もう年なんだからいつ会えなくなるかわからないんだから思い切って姉家族に会いに行こう。と言ってももう東京何て十何年行ってないしあの複雑怪奇な路線網を乗り継いでいけるのか、大変な不安がよぎる。今でもお金で切符が買えるのか、僕はスマホが使えない、刻々と変わる世の中に完全に取り残された老人だ、なんて東京に行くとなると思っちまう。それでも勇気を出していざ東京へ―、上野へ着いたがやっぱりわからない、やっと改札出て駅員捕まえて聞いて、あっちへうろうろ、こっちへうろうろ、やっと地下鉄乗り場へ、行先確かめてああ乗れた。つぎは乗り換え、必死でアナウンス聞いて、日本橋、降りろー、どっちへ行くんだ、必死で案内探す、落ち着け落ち着け、時間はあるんだ、でも薄暗い地下でなかなか案内板が目につかない、黄色から水色へ、あああったあったあのほうへ、ぐるぐると地下迷路をたどって次のホームへ、止まってる電車に乗り込む、ああこれでいいんだと思いきや急行ですという、大変だ各停に乗り換えなきゃ、ああ疲れた、でも何とか地下鉄のれたぞー。
必死の思いでやっと会えたみんなはすっかり元気で大安心、大病患った義兄もすっかり良くなって、子供たちがすっかりいい大人になって、当たり前だな、年とった両親をささえてくれてる。よかったよかった、思い切っていってみてほんとによかった。
