細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『クライ・マッチョ』で見せるイーストウッドの映像道楽と、その哲学

2022年01月15日 | Weblog
●1月14日(金)10-50a・m。<二子玉川109シネマズ・8スクリーン>
M-001『クライ・マッチョ』"Cry Macho" (2021) Warner Brothers, Malpaso/ Albert S. Ruddy Productions.
製作・監督・主演・クリント・イーストウッド、ドワイト・ヨーカム、ナタリア・トラヴェン <シネスコ・サイズ・104分>
さて、いよいよ、本物のシネマを、しかも、イーストウッドの新作を劇場のビッグスクリーンで見られることになって、チケットを買うのも、ちょっと緊張してしまう。
というのも、このご時世で映画館はもちろん、試写室も遠慮がちにしていて、もっぱら自室のテレビスクリーンでのDVDやVHS鑑賞が多かったからだが。
もともと、フランク・シナトラ・ファンで、彼のすべてのLPやCDや映像なども、世界各地で集めていたが、彼の亡き後のターゲットは、このクリントだった。
もちろん、彼の本拠のカリフォルニアのカーメルに行って、事務所やレストランに行った事も,前にご紹介したし、ご本人にももちろん会ったことは数回ある。
作品は、ついこのブログで前出した「ラテンアメリカ・光の影の詩」と同じような、ひとりの少年との旅路と、その日々で生まれる友情と葛藤と、その情感を描いて行く。
テキサスで落馬以来は、ほとんど隠居生活していた老カウボーイのクリントは、オーナーが別れた元妻の、メキシコにいる息子を連れ戻してくれ、という依頼を受けた。
だから、一種のロードムービーなのだが、そこはクリントとしても、「パーフェクト・ワールド」や「センチメンタル・アドヴェンチャー」のような、少年との旅。
ロデオでのキャリアから、荒馬を慣らすのは得意だが、メキシコにいる十代の不良少年を、強引にアメリカ、テキサスに連れ戻す、という作業は荒馬の調教よりやっかいだ。
気がつけば、テレビ映画、マカロニ・ウェスターンの時代を経て、監督デヴュから50年というイーストウッドは、その存在すらが伝説のレジェンドといえるだろう。
淡々とした老カウボーイと、混血少年の野宿の旅は、父のいない少年と、子供も家族もいない老人には、心の拠り所で、その情感も少しずつ男の友情へと強くなって行く。
しかし映画は、いつもの<イーストウッド映画>であって、とくに感情の激しい葛藤などはなくて、いつものロードムービーのように埃っぽく、少し酒気帯びのようだ。
タイトルの真意は、とくに強調していないが<強さと嘆き>のような意味なのだろうか、荒野に孤独に生き抜いた頑固な男の、その<生きものの記録>でもあった。

■左中間をゴロで抜けて、返球ミスのスリーベースヒット。 ★★★★
●全国でロードショー中
●1月14日(金)10-50a・m。<二子玉川109シネマズ・8スクリーン>
M-001『クライ・マッチョ』"Cry Macho" (2021) Warner Brothers, Malpaso/ Albert S. Ruddy Productions.
製作・監督・主演・クリント・イーストウッド、ドワイト・ヨーカム、ナタリア・トラヴェン <シネスコ・サイズ・104分>
さて、いよいよ、本物のシネマを、しかも、イーストウッドの新作を劇場のビッグスクリーンで見られることになって、チケットを買うのも、ちょっと緊張してしまう。
というのも、このご時世で映画館はもちろん、試写室も遠慮がちにしていて、もっぱら自室のテレビスクリーンでのDVDやVHS鑑賞が多かったからだが。
もともと、フランク・シナトラ・ファンで、彼のすべてのLPやCDや映像なども、世界各地で集めていたが、彼の亡き後のターゲットは、このクリントだった。
もちろん、彼の本拠のカリフォルニアのカーメルに行って、事務所やレストランに行った事も,前にご紹介したし、ご本人にももちろん会ったことは数回ある。
作品は、ついこのブログで前出した「ラテンアメリカ・光の影の詩」と同じような、ひとりの少年との旅路と、その日々で生まれる友情と葛藤と、その情感を描いて行く。
テキサスで落馬以来は、ほとんど隠居生活していた老カウボーイのクリントは、オーナーが別れた元妻の、メキシコにいる息子を連れ戻してくれ、という依頼を受けた。
だから、一種のロードムービーなのだが、そこはクリントとしても、「パーフェクト・ワールド」や「センチメンタル・アドヴェンチャー」のような、少年との旅。
ロデオでのキャリアから、荒馬を慣らすのは得意だが、メキシコにいる十代の不良少年を、強引にアメリカ、テキサスに連れ戻す、という作業は荒馬の調教よりやっかいだ。
気がつけば、テレビ映画、マカロニ・ウェスターンの時代を経て、監督デヴュから50年というイーストウッドは、その存在すらが伝説のレジェンドといえるだろう。
淡々とした老カウボーイと、混血少年の野宿の旅は、父のいない少年と、子供も家族もいない老人には、心の拠り所で、その情感も少しずつ男の友情へと強くなって行く。
しかし映画は、いつもの<イーストウッド映画>であって、とくに感情の激しい葛藤などはなくて、いつものロードムービーのように埃っぽく、少し酒気帯びのようだ。
タイトルの真意は、とくに強調していないが<強さと嘆き>のような意味なのだろうか、荒野に孤独に生き抜いた頑固な男の、その<生きものの記録>でもあった。

■左中間をゴロで抜けて、返球ミスのスリーベースヒット。 ★★★★
●全国でロードショー中