312回目の「まじっすか」はめずらしい楽器。
ひとつめはタカアシガニの殻をまるごと使った「タカアシガニリドゥ」。
アボリジニの民族楽器「ディジュリドゥ」をカニで作ったもの。
ディジュリドゥはユーカリの木を空洞にしたものだが、
タカアシガニの足は楽器に向いていて、甲羅で反響して
本来のディジュリドゥより良い音が出ると制作者兼奏者の男性は力説。
2本を吹き比べてみると、ディジュリドゥのほうが、ちょっとこもったような
木の響きが柔らかくて良い音に思えるが、好みの問題か。
タカアシガニリドゥはボイパをしながら吹くということで、中丸くんと
相性が良いかと思いきや、そうでもないらしい。
中丸くんは、ふだんビートボックスの音を唇の左よこから出す。
タカアシガニリドゥは正面で吹くので、音を出す場所が違う。
「ボク的には相性はあまりよくない。」と、つれないことを言う中丸くん、
課題曲を制作者とふたりでセッションするが、なんの曲だかさっぱり
聞き取れない出来だった。
ふたつめの楽器はこちらも奏者の方が独自に作ったもので、部屋の端からはしに
何十本もの横糸を張った楽器「ストリングラフィ」。
巨大なハープを横向きにした感じと言おうか、森の音(小鳥の鳴き声や風の音)を
再現できないかと、木のと木の間に糸を張って巨大な弦楽器を作ったのが始まりらしい。
長さ12メートルの絹糸を平行に張り、両端に紙コップを付けて音を反響させる仕組みで
コップとコップの間の幅を変えることでドレミファの音階がつけられる。
かなりの音感の持ち主でないと作れない気がする。
「ストリングラフィ」はソプラノ、アルト、ベースの3種類あり、中丸くんは
メインのソプラノを受け持つ。
手袋をはめた手で弦をスーッと撫でると繊細な音が出る。
たくさんの糸のどれを弾けばどの音か出るか、
はじめは位置を覚えるのに四苦八苦。
それでも30分ほど練習すると間違わずに
弾けるようになり、「うれしい!
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」と会心の笑み。
どういう法則で糸が並んでいるのか、
この糸がこの音だから、あの音を出すにはあの糸と、
中丸くんは配置を掴むのが早いようだ。
音のわずかな違いにも敏感なようだ。
「羊と鋼の森」のピアノ調律師の役とか似合いそうだと思うんだけど
映画は山崎賢人くんだったね。
短時間の修得を先生に「すごい才能。」と褒められるも、
「いえ、そんなことないです。」と、
己れの能力を得意ぶらないところが中丸くんの好もしいところだ。
課題曲はウェディングソングの定番、安室奈美恵の「CAN YOU CEREBRATE?」
いちばん緊張して手がこんがらがりそうな冒頭
CAN YOU CEREBRATE~♪の5音を成功させるとあとは滑らかに、
中盤のソロ部分もきれいに弾ける。
アルトとベースとの呼吸も合っていて、気持良さそうな演奏だった。
これまでもハンマーダルシマーとか、ダンバウとか、
中丸くんは弦を使った楽器、上手いのよね。
手先が器用なのと関係あるのかしら。