土地投機疑惑浮上で、文在寅への怒りが爆発!
韓国で韓国土地住宅公社(LH)職員らの第3期新都市の土地投機疑惑が浮き彫りになった。
この1年間、コロナ政局で民心が動揺し、また文在寅政権下の不動産価格の高騰で二極化が進行するなか、“神の職場”と呼ばれる公企業職員らの土地投機疑惑が浮上し、韓国国民の憤怒が極限に達している。
今回の疑惑は土地住宅公社の前職や現職員とその家族が内部情報を利用して、新都市開発予定地を投機目的で事前に購入したものだとされる。
本件はあくまでも氷山の一角に過ぎず、こうした投機行為が慣行的に行われていた疑いすら持たれている。
こうした事態を受けて韓国政界には動揺が走り、与野党が批判の声を上げている。
文在寅大統領も直接乗り出し、検察と警察の強力な調査が必要だと声を荒げている。
大統領選挙を約1年後に控えた時点で浮上した公企業職員の不正疑惑には厳しい調査が必要なのは当然だが、韓国国内では文政権自体が「犯罪者集団」だという世論も広がり始めている。
「みずから辞任せよ」と高まる声
事件解明の姿勢を見せるが… photo/gettyimages
今回、政権に背を向ける民心をなだめるため、文在寅大統領が直接乗り出す姿勢を見せている。
3月8日、文大統領は青瓦台(大統領府)で関係省庁の報告を受けた後、「国が持つすべての行政力と捜査力を総動員しなければならない」と発言、「検察と警察の有機的協力が必要な初めての事件」と強調して見せた。
最近、韓国では「検察改革」を名目に、検察が独占する捜査権を警察に渡す「捜査権の調整」が行われ、葛藤が浮き彫りになっている。
このような状況の中、大統領が直接乗り出して、関連不正疑惑に対する検察の参加と強力な調査を要請したかたちだ。
そもそも土地住宅公社の不動産投機疑惑は3月2日に発覚した。
民主社会のための弁護士会(民弁)と参与連帯民生希望本部が記者会見で、「2018年4月から2020年6月まで、光明(クァンミョン)·始興(シフン)新都市予定地区で約7000坪の土地を約100億ウォンで購入した」と明らかにした。
さらに、購入金額の半分を超える58億ウォンの融資を受け、一部の土地では換地補償や農業損失補償も当て込んで、新都市建設予定の情報を悪用し、金儲けを企んだと糾弾したかたちだ。
文在寅政権下で、韓国国内では取り返しがつかないほど不動産価格が高騰するなかにあって、国民は公企業の職員の土地投機に怒り、民心は悪化している。
こうした事態を受けて、疑惑が発覚した翌日の3月3日、文在寅大統領は「光明・始興はもちろん、3期新都市全体を対象に国土交通部、LH、関係公共機関の新規宅地開発関連部署の勤務者や家族などに対する土地取引全数調査を実施せよ」と指示を出した。
また、卞彰欽(ビョン·チャンフム)国土交通部長官は3日、傘下機関長と会った席で「国土部と傘下機関で、清廉ではない行動が存在している」と語って見せた。
一方で、土地住宅公社職員らの土地購入は、卞長官が公社社長だった時期と重なっており、長官職の命運をかけて徹底的な真相究明に乗り出す姿勢だが、監督不行き届きの覚悟を示すべきだという世論も高まっている。
一部では「自らの辞任だけが答えだ」という声もさっそく出ている。
「犯罪集団」と批判される文在寅政権
文在寅政権で、政府高官や公務員の犯罪不正疑惑は今回が初めてではない。
政権初期から政治や行政、経済社会、外交、安保、対北朝鮮政策など、相次ぐ不正疑惑が浮上しているうえ、“身内”ばかり優遇する人事への批判も高まっている。
たとえば文在寅政府は朴槿惠前大統領を糾弾して発足した当時、七大人事原則を打ち立てて該当者は公職者から排除するとしたが、実際には疑惑が持ち上がった候補者の任命を強行し、天下りも問題になったことがある。
また、文在寅政権が発足してからの公共機関の人事現況を分析すると、現政権に入って新たに任命された人たちの相当数が共に民主党の出身者であることがわかる。
さらに、大統領府民情首席秘書官室の特別監察班が民間人の監視・情報収集などを行っていたという不法捜査疑惑が浮上したり、また環境部が傘下機関役員の任期と辞表の提出有無をまとめた「環境部ブラックリスト」を作成し、報告を受けた大統領府が役員交替に介入した「文在寅政府ブラックリスト」疑惑が浮き彫りになったこともあった。
それだけではない。
前企画財政部事務官が、大統領府が企画財政部を通して民間企業の社長を交替するよう指示を出して人事に介入したとの疑惑が提起されたこともあった。
大統領選の時には、共に民主党の党員らが文在寅大統領当選に向けてインターネット世論を操作した疑惑まで浮上した。
国民の怒りと虚脱感
経済失策への批判が高まる photo/gettyimages
文在寅政権の経済政策への風当たりも年々強くなっている。
文在寅政権は経済分野で脱原発政策、労働時間52時間短縮、最低賃金年15%引き上げなど、大企業による輸出中心の韓国経済を小商工人中心の内需経済に転換する政策を示しているが、そのウラで韓国の経済成長率はマイナスを記録している。
さらに雇用を創出するため25兆ウォン近い税金を投入したが、失業率は歴代新記録を更新。
失業大乱が加速するなど、その経済政策をめぐっては韓国国内で肯定論より否定論がほとんどになっている。
そんな文在寅大統領は、就任以来4年間、不動産価格の安定化に取り組んできた。
24回に亘る強力な不動産対策にもかかわらず、不動産価格の高騰は止まらない。
結果として、韓国国内では住宅価格が2倍近く上昇する地域が続出し、勤労所得では購入できないほど急騰している。
文在寅政権が不動産対策を発表するたびに副作用が大きくなり、全国でマンション価格の暴騰が続いている悪循環が止まらなくなっており 、このような住宅価格に庶民らは憤りと虚脱感が交錯する。
文大統領自身、2021年の新年の辞で「住居問題の困難で落胆が大きかった国民には非常に申し訳ない」と謝罪するほどだが、このような状況下で「庶民型賃貸住宅」を供給する公社職員の土地投機疑惑は、「公正」と「正義」に信頼を失った韓国人をさらに憤らせている。
文在寅政権の「失政」の象徴
それだけではない。
文在寅政権は、先に言及したように、政府と省庁、社会経済全般で4年の間、“公平な機会”と“公正な選択”を消してしまった。
いわゆる「ライン」を持つ人たちばかりが昇進し、大金を稼ぐ不公正社会が韓国国内の現実となりつつある。
そうした意味でも、土地住宅公社の投機事件は、文在寅政府がこれまでの4年間、どんな失政を展開してきたかを如実に現す事例と言える。
文在寅政府は厳正な捜査を要求したが、このような不正や疑惑を作った原因は、便法や不法、投機による財テクを当たり前のように横行させた文在寅政権にあることを思い起こさなければならない。
金 愛(ジャーナリスト)