患者は、59歳男性、今年の4月に「 左のほほがピリピリと痛い 」という主訴のもと来院されました。 口腔内を観察すると、左側頬粘膜の一部に白色のレース様変化を認めました。扁平苔癬と診断し、患者さんに説明したあと、ステロイド軟膏を処方し、経過観察といたしました。 8月8日に、同患者が「 詰め物がとれた 」という主訴で来院されました際、「 その後、ほほの痛みはどうですか 」とお聞きしたところ、「 痛みがなくなりました 」との返答を得ました。ただ、口腔内を拝見したところ、右側頬粘膜に以前より強い白色変化、角化の亢進を認めたため、「 悪いものではありませんが、一応、埼玉医大の口腔外科に行っていただけますか?」と提言し、同病院を紹介いたしました。現在、その報告書待ちです。扁平苔癬と口腔がんとの関係は、諸説入り乱れ、明らかではありませんが、患者さんに症状がなくても、白色が強くなり角化の亢進が著しい場合は、大学病院に紹介するべきだと思います。