今回のテーマ:Ⅰ TPP発効に備えて輸出業務の基礎を習得しよう。(3シリーズ)
シリーズ③貿易実務でおさえておきたい用語
Ⅱ 46期「経営士養成講座」5月~7月 横浜で開催
締め切り4月24日
この記事は(一社)日本経営士会発行の「環境ニュース」で配信した記事の一部です。
日本経営士会 環境CSRのホームページはこちらへ。
Ⅰ 前回は②輸出するための情報は何処から(主にJETROについて)ついて
配信しました。最終回は貿易実務でおさえておきたい用語についてです。
③貿易実務でおさえておきたい用語
今までは市場調査、取り扱い商品の決定、取引先を探す、国の規制を調査、
信用調査、契約交渉・締結と主な流れを前回までお伝えしました。
今回は輸送手段の確保、保税地域への搬入、通関手続き・商品の積み込み・輸送、
代金決済・商品の引き取りの流れでどのような書類が必要か、最後に為替変動リス
ク、貿易保険、クレームについてです。
貿易実務のおもな書類 「貿易実務」芝田 政之 ㈱アスペクト出版から引用
●インボイス(Invoice 送り状)
船積みされた貨物の明細を示すもので、品名、数量、価格、契約条件、契約単価、
などが記載されています。貿易取引上最も重要な書類のひとつで、代金の決済、
輸出入申告などもインボイスをベースに処理されます。
●パッキングリスト(Packing List 貨物の梱包明細書)
インボイスの補助的書類で輸出者が作成します。貨物の梱包ごとに品名、
数量や容積、重量等の明細、シッピングマーク(荷印)などを記載。数量が少ない
場合は、インボイスで兼用し作成されないこともあります。
●船荷証券(B/L Bill of Lading)
海上輸送で利用される代表的輸送書類。運送人が荷受人と交わした輸送契約に基づ
いて、貨物を受け取り船積みしたことを証明するもの。荷受人の請求により運送人
が発行します。貨物の受領証や輸送契約の証拠証券であると同時に貨物の所有権を
表す有価証券としての役割も果たします。そのため運送人はB/Lが提示されれば貨
物を引き渡さなければなりません。B/Lの引き渡しは貨物の引き渡しと同じ効力を
持ちます。
●原産地証明書(Certificate of Origin)
貨物の原産国を証明する書類。日本から輸出する場合は、商工会議所で発給しま
す。
輸出時に必ずしも必要ではありません。原産地証明とは、「貨物の原産地、つまり
貿易取引される商品の国籍を証明するもの」です。原産地証明書が必要とされる主
な理由は輸入国の法律や規則に基づく時や、貿易取引の契約書やL/Cで必要とされ
る時などです。
原産地証明書が必要かどうかは取引先にご確認ください。
●信用状(L/C Letter of Credit)
輸入者の依頼で銀行が発行する荷為替信用状のこと、船積み書類の呈示、
輸出手形に対して、発行銀行が商品代金の支払いを保証します。
貿易取引条件の基本「インコタームズ」
国内での商取引と違い、商品が国境を越え、長距離・長期間で輸送される貨物では
商品代金の他、輸送費や保険料が掛かります。商品がどこで売りてから買い手に引
き渡さたとみなすのか、輸送途中で商品に損害があったときに、どちらがリスクを
負うのかも大きな問題になります。
このようなトラブルを回避するため、貿易取引条件の国際的な基準として「インコ
タームズ」と呼ばれるものがあります。
この「インコタームズ」については JetroのHPをご参照下さい。
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04C-070304.html
最もよく使われる取引条件
FOB (Free on Board)本船渡し条件
売り手は、貨物を買い手指定の本線上(厳密には本船の手すり、Ships Railを通過
した時点)で運送人に引き渡します。この時点で費用の負担と貨物のリスク負担が
買い手に移転します。
◎海上運賃は輸入者負担
◎海上保険料・保険付保は輸入者負担手配
◎危険(リスク)の移転場所は輸出港船上
CFR (C&F、Cost and Freight)運賃込み条件
FOBと同じく、手配した本船の積み出し港(輸出地)に於ける本船上(本船の手す
りを越えたところ)で貨物を引き渡したら、その時点で貨物のリスク負担が買い手
に移ります。そのため本船の積み込み後の保険については買い手が負担します。
◎海上運賃は輸出者負担
◎海上保険料・保険付保は輸入者負担手配
