前回に続き、空き家の適正管理等の条例について書きたいと思います。
松江市は「松江市空き家を生かした魅力あるまちづくり及びまちなか居住促進の推進に関する条例」
(通称:空き家管理条例)を平成23年9月30日に制定しました。
他の自治体の空き家管理条例と異なるのは、目的に「まちなか居住促進を推進する」と掲げている点です。
このことは、「市内に適正に管理されない空き家が増えることにより、防犯上、景観上又は環境上多くの
社会的問題が生じ、まちの活気が失われることを認識し、空き家の適正な管理又は有効な活用促進を図り、
誰もが住みたくなり、又は訪れたくなる魅力あるまちづくりを推進しなければならない」と基本理念に
謳われています。
また、「市長は、特に住宅が密集し、狭あいな道路が多いため適正に管理されていない空き家が周辺の
環境を乱し、又は近隣の住民に迷惑を及ぼしているまちなかにおいて、重点的に空き家の適正管理及び
有効活用を推進し、まちなかの居住促進に努めるものとする。」
「まちなかの空き家の所有者等は、当該空き家を、第三者への賃貸又は店舗、地域交流拠点若しくは
体験施設等としての整備等により積極的に有効活用するよう努めるものとする。」と条文にも
盛り込まれています。
大田市においても、中心市街地の活性化の観点からまちなか居住の促進を、また、世界遺産内にある
重要伝統的建造物群保存地区を二つも抱え、景観の保全という意味においても、少し工夫をした条例制定が
必要だと感じています。
さて、松江市ではこの条例の措置命令に従わない場合は行政代執行並びに5万円以下の過料を課すことを
定めています。
ここで問題になるのが、個人の権利をどう扱うかということになります。
これについて、条例を検討している神奈川県横須賀市ではパブリックコメントを求めた条例の解説の中で
「この理由は、法律上認められた個人の権利を制限する不利益処分について、行政が、その権限を行使すること
に対して、不利益処分側からの訴えに、司法判断が下された場合、その判断に充分な対抗要件を用意できていない
のではないかという恐れから(裁判で負けるのではないか)、その執行に躊躇する傾向がみられます。
しかし、これらの法律が作られたころの社会環境においては、街中の住宅(不動産価値の高い建築物)を
放置して廃屋となるまで放置することは考えられませんでしたが、現在では相続等を原因として、
その管理に見向きもせず、近隣のことなど関知しない個人が存在するなど、全く様相が異なってきています。
このような社会情勢において、個人の権利と、その管理不全の空き家等の周囲で生活している多くの市民が
毎日不安を抱えながら暮らすことの不利益のバランスを解消することは、行政に課せられた責任であると考えます。
従って、以前から法律で規定されています、行政代執行までの行政手続きを粛々と実行するという、
行政側の強い意志を表すために、本条例に載せるものです。」と説明しています。
この行政代執行については次回もアップしたいと思います。
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