患者は、27歳女性、昨日、左上の完全埋伏智歯および左上7番歯牙破折の抜歯で来院されました。智歯の抜歯が終了し、7番の脱臼直後、患者が手の強いしびれを訴えました。表情を観察すると息づかいが荒くなり、頻脈の状態、過換気症候群と判断し、抜歯を一旦中止しました。「 心配することは全くありませんので、極力小さくゆっくりと呼吸してくださいね」と、患者さんの不安を除去し、過呼吸にならないように努めました。30分ほど経過した後、気分も回復され過換気症候群の症状も消えたので、「どうします。歯はすでに脱臼しております、あと少しで終わりなのですが」と、お聞きしたところ「 今日は無理です。また次回でお願いします」と頑なに拒否されたので、抜歯を中止し、帰宅していただきました。過換気症候群の対処法として、紙袋を口にあてがう方法が碇石ですが、その行為自体が患者さんの不安を仰ぐ、低酸素になるなど問題点を付随するため、現在は否定的な意見が多いようです。