◎危険(リスク)の移転場所は輸出港船上
CIF (Cost Insurance and Freight)運賃保険料込み条件
売り手は貨物の船積み費用と仕向け港までの運賃と海上保険料を負担し、貨物を引
き渡した後の損傷などのリスクは買い手が負担をします。
◎海上運賃は輸出者負担
◎海上保険料・保険付保は輸出者負担手配
◎危険(リスク)の移転場所は輸出港船上
コンテナ取引条件 (インコタームズ)
最近はコンテナーでの輸送が増えていますが伝統的取引との対象は下記の通りで
す。
コンテナ取引条件 同様な条件の伝統的取引条件
FCA FOB
CPT CFR
CIP CIF
例えば FCAとFOBは下記の違いがあります。
FOBは在来船に対する条件、FCAはコンテナ船に対する条件という使い分けがされ
ています。つまり、FOBとFCAでは、リスクが移転する境界が少し違います。FCA
は船積み込みの際ではなく、輸入者が指定した運送人のCY(コンテナヤード)や
CFS(コンテナーフレイとステーション)で引き渡した段階で、輸出者から輸入者
に費用やリスクが移ります。逆にFOBでは、船に商品を置いた段階で輸出者から輸
入者へと費用とリスクは移ります。正確には、船の手すりを越えた時点で、という
ことになります。船以外の運送手段では、その責任移転の時期が確定しづらいの
で、運送人に引き渡す条件のFCAが採用されることが多い。
注:CFS シーエフエス
海上輸送(コンテナ)で使われる物流用語。混載貨物専用倉庫(CFS)のこと。混載(LCL)貨物は、CFSでコンテナ詰め或いはコンテナから貨物を出す作業を行います。また、通関や貨物の受け渡しもCFS内でそれぞれの荷主毎・マニュフェスト毎に貨物を確認した後に行われます。CFSは保税蔵置場です。輸出入手続きをしたりコンテナ詰めしたりするところであり、一般に長期的に保管することはできません。そのため、一定の保管期間をすぎると、保管料などの料金が発生します。
代理店契約と販売店契約の違い
代理店(Agent)契約
商社やメーカー本人との契約により、営業活動を行います。この営業活動はあくま
でも本人の代理として行います。代理店の立場はあくまでも仲立ちにすぎません。
代理店は実績に応じて本人から手数料(Agent Comimission)を受け取ります
が、すべてのリスクは
本人に帰属します。例えば、客先が支払い不能になり、販売代金が回収できないと
きのリスクは本人が負うことになります。
販売店(Distrributor)契約
販売店は本人(売り手)との間の「販売店契約」(Distrributor Agreement)に
よって売買契約を結び、製品を買い取ります。その製品を販売店が自由に設定した
価格で客先へ転売します。それによって生じる損益は販売者に帰属します。
例えば転売した製品の代金回収責任は販売店が負うことになります。
外国為替相場と為替変動リスク対策
貿易取引では、輸入者から輸出者へ商品代金の支払いが発生しますが、その通貨は
輸出国または輸入国の通貨、あるいは米ドルが使われます。しかし、為替レートは
常に変動しているため、売買契約のときに想定した外国通貨の為替レートが、実際
に代金決済するときの為替レートと異なるというケースはよくあります。輸出者
(売り手)も、売買契約時に1ドル=115円だったレートが受取時には1ドル=105円
になると、同じように損失が出ます。(円高と言い輸出には不利)こうした為替変
動による損失を避けるため、商社や貿易会社ではリスク対策をとっているのです
が、もっとも一般的な方法に「為替予約」があります。これは売買契約を結んだと
きに、代金決済時の先物為替を予約しておく方法です。たとえば、売買契約から
3ヶ月後に受け取る金額について“特定の時期”に“特定の先物(さきもの)相場
”で通貨転換すると銀行と約束し、その予約した決済相場で為替レートを確定する
のです。
※すぐに通貨転換を行う直物(じかもの)相場(Spot)といい、為替予約をして通貨
転換するものを先物相場(Forward)といいます。
「為替予約」の先物相場は、1ヶ月後、2ヶ月後と銀行がそのレートを定めており、直
物相場で転換するよりもレートが悪くなるのですが、それでも大幅な変動があった
場合にも影響は受けません。
また、「為替予約」をして決済相場が定まることで、輸出者なら受け取る代金が確
定するため、資金繰りなどの見通しが立てやすいというメリットがあり、商社や貿
