この場所にも18、9の頃 親父に連れられてきた。
年賀状に薬師寺の朱印を押して出す というのが
親父の習慣だった。
だから訪れたのは 暮れの寒い季節。
西塔はまだなかったし 金堂も復興していなかった。
ちょうど高田好胤師が普山される前後のこと。
金堂復興の寄進をした覚えがある。 たしか瓦一枚。
薬師寺・東塔
美術の教科書にも出てきたこの三重塔は
裳階を抱いて六重塔のように見える。
不思議な形にもかかわらず
かもし出す安定感に心惹かれる。
建築当時は 西塔と同じくきらびやかな色彩を保っていたであろう外観は
悠久の時を重ねた色合いになっている。
60を迎える爺さんも18の若造と同じように
じっとその姿を眺めている。