《内容》
太刀川要は、深夜、山のなかをドライブ中に黒い大きな犬をはねてしまう。あわてて犬のもとにかけよると、車との接触でできたとは思えない大きな切り傷からの出血で、半死半生の状態だった。動物病院での治療の甲斐あって黒犬は助かったのだが、ペットたちが激しく怯えて困っている、と獣医から連絡が入る―。こいつはいったい何者なんだ?あんな時間にあんな場所で、いったい何をしていたのか?奇妙な共同生活を始めた要と黒犬を待ち受ける現実とは―。 (紹介文より)
―――人間とは、自分の見たい事実しか見ない生き物だ。見たくない事実には目を瞑る。見なかったことにする。分からないふりをする。 心の弱さだ。 むろん、俺を含めての話だ。