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テレビっ子のひとり突っ込み

『ああ、私の幽霊さま』感想

2022-05-18 23:57:41 | 韓国ドラマ

2015年 韓国

◆おすすめ度
★★★★☆


◆キャスト
カン・ソヌ(サンレストランのカリスマオーナーシェフ):チョ・ジョンソク
ナ・ボンソン(幽霊の見えるヒロイン、サンの調理見習い):パク・ボヨン
シン・スネ(処女のまま亡くなった幽霊):キム・スルギ
チェ・ソンジェ(ソヌの妹の夫。警察官。):イム・ジュファン
イ・ソヒョン(ソヌの大学時代からの女友達):パク・チョンア
カン・ウニ(ソヌの妹。交通事故で車椅子生活を送る):シン・ヘソン
ホ・ミンス(サンレストランのスーシェフ):カン・ギヨン
チェ・ジウン(サンレストランの調理スタッフ):オ・ウィシク
ソ・ジュン(サンレストランの調理スタッフ):クァク・シヤン
チョ・ドンチョル(サンレストランの調理スタッフ):チェ・ミンチョル


◆感想

率直な感想。意外に面白かった。ここ半年くらいの間で見た韓国ドラマでは、私的には「欠点ある恋人たち」の次くらいに
良かった。

このドラマは「力の強い女 ト・ボンスン」を見た直後にパク・ボヨンつながりで見始めたんだけど、確か1話だけ見て、

・パク・ボヨンがト・ボンスンに比べて陰気で気弱過ぎてギャップに耐えられなかった っていうのと
・物語の舞台っぽいヒロインの職場が、パワハラと怒号が飛び交い過ぎてストレスたった、
・主演のチョ・ジョンソクが全くタイプじゃない顔だった
・結構好きな俳優カン・ギヨンが、クズでパワハラな先輩役だった
・けっこう好きな女優さんのキム・スルギのビジュアルがいまいちだった、そして
・私の苦手な俳優イム・ジュファンが出てる上に、なんかすでにサイコ感が漂っていて・・・(「ハベクの新婦」の影響?)

っていう、そんなこんな理由から嫌になって2年以上放置していたもの。

最近、ブロ友さんとカン・ギヨンいいよね、って話からこの作品をお勧めされたので、視聴再開したのでした。

結果、観てよかったです。

そもそも、ヒロインのボンソン(パク・ボヨン)が幽霊が見えるっていう役だったので、それきっかけでこの世に未練を残す
色んな幽霊たちの相談に乗って事件解決していく系の明るいドラマかと思いきや、ヒロインが幽霊を怖がってて本気で見ない
ようにしている。(「アラン使道伝」の主人公とは違って。)

イケメン(設定)で俺様でナルシストなレストランシェフも、そんなヒロインがなぜか気になっちゃうって素振りもなく・・・

って感じでほんとにこれ、ラブコメとして成立するのかなーとか思ってたら、2話目でキム・スルギ演じる処女のまま亡くなった
幽霊シン・スネがボンソンに憑依するところから話が急展開。

そっからだんだんと面白くなってきます。

なんせ、ボンソンとシン・スネってば性格が180度違う。
顔は同じでも、急に性格が明るく積極的で強気になっちゃうホンソンに、お店のスタッフが戸惑いながらも今までそこまで
興味のなかったボンソンだからか、みんな訝しむこともなくボンソンはだんだん受け入れられていきます。



そしてそれはオーナーシェフのカン・ソヌも一緒。
レストランをクビになっちゃうボンソンですが、シン・スネが憑依して何食わぬ顔でまた戻って働いてたり、住んでた格安の
受験生寮(って何?)を追い出され、お店に寝泊まりしてるところをカン・ソヌに咎められるも結局屋上の物置を寝床として
提供してもらったりしちゃいます。

