これは勤めていた企業外の病院関係の知人からもらった退職記念の花束です。今回唯一の花束です。下さった人に感謝感謝です!
仲の良かった会社のOBが私が将来作家を目指しているのも考えてかパーカーをくれました。
30年間ともなると感慨もひとしおしかし企業を去るにあたっては病院の場合とは比べ孤独なものです。勤務最終日にあたって2時間のサービス残業を終え、最後の書類書きを終えると書類を会社に持っていき少し皮肉を言わせてもらいました。「同じ心療内科の医者仲間でもホテルで何百人の送別会が開かれ花道を通って帰る医者もおれば、私みたいに誰からの挨拶もなく、また見送られる事も無く一人去る医者もいてさまざまです」と言いました。しかしこの状態こそまさに私の花道にふさわしいのだと考えました。何故なら産業医は陰徳という考えが以前からあったからです。
心身医学のメッカでの訓練の成果1977年に色々な内科研修をした後、九大の心療内科に入局しました。当時は池見教授がまだ現役の頃で、実に色々な治療技術がそろっていました。交流分析、自律訓練、ヨガ、精神分析、支持的精神療法、森田療法、薬物療法、心理テスト、OT(作業療法)、箱庭療法等々です。そして心療内科のベットが45ベットあり、面接室が5部屋ありました。これは当時世界一のベット数を持つ病棟でした。そして患者さんは全国からの難治性のベテラン患者ばかりで、主治医としてとても鍛えられました。帰りは夜の12時くらいで、いつも仲間と最後は外科医の入ったドロドロの汚い病院風呂に入り、帰って寝るだけの日々が長く続きました。
その後市の医療センターの方に出向になりました。研究の関係もありその時は糖尿病センターに行ったのですが、その病院には当然心療内科もなく精神科もありませんでした。そこで各科の医師達が心療内科医の私に困っている難しい自分の患者さんを紹介してきました。こちらも他科にお願いすることも多い関係上断ることもできず。一時は20人いた糖尿病の入院患者さんも半分は心療内科の入院患者さんになってしまいました。ところが、その心療内科の患者さん達がいとも簡単に治ってしまうのです。これは多面的な心身医学の治療技術を学べたことと、難治な患者さんを治すことにより効率よく治す訓練が出来たいたからです。これは私に限った事ではなく当時のメッカで研修した多くの心療内科医の共通認識でもありました。
患者を救うのも効率が大切私は小さいころよく川で魚を釣っていましたが、効率が悪いので川をせき止めて水を無くして魚を一網打尽にして取るのが好きでした。少し手間と時間はかかりますが、収穫は大量です。また離島の公立病院にいるころは病院事務員が船を持っていたため、良く海釣りに行きました。岸から釣るよりは効率が良く短時間でクーラーが一杯になるのはたまりません。岸で魚を釣るよりは魚の多くいる海に行って釣るのが一番成果が大きいのです。このように多くの患者さんを患者さんを効率的に治したいのなら、効率的に治せるところに医師自ら行くしかありません。当時その市は企業城下町と言ってサラリ-マン心身症がとも多かったのです。
思い切って企業に飛び込むそういう分けで産業医になったのですが、診療よりも予防医学が仕事も多く、病気になる前に対応してしまうことがあるので、感謝される事も無く、また本人が助けてもらったことすら分からない事も多くありました。やはり病気は生じる、あるいは悪化する前に治療するというのが一番だということが30年以上の体験でよく理解できました。効率よく多くの人を治すということはすなわち予防医学、漢方で言えば未病を治すということなのです。感謝されない陰徳の行為ですが、医療費削減を含め効果は多面的で絶大です。
ケースコントロール研究とコホート研究少し難しくなるかもしれませんが、研究方法にはケースコントロールスタディ(症例対照研究)とコホート研究とがあります。たとえばガンの人とガンでない人を集めてその中でタバコを吸っている人の割合を調べガンとタバコの関係を調べるのが、ケースコントロールスタディです。これは時間の流れに関係なく即時に分かる統計方法です。これに対してコホート研究というのは、ある集団を限定し10年後ガンになった人とガンにならなかった人でで喫煙率を調べタバコとガンの関係を調べる統計方法です。後者の方がお金と時間と手間がかかりますが、コホート研究の方が信頼性がはるかに有ります。何故かというと、ケースコントロールスタディでは瞬時に結論が出るものの、ガンになった人が色々な集団からの人から集められたものであるために、出だしの条件が異なるからです。すなわちバイアス大きい、発癌の他の要因がいろいろ異なる集団から出てきているため、集団が均一なコホートに比べ信頼性が低いのです。医学研究で福岡県の久山町の長期研究の評価が高いのはその理由です。
思わぬ成果、産業医学と統合医療の共通点臨床ではすでに病気になった人しかきません。ガンであれリュウマチや糖尿病であれ既に厳しい状況の患者さんたちです。しかし医者はその時の診断名で治療をしなければなりません。ガンならば手術、放射線、抗がん剤という三種の神器です。統計学で治療法は決められていますから(根拠に基づいた医療:EBM)、患者によって治療法が異なることはありません。ところが産業医を30年もしていると、決まった集団の正常の人達が病気になっていく姿を多く見ることができます。そしてその予後も人によって大きく異なることも分かります。一般の臨床医にはそれはほとんど分かりません。統合医療では未病が中心となりますが、企業での治療も予防医学が中心となり統合医療の未病と似た所があります。職業人としての40年間の食事、生活習慣、性格、姿勢、気、声が将来の病気とその予後に大きく関係していることが分かりました。これが本当に効率的な治し方なのです。皆さんテレビドラマなのでは医療っぽくてERが人気ですが、私には興味がありません。多少は良い面もありますが、そこまで行ったらあとはあまり変わりません。
ガンもどき理論の功罪ガン患者さんの今しか見ない三種の神器、その闇の虚を見事に突いて出てきたのがガンもどき理論です。三種の神器は過去を治さないし未来も治療方針を変えないので、結局ガンモドキの物は悪くならないが、治らないものは何をしても治らないので何もしない方が良いという分けです。むしろ治療で寿命を縮めるという言い分です。これは後出しジャンケンみたいのもので、未来の結果で他人の現在を述べているようなものであまり信用されない方が良いと思います。人は人自分は自分です。
病人の今と過去を治療して病気の今と未来を治すこれは私が長きにわたって肉体の医学と精神医学と産業医学と自然農法を行った結果得た究極の21世紀治療理論です。まず病気になった人を先に治療する。すなわち病気を育ててしまった誤った身体のあり方をまず治療するということです。そうすれば自然治癒力が復活します。次にその体質状況を考えて病気そのものを治していきます。未来に病気は変化しますが、自然治癒力の協力を得ながら病気そのものに常に焦点を当てて治していきます。時間がありませんので、詳しくはの次回述べることにします。私はあまり著作権を主張しませんが、この文章を転載するときは「病人の今と過去を治療し病気の今と未来を治す(熊井三治)」ということでお願いいたします。
これは私が15年以上前に書いたガンの本です。日本での喫煙率の極端な低下と介護保険で「21世紀に入ればガンで寿命が短くなると言った予言は幸い外れましたが、あとは以上述べた事のヒントが書かれています。興味のある方はお勧めします。ガンモドキの本の千分の一しか売れていませんが、千倍良い本です。
親戚から日本で一番おいしい荒川の桃貰いました。
次女からは59.5センチ(なかなかありません)の帽子貰いました。