知る人ぞ知る、東京駅内の二毛作佳店
JR東京駅の八重洲北口改札を出て左へ。丸の内方面と繋がる北自由通路沿い、様々な飲食店が軒を連ねるキッチンストリートにある「博多うま馬」が今日の目当てだ。このお店、午前11時から午後4時までのランチ時限定で「三馬路(さんまろ)」の屋号で、ラーメン専門店として営業しているのだ。いわゆる二毛作というヤツである。
「博多うま馬」の本店は博多祇園町。昭和16年に屋台「三馬路」としてスタートし、五馬路、うま馬と屋号を変えてきた。現在の「うま馬」は豚骨ラーメンをはじめ、モツ鍋や鳥皮串、ひとくち餃子などを楽しめる居酒屋として営業中。ちなみに屋台時代から白濁豚骨ではなく、清湯の豚骨スープを提供し続けている事でも知られている。
それがコロナの影響だろうか。原点の「三馬路」の屋号を再び前面に押し、二毛作の昼営業を始めたのだ。博多の冷泉店では2020年9月から、東京店は2021年4月19日から「三馬路」の営業を開始した。しかも豚骨ではなく鶏や煮干の清湯で勝負。評判が非常に良い。軒先に「三馬路」の暖簾や看板はないので探す際は注意を。
店内はカウンターとテーブルが混在。麺メニューは「鶏と魚貝の淡麗そば」「節と煮干の中華そば」の2本で、それぞれ醤油・塩と選ぶことが出来る。プラス100円で煮玉子、ワンタンをそれぞれトッピング可能で、200円で両方が乗る特製にグレードアップ出来る。今回は「鶏と魚貝の淡麗そば」の塩を特製で注文することに。
待つこと6分で着丼。澄んだスープは、名古屋コーチンや大山鶏の丸鶏と親鳥のガラなどを炊いた出汁に、鰹節や鯖節、平子煮干、煮干、アサリ、羅臼昆布などを使った魚介出汁を重ねた清湯。塩ダレもこだわっており、仏産ゲラント塩やチベットの湖塩に、貝柱や煮干し、削り節、原木椎茸を加えているという。鶏油も上質で香ばしい。
鶏の旨みを前面に押し、魚介が全体をしっかり支えている。これは旨い。そこに菅野製麺所特注の中細ストレート麺が泳ぐ。麺肌はツルツル。歯切れ良くてコシもあり、スープとの相性も抜群だ。チャーシューは低温調理でレアな仕上がりの豚肩ロースと、しっとりした仕上がりの鶏胸肉が1枚ずつ。どちらも良い味付けで絶品である。
黄身がトロリと溶け出す味玉、餡に海老を使ったワンタン、メンマ、青と白の刻みネギ。そして鶏チャーシューの上には柚子のジュレと、ニンニクの効いたキノコのペーストも。少しずつスープに溶かし食べ進めると、また違った表情に変わる。あっという間に完食してしまった。知る人ぞ知る佳店。次は「節と煮干の中華そば」を是非。
<店舗データ>
【店名】 三馬路(さんまろ) 東京店
【住所】 東京都千代田区丸の内1-9-1
【最寄】 JR「東京駅」八重洲北口改札より徒歩2分
★2021年12月9日、神田に移転オープン。
★住所は千代田区内神田2-9-6