MCタイムの時、
朱鷺メッセはCHAIN以来。あのとき(2012年2月)は雪が降っていて
ライブの前にゆきだるまを作ったと、亀ちゃんが思い出話をした。
ライブの前に胴体をつくって、終わってから頭を作ろうと思っていたら
トラックにひかれてつぶれていたと、可笑しくて切ない話だった。
「ひとりで作ったの?」中丸くんがちょっと意外そうに尋ねると
「いや、いなくなった人と・・。」
「ああ、2人のどっちかか・・」
亀ちゃんと中丸くんが、余計なこと言っちゃったなみたいな空気になりかけたとき、
上田くんがぼそっと口をはさんだ。
「だいたいわかるわ。背の高いほうだろ?」
その一言でわっと笑いが起きて会場が和んだ。
うやむやにせずハッキリ答えを出すことで会場の空気を戻した上田くんの
とっさの判断力に感服した。
3人でおもちゃ箱で遊ぶようなループマシンの音作りから、上田くんのピアノで
Vivid LOVEへ。
階段に肘をついて寝そべるようにして歌う亀ちゃんと
両ひざをそろえてちょこんと座る中丸くんが好対照でキャラが立っている。
3人のキャラが際立っていたのはもちろんソロ曲のコーナー。
「Marionation」は仮面をつけたダンサーたちのからみつくような腕の中で
中丸くんがしなやかに身を動かす。
表情のない踊り手たちと、その中心にいる中丸くんと、
どちらが操り操られているのか。
暗い中にマネキンが吊るされた薄気味悪い、いやミステリアスな演出と
こじらせ男子の歌詞で、新しいラブソングの境地を開いた兆しあり。
スクリーンが分割されていろんな角度から中丸くんのダンスが映し出されるのも
嬉しい演出だった。
上田くんの「worid's end」は廃墟のようなセットの中で、
魁!男塾の赤石先輩もびっくりの長い段平を振りながらの激しい歌とダンス。
前の席の子がおかあさんにしがみついていた。
光と音が暴発しそうな上田くんのソロから、すべてのライトが消えて
亀ちゃんの「One way love」。こちらは生身のからだひとつで観衆の目を一身に集める。
全篇英語のムーディな歌詞も、トレーニングを積んだコンテンポラリーダンスも見事であった。
個人的に「CAST」収録曲中いちばん好きな「ツイテオイデ」は、細やかな振りのダンスが
加わって、CDで繰り返し聞いている音楽がまた違った世界観になる。
いよいよラストスパートは「アイノオカゲ」と「薫(kun)」。
「アイノオカゲ」は、明るくて希望と優しさにみちた曲だ。
元気いっぱい冒頭パートを歌う中丸くんは、
カメラに向かってとびっきりの笑顔、からのウインク!!
最高の贈り物だ。更に元気でるー!!
これからも彼らにとって大切な曲になるだろう「薫(kun)」は、
ひとりずつが1番、2番、3番を歌うが、
それぞれに曲調が違って、歌詞にもメロディにも個性が効果的に活かされている。
ライブ最後の曲は「Unstoppable」。
そうだ、ラストはこの曲があった。
熱く強く狂おしく悩ましい、KAT-TUNの本道を貫くロックナンバーだ。
2番の上田くんのソロパート「鎖につながれた遠い日の記憶」のところで
うしろで踊っている亀ちゃんと中丸くんが劇的にエロかったと記憶している。
あのシーンが、ついに映像になって甦るのか。
サビから変調して「儚い夢に絆されながら・・」のところも良い。
理論でものを考えそうな中丸くんが、ほだされるという感情的な歌詞を
澄んだ声で唱う。
中丸くんが悲劇に踊らされても良いと思うほどほだされる夢とは
誰と見るどんな夢なのか。
曲の最後はオープニングで降りてきたゴンドラに乗りこみ、ふたたび3人は
上空に消えて行った。
私達は呆然と、宇宙に飛び立ったような彼らを見ていた。
4年振りのアリーナライブは格好良くて楽しくて、
常に我々の想像の先を行く新たな魅力を発揮しつづける彼らはどこまで
行くのかと、驚きが溢れる。
歩みを止めることのない彼らに、私はいつか追いつけなくなるかもしれない。
それでも力の続く限り、ずっとついて行こうと決めた。
アンコールの最後、We are KAT-TUN の銀テープが、高く飛ばしすぎたか、
ほぐれないまま天井に当たって、アリーナのまんなかにぽそんと落ちた。
次の日は絶対、飛ばす角度を修正してくるだろうと思っていたら、
期待どおり、完璧な軌道を描いたテープが、キラキラとスタンド席まで降ってきた。
どこまでもファン思いのKAT-TUNはどこまでも最高だ。