東埼玉病院 総合診療科ブログ

勉強会やカンファレンスでの話題、臨床以外での活動などについて書いていきます!

薬剤師さんとの連携について

2015-05-17 17:32:45 | 勉強会
 以前、在宅での薬剤アドヒアランスを高めるということについて書きました。高齢者医療や在宅医療に携わっていると、医師という一職種のみで行えることの限界を感じることがよくあります。以前、薬剤師さんの雑誌の取材で、「対談」という形で、お招きいただいたことがありました。その時も実感したのですが、今後、地域(在宅のみではなく病院でも)での薬剤師さんの役割というのは非常に重要になるのでは感じています。そのような観点から、本日はCollaborative drug therapy management(CDTM):共同薬物治療管理について書きたいと思います。

 
<Collaborative drug therapy management(CDTM):共同薬物治療管理について>

★2010年4月厚労省通知「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」:薬剤師が主体的に薬物療法に参加することが有益(薬剤師を積極的に活用することが可能な業務9項目を明示)
① 薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダについて、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用を通じて、医師等と協働して実施すること。
② 薬剤選択、投与量、投与方法、投与期間等について、医師に対し、積極的に処方を提案すること。
③ 薬物療法を受けている患者(在宅の患者を含む。)に対し、薬学的管理(患者の副作用の状況の把握、服薬指導等)を行うこと。
④ 薬物の血中濃度や副作用のモニタリング等に基づき、副作用の発現状況や有効性の確認を行うとともに、医師に対し、必要に応じて薬剤の変更等を提案すること。
⑤ 薬物療法の経過等を確認した上で、医師に対し、前回の処方内容と同一の内容の処方を提案すること。
⑥ 外来化学療法を受けている患者に対し、医師等と協働してインフォームドコンセントを実施するとともに、薬学的管理を行うこと。
⑦ 入院患者の持参薬の内容を確認した上で、医師に対し、服薬計画を提案するなど、当該患者に対する薬学的管理を行うこと。
⑧ 定期的に患者の副作用の発現状況の確認等を行うため、処方内容を分割して調剤すること。
⑨ 抗がん剤等の適切な無菌調製を行うこと。

★米国や英国での導入:HT・DM・HL・抗凝固療法などで、医師と取り決めたプロトコールに沿って薬物療法の調整などを行う。
 ナーシングホームで有意な死亡率減少・病態の改善・患者1人あたりの薬物数減少(J.F Thompsonら,1984)
★日本での導入例
整外病棟での周術期の処方提案・代行(舟原ら,2013):緊急処方の減少・疑義照会件数減少・薬剤師の処方提案件数増加
地域医療型CDTM(小川ら,2014):疑義照会件数減少、残薬確認により保険点数削減

 小川らの報告はプライマリケア連合学会誌にのっていたのですが、読んで、地域の薬剤師さんの今後の可能性を感じました。特に在宅や施設などはいろいろな可能性があるのではないかと感じました。また、そのような意味では薬薬連携も今後より重要となってくるのではないかと感じています。高齢者が入退院するときに、どのように薬剤師同士で情報を共有し、共に介入を行っていくのか・・・。病棟の薬剤師さんにも、病棟での多職種カンファレンスに出席してもらっており、今後いろいろとやっていけたらよいなと考えています。