易会社の為替変動リスク対策によく利用されています。この項目は
https://b.pasona.co.jp/boueki/word/から転用しました。
貿易保険と海上保険の違い
貿易保険は、貨物を輸出出来なくなった、或いは、輸出した貨物の代金が回収出来
なくなった時にお客様が受ける取引上の損失をカバーするものです。輸出出来なく
なった理由、代金が回収出来なくなった理由には、輸出先の国が輸入を禁止した
り、契約の相手先が破産したり、資金繰りの悪化で支払いが遅れるケースなどがあ
ります。
一方、海上保険は、海上輸送中の貨物の滅失・き損などによる物的損害をてん補す
る「貨物保険」を含む保険種類の総称です。
貿易取引におけるクレーム
貿易取引の一方が取り決め通りの契約を実行しまかったり、輸送されてきた製品が
不良品だった場合などの損害賠償責任に繋がることがあります。
主なクレームは:
運送クレーム、貨物の輸送中に発生した貨物の滅失、損傷など
貿易クレーム、到着した製品が契約違反品だったり、不良品だったりする場合は輸
入者が輸出者に対して賠償を請求すること。また、輸出者が輸入者による支払い遅
延などについて賠償請求をすること。
マーケット・クレーム、買い手から到着した製品が不良品であるなどの理由によっ
て受けるクレームのこと。しいて欠点を見つけて値引きをもちかけるなど、通常は
考えられない些細な点を取り上げるのが特徴です。しかしいわゆる損害賠償の請求
としてのクレームではありません。
マーケットクレームを申し立てる理由は輸入品の市場価格が下がり採算が取れなく
なった場合や、値引きを要求したり、代金の支払いを拒否するためだったりしま
す。貿易取引では決して珍しいことではないのでよく注意することです。
このようなクレームを起こさないためには、契約締結時には取引条件を充分に話し
合い誤解のないようにすることが重要なポイントです。
お互いに交わした文書の契約条件を誠実に実行することが必要な条件になります。
クレームで問題になる事項は 品質、納期、価格、数量などです。
以上が3回シリーズでお伝えしましたが、筆者は輸入業務は行ってきましたが輸出の経験はありません。したがって今までお伝えしましたことは参考程度にしておいてください。実際に案件があれば各都道府県にJETROがありますから、その案件の業者と一緒に訪問して下さい。コンサルタント単独では筆者の経験ではとりあってくれませんでした。
神奈川の経営士の中には中国などで日本の企業の現地立ち上げなどを行っていた
方、現在東南アジアで飲食業を開店させるべく仲立ちをされている方もいます。
これらの方々の意見を聞いてみるのもよろしいのではないでしょうか。輸出業務に
詳しい方については本部に訪ねてみて下さい。
Ⅱ 46期「経営士養成講座」5月~7月 横浜で開催 (再送)
(一社)日本経営士会は「経営士」養成講座を横浜で開催します。昭和26年創立に当会は経験豊富な経営コンサルタント
「経営士」を輩出してきました。また当会にはエコピープル、環境経営士が約200名活動をしています。講座内容にもありますように実践的なカリキュラムです。
このカリキュラムには「環境CSRと経営」と題して環境経営士が講師を務めます。
これから企業中でも中小企業の支援を志す方、企業内で経営の神髄を極めたい方に最適な講座です。
●開催日時:平成30年5月12日(土)〜平成30年7月15日(5月7日が申込締切)
すべて土曜日で9日間です。開講時間は9時~17時です。
●開催場所:研修場所 :VIT横浜 http://www.vitsystem.com/
〒231-0032神奈川県横浜市中区不老町1-2-1 中央第6関内ビル 3F
*JR根岸線 関内駅南口から徒歩1分
●講座内容:企業経営の基本、組織・人事、マーケティング、海外展開、運営管理・生産管理、品質管理・設備管理、
生産性向上(効率化)、5S活動による改善、生産管理のIT導入、財務会計と資金調達、MPPの特徴(経営改善提案)、
SWOT分析、実務研修 (企業訪問)、実務研修(課題抽出、改善案検討、作成)、環境CSRと経営、日本経済の概要、
中小企業白書、中小企業支援対策、終了試験。
65H
●受講定員:10名(先着順)
●受講料:150,000円(消費税含む)
詳細・お申し込み:http://www.keieishikai.com/index.php
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