(今日は、読書案内です。)
京極夏彦の百鬼夜行シリーズ(京極堂シリーズ?)の第5作目。
京極夏彦の本は、分厚くて持ち歩きや満員電車で片手で指を挟みながら読むには不向きなのでちょっと敬遠してたんですが、
分冊文庫が出たタイミングで買って読みました。背表紙の黒や、カバーの艶消しっぽい加工が気に入ったのもあって。
(けっこう割高ではありますが。)
百鬼夜行シリーズは、小説の中に、半分作者の趣味というか京極堂という登場人物を使っての作者の知識を語りたいだけ
なんじゃないかって言う、神道や民俗学的な蘊蓄を延々と語るシーンがあって、かなり本腰淹れないと途中で挫折しそうに
なるんですが、なかなか興味深いところも多々あります。
私的には、この5作目の「絡新婦の理」の中の一説がかなり印象深く心に残ってます。
それは、日本に昔からある風習、「夜這い」制度のお話。
地方では、未だにそういう風習が残っているところがあるらしいですが、もうちょっとポピュラーなところでいうと、
源氏物語なんかに出てくるやつが有名ですかね。
まぁ、あれが夜這いなのかは分からないけど、男が女のところに通う通い婚制度的なやつ。
で、「夜這い」って言葉と、何をするものかも知ってはいるけど、その意味までは知らなかった。
「夜這い」制度って言うのは、もともと女が家の跡取りとされてる地方で生まれた風習で、男が女の元に通うルール的なもの
も何かしらあるらしいんですが、とにかく私が衝撃を受けて妙に納得したのがその理由。
「夜這い」では、男側の誰の子供なのかっていうのはそれほど重要ではなく、重要なのは、とにかくその家系の血を絶やさ
ないっていうこと。
女が家系を受け継げば、その女が産んだ子供は当然その家の血を継ぐものであり、そうすれば、カッコウの子供みたいに、
自分の息子の子(自分の家系の血を継いだ子供)だと思って育ててたら、他の男が自分ちの嫁に産ませた全く別の血の子だった、
なんてことがない、っていう。実に合理的な制度っていうね。
ここがちょっと目からウロコで、すごく印象に残ってます。
日本のマニアックな歴史と蘊蓄好きな人には是非オススメなシリーズです。
余談ですが、京極夏彦で思い出した、何年か前に本社で何か月か仕事してた時のお話。
中途採用で、若い女子社員が入社してきたんですが、その子がすごくなんていうか、"きゃぴきゃぴ"してるっていう表現がしっくりくるちょい八方美人な
女の子で・・・。
まぁ、色んな人と仲良くなろうとする姿勢はいいんですが・・・。
仕事中に急に私の席の横に来て、
「misoさんって、趣味ってなんですか?」
唐突だな・・・と思いつつも、真面目に答える私。
「うーん、読書かな。」
「え?そうなんですかぁ?私もめっちゃ読書するんですよー。何読むんですかぁー?
あ、でも私わぁ、恋愛小説とかは全然読まなくてぇー・・・」
当時の私にとって、なんか急に出てきた"恋愛小説"って言葉がなじみがなさ過ぎて恋愛小説って何だっけ???って若干混乱した記憶があります。
一応、ミステリー小説とかにも登場人物の恋愛事情が出てきたりするので、そのこと??みたいな。
(後に、有川浩に出会ったときに、あー、恋愛小説ってこういうやつか!って思いましたが。)
「あー、そうなんだ。」
「そーなんですぅー。ほとんどミステリー小説しか読まなくてぇー。でもそういう推理小説系だったらだいたい知ってますー。
misoさんは何系ですかぁー?」
「あー、私も推理小説?ミステリー小説?が好きかも。」
「あー、一緒ですぅー。誰のが好きですかー?」
「うーん、今読んでるのは、京極夏彦だね。」
「あー、ちょっと・・聞いたことないですねー。」
そう言って彼女は去っていきました。
ミステリー好きなのに、京極夏彦知らないのか・・・。京極夏彦も名前だけは大御所っぽいのにまだまだなんだな・・・って思った記憶が
あります。
なんか、こっちに寄せて寄せて、あ、もしかしたら今から同じ趣味の楽しい話ができるのかな?と、思わせといて、思いっきり肩透かしを
食らう、みたいな。
この他にも、同じパターンの会話を3回くらいやりとりしましたが。
3歳から空手をやってて、最高で、世界大会2位になったっていう男性社員は、「私も空手やってるんですぅ」って話をされてて、空手歴を
聞いたら、去年始めたって言われてちょっと私と似たような表情を浮かべてました。
観察してたら、「あ、それ私けっこう詳しいんですよー」っていうのが彼女の口癖だったみたいです・・・。
(まー、その子も結局それから2、3年して会社辞めちゃった子なんですけどね。)
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