「社会的インパクト評価」シリーズ3
2.1 ロジック・モデルとは何か
ロジック・モデル
「もし~ならば、こうなるだろう」という仮説のもと、資源、活動、直接の結果、成果を繋ぎ合わせたもので、事業が成果を上げるために必要な要素は資源 活動 直接の結果 初期成果 中期成果 長期成果
例
◎資源:
- ヒト
- モノ
- カネ
◎活動:
- 経済的困難を抱える子どもへの学習支援
◎直接の結果:
・プログラムの実施回数
・参加人数
◎初期成果:
- 学力の向上
- 社会情動的能力の向上
◎中期成果:
- 希望する進路の選択
◎長期成果:
- 経済的自立
- 生活自立
- 精神的自立
2.2 ロジック・モデル作成実践の全体像
事業の目標と 受益者の特定 成果の設定 直接の結果、 活動、資源の 設定 最終確認 事業目標から 事業の受益者を特定します。 特定した受益者に対して どのような成果を 設定するか考えます。 設定した成果を起点に必要な 直接の結果、活動、資源に 遡って検討します。 完成したロジック・モデルの 最終確認をします。
ロジック・モデル作成実践の構成要素はすでに述べましたが以下の6つです。
資源 活動 直接の結果 初期成果 中期成果 長期成果
ポイントは、長期成果から「逆算」して考えるという点です。
- 「長期成果」から逆算して考える方法のほか、「資源」から順に考える方法や、その中間的な方法なども存在します。
本資料では、長期成果から逆算して考える方法を紹介しています。
STEP1. 事業の目標と受益者の特定
- ロジック・モデル
はじめに事業目標から「事業の受益者」を特定します。
この作業は事業目標の確認と同時に行います。
ロジック・モデルの作成では、組織が提供する事業・プログラムの目標は何かを再確認し、
その事業は「誰に=受益者」向けたものなのか考えていくため、はじめに本作業を行う必要があります。
事業目標と受益者が特定できていなければ、ロジック・モデルは作成できません。
事業目標は何ですか。
- 事業目標は取り組む社会的課題が解決された状態であり、具体的で客観的なものであることが望ましいです。
事業報告書、年次報告書、パンフレット、中長期経営計画などを参考にしても良いでしょう。
多様な事業を行っている場合、まず最も重要な事業について考えてみましょう。
事業目標は主観ではなく、組織内外で合意が取れていることが重要です。
望ましい事業目標の例
- 教育機会格差を原因とした貧困の連鎖の解消
望ましくない事業目標の例
- 社会を変える
(何をどのように変えるのか不明確で具体的なイメージが共有できない)
事業の受益者は誰ですか。 受益者は複数でも構いません。多くの場合、事業がもたらす変化・効果の範囲は事業の直接の対象者に限りません。 例えば学習支援事業では、事業の結果生まれるポジティブな変化は、子どもだけでなくその親や教師にも発生するかもしれません。 まず、受益者の洗い出しを行い、その後で最も重要な受益者を特定しましょう。 最も重要な受益者については、より具体的に検討をしましょ
う。 また、事業を実施した結果、予期せぬネガティブな変化(ネガティブインパクト)を生み出してしまう可能性もある点に留意しましょう。 (例:学習支援事業) 受益者 重要度 判断根拠 経済的困難を抱える子ども(小学生) A 親 B 教師 事業目標や受益者の特定が難しい場合、まずビジョンを絵に描いてみるという方法もあります。 描いた絵を具体的かつ客観的に言語化したものが事業目標となります。 多くの場合、中心に描かれているもの(人)が最も重要な受益者となります
この記事は日本経営士会 「環境経営士 ®」向けメルマガで発信している記事の転載です。
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