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2020年11月17日
韓国は、「日本海」の単独呼称を改め、「東海」を併記すべきと執拗に主張してきた。
だが、17日未明の国際水路機関(IHO)総会で、「日本海」単独呼称が認められ、海路図のデジタル版では「番号表記」となる。
IHO総会で、韓国はなぜ反対しなかったのか。これが、大きな疑問である。日本へ妥協することによって、新たな「獲物」を狙っているとしか考えられないからだ。
旧徴用工賠償問題での日本側妥協であろうか。ともかく、大きな目的があってのことと見るほかない。
『読売新聞』(11月17日付)は、「【独自】海図の『日本海』表記継続へ…国際機関指針、韓国要求の『東海』併記なし」と題する記事を掲載した。
韓国が日本海の呼称に「東海(トンヘ)」の併記などを求めている問題について、国際水路機関(IHO)の総会は17日未明、日本海と単独表記する指針の継続を暫定承認した。
各海域を名称ではなく、数字で表記するデジタル版の海図を新たに作成する方針も合わせて暫定承認とした。日本政府関係者が明らかにした。
(1)「オンライン形式による総会は16~18日の日程で開催され、IHOの事務局長案として日本海単独表記の指針継続とデジタル版海図の作成が提案された。
総会は出席国による全会一致が原則で、日本政府関係者によると、韓国を含め加盟国から明確な反対は出なかった。IHOが総会の報告書を月内にまとめ、正式に承認される」
IHO事務局は、「日本海」表記を巡った日韓が鋭く対立しているため、「数字表記」案を提示して日韓に妥協を求めていた。
韓国メディアでは、IHOが「数字表記」にすると報じてきた。土壇場で「日本海」単独呼称の継続に落ち着いたのは、韓国の妥協によるもの。
韓国があえて、日本の主張を飲んだのは大きな政治的妥協である。
文政権になって以来、日韓関係が戦後最悪状態へ落込んでいることから、あえて「日本海」単独呼称に妥協したのでないか。
米国がバイデン政権へ移行して、日韓関係の修復を強く求めて来ることは明らかである以上、先手を打って「日韓友好」を装ったのでないか。また。旧徴用工賠償問題で冷却期間を置くという思惑もあろう。
(2)「IHOは各国が公式の海図を作成する際に参考にする指針「大洋と海の境界」を作成している。
指針には各海域の名称が記載されており、日本海の海域は1928年の初版から現行版の第3版(53年作成)まで「Japan Sea」と記され、日本海単独表記の根拠の一つとなっている」
日本海は地図で眺めてみると、日本列島によって太平洋から遮られている。何の思惑もなく見れば、日本列島で囲まれた海であるので「日本海」と呼ぶのが自然であろう。
あえて、韓国の主張する「東海」ではあまりにも視野が狭すぎる。
こういう意味で、IHOは、従来通りの「日本海」案を出して韓国の主張を退けたのかも知れない。米国は、「日本海」案に賛成であった。
韓国メディアはつい最近まで、次のように報じていた。
『中央日報』(11月16日付)は、「国際水路機構、『日本海』の代わりに数字表記方式を決定予定」と題する記事を掲載した。
世界各国が海の名前を表記する時に基準とする国際水路機関(IHO)の標準海図集で「日本海」の代わりに新たな表記方式を導入するかどうかが16日に決まる。
「韓国海洋水産部は16~18日にビデオ会議形式で開催される第2回IHO総会で「日本海」表記を使っている海図集『大洋と海の境界』(S-23)の改訂版である「S-130」を製作・発刊するかどうかが決まると15日、明らかにした」
「1929年初版の「S-23」は東海(トンへ)を「日本海」と表記していた。
日本はこれまでこれを根拠に韓国「東海」の名称が「日本海」であるとの主張を守ってきた。
これに対して韓国政府は1997年から「東海」併記を主張してきたが、まともに反映されなかった。
これを受けて2017年4月に開かれたIHO第1回総会を契機に、北朝鮮や日本と非公式協議を開始した」
「しかし、韓国・北朝鮮と日本が昨年までの時点でも合意に至ることができなかったことから、IHO事務局長が地名の代わりに「固有符号」で海を表記する方式を提案した。
新標準は「S-130」だ。加盟国は今回の総会で「S-130」を導入する案について決める予定だ」
以上の記事によれば、日本海がデジタル版海図で「S-130」に決まるとしている。
ただ、世界中の海図が、すべて記号化されていいのかという疑問が残る。
インド洋や東シナ海という地名が消えて記号で示される。
その原因をつくったのは、韓国であるという「汚名」が永遠につきまとうのである。
こういう、将来のことを考えれば、韓国が妥協したともいえるのだが、真意は不明である。