一般社団法人日本経営士会はSDGsの基礎にもなる「環境CSR経営」の普及支援を行っています。環境経営士が支援を行います。

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「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ㉑

2023-03-23 15:51:20 | SDGs・CSR・環境経営

「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ㉑

7月に開催した環境経営士対象フォローアップセミナーのテーマは「カーボンニュートラル

CNに向けた日本の政策」副題として2050CN実現に向けた金融施策-TCFD-トランジション・

ファイナンスでした。講師は国の政策立案者の講演からです。

環境経営士Ⓡのホームページは「環境経営士」で検索をお願いします。

又はhttps://www.compact-eco.com/ で検索をお願いします。

 

トランジション(移行)概念の重要性

⚫ EUでは、ファイナンスに係る「タクソノミー」(分類体系)を策定し、環境的に持続可能な

 経済活動(いわゆる「グリーン」)を定義。事業会社に対し売上におけるグリーン比率の開示を、

 金融機関に対し自らの貸出債権等の金融資産のグリーン比率の開示等を義務づけ。気候変動の緩和・

 適応に係る目的のものは2022年1月1日から適用。

⚫ 一方で、全ての産業が一足飛びに脱炭素化できないのも現実。我が国は、脱炭素化に向けてのトラン

 ジション(移行)の概念を提案し、世界に先駆けて具体的な制度整備を進めている。

 

クライメート・トランジション・ファイナンスの重要性と政策の全体像

⚫ パリ協定実現のためには再エネを中心とする「グリーン」のみならず、省エネやエネルギー転換など

 着実な低炭素化を実現する「移行(トランジション)」が重要。

⚫ トランジション市場は未だ黎明期であり、民間での資金供給に向けた環境整備が必要。

⚫ トランジションの概念形成、ファイナンス促進のために、2021年5月に基本指針を策定。トランジションの

 適格性を判断するためのロードマップの策定とモデル事業を実施。

(1)基本指針の策定

✓ トランジションへの資金供給・調達を確立を目指し、国際原則と整合的な国内向

けの指針を策定(経産省、金融庁、環境省)。

(2)ロードマップの策定

✓ トランジションの適格性を判断

するための参考として、経済産業省において有識者等による検討会を設置し、CO2多排出産業向けの分野別

 ロードマップを策定。

✓ 2050年カーボンニュートラルを前提に、現時点で実用可能な最良技術から将来技術まで、我が国の政策、

 国際的な動向、パリ協定との整合を踏まえ策定。

✓ 2021年度は鉄鋼、化学、電力、ガス、石油、紙パルプ、セメントの7分野を策定。2022年度は自動車分野を

 策定予定。

(3)モデル事業

✓ トランジション・ファイナンスの普及のため、好事例の蓄積、発信を行うためモデル事業を実施。

✓ モデル選定案件はトランジションの適格性を判断する外部評価機関に要するコストの最大9割支援。

✓ 2021年度は12件のモデル事例を選定、調達金額(予定を含む)は約3,000億円。


「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑳

2023-03-13 15:49:12 | SDGs・CSR・環境経営

「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑳

7月に開催した環境経営士対象フォローアップセミナーのテーマは「カーボンニュートラル

CNに向けた日本の政策」副題として2050CN実現に向けた金融施策-TCFD-トランジション・

ファイナンスでした。講師は国の政策立案者の講演からです。

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TCFD賛同機関数の推移

⚫ 我が国のTCFD賛同機関数はTCFDコンソーシアム設立を境に世界最多となり、その後もTCFDサミット

 (グリーン投資ガイダンス公表)等、各種施策により着実に増加。

2022年6月 日本997社 アメリカ418社 イギリス456社

 

2050年ネットゼロの実現に必要な投資額

⚫ IEAによれば2050年ネットゼロ排出の実現に向けて、2050年までに2020年から世界全体(累計)で

 約140兆ドル(1.67京円)の投資が必要と試算。

⚫ 世界規模での地球温暖化対策に対して、どのように資金供給をしていくかが課題

 

サステナブルファイナンスを巡る動向

⚫ パリ協定実現に向けて、世界全体でCO2削減のための莫大な投資が必要。政府の直接支援だけでは

 不十分であり、サステイナブルファイナンスの役割は重要。ESG投資への関心の高まりを背景に2020年

 には投資総額が35.3兆ドルまで拡大。

⚫ ESGの中で、気候変動にかかるグリーンボンドの発行額も2,699億ドルまで拡大。ただし、グリーンボンドの

 発行は、エネルギーや建設分野等が主流となっており、CO2多排出の産業分野での発行はわずか。

⚫ 2050年カーボンニュートラル宣言の実現に向け、様々な分野で気候変動対策を行うためのファイナンスは

 重要な政策課題


「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑲

2023-03-03 15:46:18 | SDGs・CSR・環境経営

「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑲

7月に開催した環境経営士対象フォローアップセミナーのテーマは「カーボンニュートラル

CNに向けた日本の政策」副題として2050CN実現に向けた金融施策-TCFD-トランジション・

ファイナンスでした。講師は国の政策立案者の講演からです。

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コーポレートガバナンス・コード改訂(唐突にこのPPが出ましたが?)

⚫ 我が国のコーポレートガバナンス・コードは2015年に公表され、上場企業は原則として遵守を

 求められている(Comply or Explain)(有価証券上場規程、同施行規則)。

⚫ 2021年6月に改定され、2022年4月に開始されたプライム市場上場企業に対してはTCFDに基づく

 気候変動に係る開示が求められている。

【第2章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働】

【考え方】

(略)

また、「持続可能な開発目標」(SDGs)が国連サミットで採択され、気候変動財務情報開示タスク

フォース(TCFD)への賛同機関数が増加するなど、中長期的な企業価値の向上に向け、サステナビ

リティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)が重要な経営課題であるとの意識が高まっている。

こうした中、我が国企業においては、サステナビリティ課題への積極的・能動的な対応を一層進めていく

ことが重要である。

【原則2-3.社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題】

補充原則2-3①

取締役会は、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・

適切な処遇、取引先との公正・

適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず

収益機会にもつながる重要な経営課

題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討を

深めるべきである。

【第3章 適切な情報開示と透明性の確保】

【原則3-1.情報開示の充実】

補充原則3-1③

上場会社は、経営戦略の開示に当たって、サステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、

人的資本や知的財産等への投資についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に

情報を開示・提供すべきである。

特に、プライム市場上場会社は、気候変動に係るリスク及び集積機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、

必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく

開示の質と量の充実を進めるべきである。