東埼玉病院 総合診療科ブログ

勉強会やカンファレンスでの話題、臨床以外での活動などについて書いていきます!

施設における看取りを考える

2015-05-08 22:08:57 | その他
 私たちが嘱託医で関わらせていただいている特養の1つが、最近看取りの対応をするようになっています。施設の開設時から関わらせていただき、いろいろ協力・相談しながら看取りを行える体制になってきたことは、関わらせていただいている1人としてうれしいことです。施設のスタッフの方々のがんばりによるものと思います。全国でも、現状ではまだまだ特養で最期までいられる方は3割程度というのが現状のようです。夜間に看護師さんがいない施設が多かったり、介護職の方も看取りの研修機会が少なかったりといろいろな障壁があるからとも言われているようです。個人的には、「施設で看取るべきだあ!」とかそういう強い思いはないのですが、何より入所者さんや家族にとって、「施設で亡くなる」という選択肢があることが重要なのかなと思っています。それを選べることが・・・。少し文献も含めて施設でお看取りするにあたってどのようなプロセスで医師として関わっていけばよいのかを考えてみました。(私見中心ですので、あしからず)


<施設における終末期対応について>

★“看取り”前まで
①患者・家族・施設職員と終末期であることの共有
②施設でみることが困難となる状況をできるだけ避ける
 症状コントロール:施設入所者で、最後の1か月で47%に「痛み」、48%に「呼吸苦」、72%に「食事量低下」を認め、亡くなった約半数は痛みや呼吸苦のコントロールが十分ではなかった。(Hansonら,2008)→早めのHOT導入やオピオイドの使用を具体的に検討
★“看取り”のとき  
①死亡場所にどこまでこだわるか:遺族の満足度と死亡場所(施設かどうか)は関連あり(Vehra,2004)→「施設で亡くなる」という選択肢があることは重要か。
②介護職員の心理的負担:介護職員は看護職員より施設看取りへの精神的負担大きい(早坂ら)、介護職員は「看取りに対する恐怖心」を持っている(深沢ら,2011)
 →介護職員の不安・心配・恐怖心を医療者としてどのように軽減するかは重要か。
ちなみに、特養の看護職員の7割が看取りを困難と感じており(橋本ら,2014)、看護師への負担の配慮も重要と思われる。
★“看取り”後
家族や職員へのケア(産業医との連携)、ふりかえり(デスカンファレンス)

上記をきちんと実践できているとは、まだまだ言えませんが、以前と比べると形になってきているのかなと感じています。
先日行った施設スタッフとのデスカンファレンスも非常に勉強になりました。