今日は外来をしていました。外来も継続的に拝見させていただいている方が多いので、長い方はもう8年ほど診察させていただいております。当院はやや不便な場所にあるので、外来の高齢患者さんがどのような手段で通院してくるのかは気になるところで、聞いたりします。当院で働く前の話ですが、自転車で外来に来ようとして、その途中で事故にあった方がいました。健康のために、病院に来ているのに、事故にあってしまっては・・・とひどく後悔したのを覚えています。それ以来、病院にどのような手段で来ているのかを気にするようになりました。患者さんによっては、自転車・自動車・徒歩も通院において危険となる場合もあり、またそれは通院に限らず、普段の生活においてもであると思われ、介入が必要であれば、短い時間にはなってしまいますが、外来でアドバイスするようにしてはいます。
本日はその中で、「自転車」について書きたいと思います。
<高齢者の自転車による事故・負傷>
★高齢者の自転車事故・負傷は多いのか?
米国:1975年 死亡事故の32%⇒2000年 71%↑
スウェーデン:1967-96年で死亡事故の約半数が高齢者
自転車に関する負傷(スウェーデン):65歳以上で3倍、75~84歳で6倍増える (Ekmanら,2001)
★高齢者はどのように自転車で負傷するのか?
Scheimanらの報告(2010年):65歳以上の自転車で負傷した456例
自転車の乗り降り時の転倒(20%)、地面のくぼみや歩道のはしによる転倒(13%)、車にぶつかる(6%)
負傷の半数は、骨折・脱臼。10%が脳震盪・頭蓋内出血
★どのような高齢者が自転車で負傷しやすいのか?
⇒該当文献なし
★高齢者の自転車での負傷を防ぐには?(Janice,2003)
・ヘルメットの着用(頭部外傷85%↓、下顎以外の顔面外傷↓)
・交通規則守る ・天気の悪い日は乗らない
Cf.単独事故⇒60歳以上、アルコール摂取、夜間、不慣れな道でリスクUp
上記をふまえて、「自転車」で通院している患者・「自転車」によくのる患者に対しての外来でのチェックポイントを考えてみました。
・最近、自転車で転倒しそうになったりは?
・乗り降りでバランスくずしそうになる時は?(高さあってる?)
・ヘルメット着用の推奨
・夜間・天気の悪い日に乗らないよう
・アルコールや内服にも注意
ついつい忙しいと、流してしまう部分ではあるのですが、診察室の外も意識した診療を行わねばと、本日書いていて思いました。
ちなみに写真は、先日学会で盛岡に行った際に、見かけた「石割桜」です。