
すっかり稲穂が出そろった。十五夜トンボが飛んでいる。
おばさんが来て昔の話をしていく。親の眷属おじさんおばさんたちもみんないなくなりたった一人残ったおばさんだ。仏壇におやじおふくろ爺ちゃんばあちゃんたちの顔が居並ぶ。みんなが生きてた子供のころをすっかり思い出す。戦後の大変な時代だったんだろうが子供の僕は毎日野山を駆け巡り学校は嫌だったが家の生活は面白かった。親父が猟師をしてていつもくっついて山を歩きそれがよかった。今ころは山の畑にトウモロコシが実りそれを食べにムジナがやってくる。すぐに罠をかけ捕った、何もなかった時代だからその肉はうまかった。トウモロコシは鶏用でそれが冬の鶏に餌になった。栗がなるとリスやタヌキがやってきてまた罠でとった。冬近くなると残った柿の実にテンがやってくる、貂はなかなか利口でそうたやすく取れなかったが皮が高く売れたのでみんな必死で捕った。夕方わなをかけて 早朝暗いうちに懐中電灯つけて霜の降りた落ち葉をカサカサとかき分けていったのを今でもはっきりと思い出す。罹ってれば目が光るのですぐわかる、罹った、すぐ飛んで帰って親父を呼んできた。冬になると猟期が始まり鉄砲もって鴨やウサギの猟だった。昔はおおらかなもんで昼間行ったり夜ムササビや早朝暗いうちにやまどりうちに行ったり雪が積もると4・5人でウサギ捕りだった。弾も自分で作って薬きょうに雷管付けて火薬入れて玉詰めて蓋し獲物によって弾を作ってた。ウサギに肉は堅かったがうまかった、ムササビだ、ムジナだカラスだ、なんでも食ったような気がするしまたうまかった。大体どこの村にも猟師がいて動物捕ってたが段段と銃の規制が厳しくなり猟師もいなくなった。