ちなみに、俺様でナルシストなカン・ソヌには実は昔いじめられっ子だったり、大学生の時からずーっと片想いをしている
女性がいたりします。そんなワケで、表向きは自信家の彼も実は一人の時は色んなことに思い悩む青年だったりして、エゴサ
の結果に一喜一憂したり、疲れた時には「you are mau sunshine!」っていう素朴な料理を紹介しているお気に入りのブログを
みて癒されたりしてる。(それが実はボンソン(本物)のブログだったりするんですが。)

で、彼が想いを寄せている彼女はテレビ局プロデューサーのイ・ソヒョン。

カン・ソヌは、学生時代彼女が好きながらもずっと言い出せず、そうこうしているうちに友人に好きな人への告白の御膳立て
として料理の準備やら雰囲気づくりやら頼まれて協力したところ、そこに来た彼女がイ・ソヒョンだったことにびっくり。
カン・ソヌは、彼女に想いを告げられないまま目の前で失恋、そして彼女と友人はそのまま結婚。残念ながら友人はその後
亡くなってしまったようで、現在彼女は独身ながらもカン・ソヌはそれ以来続いている友人関係を壊すことができず、微妙な
片想いを続けています。

なので、ボンソンには見向きもしません。

一方、ボンソンに憑依したシン・スネは、処女のまま亡くなった幽霊。(韓国では幽霊にも処女で亡くなった幽霊、男で独身
のまま亡くなった幽霊、なんて色々切り分けがあるみたいです。それだけ結婚と子供を産んで一人前っていう意識が強い?)
水の中で溺れて苦しんだっていう亡くなったときのうっすらとした記憶はあるものの、自分がなぜ亡くなったかは不明。

なので、処女だったことが未練として残っていて成仏できない理由だろうと考え、色んな女性に憑りついてはこの世の心残り
を成就させようと試みますが、ことごとく失敗。(基本、フツウの男の人は幽霊に触れると精気を吸い取られて体調が悪くなる
ものらしい。そんなワケでベッドインどころではなくキスだけで相手が救急車で運ばれてしまう始末。)

除霊師のおばさんから逃げるためだけにボンソンに憑依したシン・スネは、とりあえず一緒に働く同僚たちに成仏のための
一夜限りの関係を迫ったりもしますが、うまくいかず。

そんなある日、風邪を引いたカン・ソヌを心配し様子を見に行ったシン・スネ(ボンソン)は、熱で朦朧としてボンソンを
イ・ソヒョンと混同したカン・ソヌにキスされてしまいます。

しかし、それまでの男のように特に異変が起きないカン・ソヌを見て、彼が自分の成仏に役に立つ"陽気男(ヤンギナム)"(幽霊
である自分の陰の気にも負けない陽の気の持ち主?)であることを発見します。

そっから、すごい勢いでカン・ソヌに昼夜問わず迫りまくるシン・スネ(ボンソン)。
で、彼女のそういった二面性とか、ピンチに意外に強いっていう場面に助けられたりして、ちょっとずつボンソンが気になり
出しちゃうカン・ソヌ。



ようやくラブコメ要素が出てきます。
ただ、まぁボンソンの中身と外身が違う人だっていうことで、後々面倒なことになったりしちゃいます。
そこできっと、最初のブログの登場なんだろうなーとか思ってたけど、そこまで重要視はされてなかった・・・。

で、ラブコメ要素が出てくるのと同時に、サスペンス要素もちょっとずつ濃くなってきます。

ボンソン姿で父親に遭遇したシン・スネは、一気に生前のことを思い出します。ただ、亡くなった時の記憶は曖昧なまま。
娘が亡くなって気落ちする父親が気になって、ボンソンとして交流を図るシン・スネ。

ちょいちょい実家に行って家族と交流を図るうちに、自分の生前の日記や亡くなった原因が自殺だったことにされてること
に疑念が湧いてきます。

それと同時進行で、カン・ソヌの妹のひき逃げ事件の手掛かりが見つかったり、カン・ソヌの母親と仲良くなった除霊師の
おばさんが、ソヌの妹の夫チェ・ソンジェを見て違和感を持ち、だんだんとチェ・ソンジェ(イム・ジュファン)にすべての
疑惑が集まっていくんですが・・・。


