と呼ばれる債務不履行のレッテルを貼られており、
全体世帯数のうち5分の1が収入より支出の多い赤字家計の状態です。
金融知識が浅いため、消費者金融に簡単に手を出す人が多く、特に女性専用の貸金業から高利でお金を借りる主婦やOLが急増しているというニュースが最近話題になりました。
日本の場合、金融知識が浅くても借金をせず、貯金額が格段に高いという点において対照的です。
このような韓国国民の金融知識の浅さと、軽々しく借金をしてしまう現象が、借金の重みを更に増すという悪循環を招いています。
8. 新サンドイッチ現象とは
韓国経済危機の要因の最後として、「新サンドイッチ現象」について触れておきます。
この言葉は、中国との技術格差がますます縮小し、円安により日本の価格競争力が高まる中、韓国の製造業は日本と中国に挟まれた苦しいサンドイッチ状態にあるという意味です。
このままでは韓国の潜在成長力は1%台にまで落ち込み、2030年頃には限界に達し、成長エンジンが何もなくなるという警告があちこちで指摘されています。
いかがでしたでしょうか? 今回は韓国経済を危機に追い込む要因を8つのポイントに分けてお伝えしました。
長年、韓国に暮らす者として苦々しい思いもありますが、肌で感じる不況の深刻さは、今までに感じたことがないほどです。
韓国人の持ち前のタフな前向きさと勤勉さ、変化をスピーディに受け入れる柔軟性、ダイナミックな国民性で、
ぜひとも暗い悲観論を吹き飛ばしてもらいたいと願っていますが、既に長期不況が始まった感の強い韓国経済。
大きな方向転換をしない限り、ジリジリと迫る経済危機の苦しさから逃れられないかも知れません。