草だらけの家の周りをトンボの群れが舞う。
夏の間、二階の屋根の軒下に巣作りを続けていたスズメバチ。
最初に見つけた日の夜、長い棒でポトンと下に落とした。
翌朝巣のあった場所を見ると、白く残った残骸に3匹ほどが スクラムを組むように肩寄せ合ってせっせせっせと動いている。
巣の修復をこころみているようだ。 彼らが丸1日働くとと直径5センチそこそこの大きさになる。
そこで又、長い棒でポトンと下に落とす。又せっせと肩寄せ合って働いて巣を大きくする。で、またポトンと落とす。
20年も毎年毎年付き合っているからお互い敵対心は無いように思う。
過去に、彼らの陣地になっていたポンプ小屋をそうとは知らず突然訪問した形になった時に一斉に刺されたことがあった2016年9月 スズメバチと梅干し
その後も毎年必ず春先には2階の窓から部屋に来て(どこにしようかな、、、)と偵察する。
「ここじゃないよ」と言って窓から出て行くまで見届けて、さっと締める。それを繰り返す。
で、何処に作っているのかも気づかないまま秋になる。なあんだ、今年はここかーーと空っぽの巣を見て思う。
しかし、今年は二階の窓のすぐ横なのでなんとなく気になり、、大きくなったら厄介だと思い、小さいうちに意地悪した。
二日も放っておくと湯飲み茶碗ほどに出来上がるので毎日落とす。
だからといって、「だれだーーー!」と犯人捜しもせず、「お前だなー!」と復讐に燃えることもせず、、、
ただひたすら、残っている巣の上ににスクラム組んで黙々と修復に打ち込む姿は胸を打つ。
だからといって、「ごめんね」と謝る気持ちは出ても来ず。わたし落とすヒト、あなた造るハチ、、
夜が急に寒くなって、とうとうすずめ蜂は屋根裏にへばりついた薄い土色の巣の残骸の修復作業を断念した。
なんとなく、胸がシーンとなった。
写真はサトシ