って感じで、まー、3話目くらいでこんな感じで終わるんだろうな、ってざっくり思った終わり方で完結、って感じでした。

個人的には、霊媒師のおばぁちゃんが実は除霊師のおばさんの師匠だったとか、そんなつながりも欲しかったですが、まぁ
よかったです。

序盤、あまりにもカン・ソヌとボンソンのカップルがイメージつかなくて、これ、カン・ソヌとソヒョン、そしてボンソンは
ソ・ジュンとハッピーエンドもありなのかなーって思っちゃいました。まー、それにしてはソ・ジュンの見守り男子たる癒し
系要素が少なめではあるんですが・・・。


関係ないけど、イタリアンレストランで飛び交ってる言葉で色々驚いたことが。
和牛が英語でもwagyuだって初めて知った。
チャンポンてなんだろ?


この世に未練を残して成仏できなかった霊が3年成仏できないでいると悪霊になってしまう。世の中の凶悪犯罪のほとんどは、
この悪霊が憑りついて起きている。
フィクションだとは思うけど、韓国でこういう思想がもし根付いているのであればちょっとコワいなーと。
だって、極論言うと、犯罪は悪霊のせいであって実際に罪を犯した人は(たまたま悪霊に憑かれちゃっただけで)悪くない、って
ことでしょう?
正気を失ってたとか、間が差した、とか。
それで、なぜそういう犯罪を犯したか、起きたのかってことを考えないなら・・・。

物語の中でも、最後シン・スネを殺した犯人に憑りついてた悪霊が姿を現して、消えたのかどっかに行っちゃったのかよく
分からないけどそれでそこはオワリ。そこまで話を広げてたら主題がぼやけるし、長くなっちゃうからってこともあるんだ
ろうけど、悪霊の正体がなんなのか、それがなぜ悪霊になったのか、みたいなとこが何もなく終わったのはちょっともやもや
した。


日本にも"罪を憎んで人を憎まず"っていう言葉があるけど、似ているようで全く状況が異なる。
「罪を憎んで」っていうのは、そういう犯罪がなぜ起きたのか背景や事情を鑑みて、犯罪犯した人だけでなく、それぞれ
当事者たちにもそういう環境作った人たちにも責任がある、それをみんなで考えて反省しようっていうような言葉だと思う。
なぜ犯罪が起きてしまったのか、それを考えて反省することによって今後起きないようにしようってことにも繋がるし。

って、なんかこのドラマみてそんなとこまで考えちゃいました。

ヒロイン役のパク・ボヨンは、見事に二重人格を演じきってて良かった。
半面、前半はキム・スルギと力の差が浮き彫りになってた気がします。パク・ボヨンのシン・スネは、すごく愛嬌があって、
ちょっと下町のおばちゃんぽさを演出してるけどどことなく品がある感じで。
けど、一方のキム・スルギのシン・スネは、ただがなり立ててる機嫌の悪いだけの人にみえちゃって・・・。



でも、後半の成仏寸前くらいの悪霊にはなりたくない、けど好きな人と離れたくない、でも善良なボンスンも傷つけたく
ない、っていう複雑な感情のシン・スネは、よかった。
このドラマの中で、女優としてすごく成長したんじゃないかなーって思いました。



幽霊のシン・スネが、自分が見えてないカン・ソヌのほほに触れて、カン・ソヌが怖がってビクッてなるシーン、
切なくて泣けました。

レストランのスタッフ、オ・ウィシクはちょいちょい色んなドラマで見かけるけど(「真心が届く」のマネージャとか)、
イケメンスタッフのソ・ジュンもどっかで見たなーって思ってたら、魔女宝鑑のヒロインの義理の兄(?)役の人だった。
そしてドンチョルは、「オクニョ」の典獄署(チョノクソ)の2人目くらいの署長。
いやー、みんななんか若いなー(笑)。


コメント (8)
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