土曜の朝、目が覚めたら外は真っ白だった。
(とうとう来たか・・・・)
先週は配達を休み、東京浅草の酉の市に熊手を買いに行く。
商売繁盛.笑売繁盛を願い願って毎年通っている。
8年前用事で東京に出かけたときに、ホテルの温泉で言葉を交わした同世代の女性が、酉の市に来たのだと言った。
「わたしは九州島原で手延べそうめんを作っています」と聞いて「わたしは北海道で米を作っています」と意気投合した。
「500円でも1000円でもいいの、毎年去年より少し沢山払って、大きな熊手にしていくんですよ」あんまり楽しそうで、、
酉の市の名前は知っていたが、わざわざ北海道から毎年行く場所とは思っておらず、、、が、心境が一変する。
行ってみたい。。。行こう。。 行った。はまった。普段人混みや祭り騒ぎには関心が無いが中に入ってしまえば良しだ。
数え切れないほどの熊手屋さんが大鷲神社の境内を埋め尽くし、個性溢れる熊手が森のように高くそびえている。
見れば見るほど、どれにすれば良いのか分らなくなるが、どれにも蕪の飾り物が付いている店が目に入る。おっ。。。
最初の年の熊手はは小さくて鞄に入れて持って帰れた。4年目くらいから飛行機には持ち込めなくなり送ってもらう。
必ずその時期はそこでアルバイトをするという威勢の良い若いお姉さんと仲良くなって、毎年その店に通っていた。
ある年、お姉さんの姿が無い。。辞めたらしい。。。お姉さんの居ないそこはなんだか火が消えたように感じた。
だから、翌年からは行く気が失せてしまい、どんなに夫が誘ってきても「ひとりで行ってきて」となっていた。
あるとき、お姉さんからメールが来た。夫がちゃっかり渡した名刺を持っていてくれたのだ。札幌雪まつりに来るという。
アート系の大学の学生さんだった。自分の作品を持って世界の国々をまわりながらパフォーマンスをしているという。
雪まつり会場で作品を展示するために来た。空中に浮かぶ照明のようなものだったと思うが、、
会場では会えず、空港に見送りに行きお茶を飲んだ。
そこにいる彼女は物静かで落ち着いていて、酉の市で熊手を売っていた人とは別人だった。彼女自身もそう言った。
高校生の時からずっと関わっている酉の市とはそういう魔力のある場なのだという。また会えるだろうか。。
浅草のホテルでお互いの連絡先を交換してから8年。今も毎年米の注文をもらい、手延べそうめんの注文をする。
大きなかぶが細く長く続いて来れたのはこの手延べそうめんのご縁があってのことかも知れないと気づいた。